2008年 11月 23日
フォーサーズとフルサイズ、フォーサーズの見切ったもの
  ひょんなことからメールをもらったりした。ここ最近価格コムのE-30の板でフォーサーズとフルサイズの比較では以前から何度ととなく繰り返されている問題、例えばZD150/2のレンズはフルサイズでは300/4ではないかいや、そうじゃないと言った問題が長いスレとなっている。
  ここで私が敢えて書こうかと思ったのは、フォーサーズの方が良いと言っている人にも一部誤解があるということだ。フォーサーズはデジタル専用設計を銘打って一から作り上げられたシステムでそれなりのメリットはある。しかしフォーマットを変えただけで「メリットばかりのシステム」が生まれることもない。表と裏、トレードオフは付きものだ。本当は同板のコメントとして書こうと思ったのだが、この問題自体はスレの主題からかけ離れると、コメントとして短くまとめづらいこともあったので敢えてここで書きたい。




  話として、ややこしくなっているのは、価格コムではちょくちょく出てくるうる星かめらさんが、「フォーサーズのレンズは、35mm換算で2段くらい」と書いたことで、これの解釈を巡ってかなり迷走していることだ。その後追加でご説明されているし、個人的にこの方は言い方(書き方)に非常にくせはあるものの、殊このスレで書いておられること自体は何も間違っていない。噛み合っていないだけである。下に整理してみた。

まず、この手の話は非現実的であっても前提条件を揃えないと話にならない。話を単純化するために下記の前提条件をおく。
1.フォーサーズ対比フルサイズのイメージサークルは2倍でかつ、フォーマットの面積比も4倍と想定。
2.撮像素子全体で受ける受光量の総量はフォーマットの面積に完全比例
3.1画素の受光量も画素当たりの面積に完全比例
4.受光後のノイズ処理等の画像処理性能は同一。従って元データからゲインの割合にノイズの度合いが比例
5.撮像素子に当たる受光量はレンズの有効半径の二乗(面積)に比例
6.被写界深度は同一画角、同一F値であれば、フォーサーズがフルサイズ対比2段被写界深度が深くなる。
7.尚、レンズはいかなる画素数でもレンズ負けはしない。
8.画質を決めるファクターは画素数と、高感度ノイズに限定する。
実際には、画像処理エンジンはまちまちであり、撮像素子のサイズと受光部の面積も種類やメーカーが違えば一概に言えないところではあるが、それらは全て捨象した上での話である。

1.適正露出を決めるF値に関して

 例えば、ZD150/2と同じ画質はフルサイズの300/4であると言った場合に、露出決定においても、例えば、フルサイズでF4、1/125で適正露出の場合にフォーサーズだとF2にしないといけないのかと誤解する向きがあるがそれはない。フルサイズだろうが、フォーサーズだろうが、あるいはハーフだろうが、露出計でF4,1/125、ISO100なら、これは不変である。

 露光が同じというのは、フィルムで言えば単位面積当たりで同じになるからだ。

 上の例で行けばZD150でF2の時の有効半径は75mm。これをフルサイズで同一画角である300mmで同じ75mmとなるF値は300/75=F4となる。しかし、これでは受ける面積が4倍になっているので、単位面積当たりでは暗くなってしまう(アンダー)。従って4倍の光量が必要になる。となるとF4から結局2段開ける形となり、F4→F2となる。つまり、ZD150で(シャッター速固定で)F2が適正露出であれば、フルサイズでも絞りはF2となる。だから、実際の撮影において露出が決まれば、フォーマットによる違いはあまり意識しない。

 しかし、撮像素子全体の光量の総和と見るとZD150/2とフル300/2では明らかにフルの方が4倍の光量を捕捉している。これはなんの違いももたらさないのであろうか?そんなことはないはずである。ではここが実際にはどういう影響を与えているのだろう。

2.高画素に振るのか?あるいは、高感度ノイズ耐性に振るのか?

 例えば、ZD150/2とフル300/2を比較した場合(ISO,シャッター速を同一にした場合は同一露出となる)である。画質への影響を考えると今度は画素当たりの光量が問題になってくる。

 まず、それぞれの画素ピッチを同じとする。そうするとフォーサーズが10MPである時にはフルサイズは40MPとなる。この時は画素当たりの光量はフォーサーズ、フルサイズ同じになる。従って、例えばISO100,200と言った感度相当へのゲインの割合はフォーサーズ、フルサイズは同一である。従って高感度ノイズは同一。しかしながら、画素数はフルサイズが4倍となる。
 「撮像素子が大きい方が画素数アップがしやすい」ということだ。

 もう一つは、画素数を固定して画素ピッチを大きくする場合だ。この場合前提条件で一画素の受光量は単に面積に比例するわけであるから、フルサイズの方が1画素あたりフォーサーズ対比4倍の受光量を確保する。従って、ISO100,200相当へのゲインにおいてはフルサイズの方が2段相当優位になる。ISO100~400等のゲインでは顕在化しないが、これが800、1600となってくると顕在化する。
 「フルサイズの方が、フォーサーズ対比(特に高感度ノイズ耐性で)2段分ノイズが少ない」ということになる。

3.1と2を踏まえた上でのZD150/2に同一のフルサイズのレンズは、、

 というのをこの仮定上で、特に2も踏まえた上(ISOを考慮)で考えると、

フォーサーズと、フルサイズが同一の画素数である場合には、
 ZD150/2 ISO100での利用と、ZD300/4 ISO400での利用が同一になる。
 この場合は、画素数も同一で、シャッター速度も同一であり、且つ画質も撮像素子全体で受ける光量が一緒であるので一緒となる。またフルサイズは二段絞っているので被写界深度も同じ。全く同一の雰囲気の画像になるはずだ。

フォーサーズ対比、フルサイズで画素数が多い(画素ピッチ同一)場合は
 上記の設定だと、画素ピッチが同一であることからISO感度アップのノイズはフォーサーズと変わらなくなるために高画素にはなる反面、ISOを2段あげた分ノイズはフォーサーズ対比乗る形だ。

実際には、シャッター速度をいじってよいのであれば、組み合わせはもっと考えられるだろう。(笑)従って、上記仮定が全て揃った状態で同じ画素数で、シャッター速度を固定して同じ適正露出であれば、ZD150/2とフル300/4でISOを2段高ISOにあげたものは同じと言うのは間違っていない。フル300/4でISOを2段あげずにISO100で撮ればこの前提であれば画質(ノイズ)はZD150/2より上がる。しかし、その分シャッター速度も2段遅くしないといけない。つまり、ノイズ、シャッター速度等使い勝手であっちたてればこっちたたずのトレードオフ関係が発生する。

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ここの関係は、上記のように極めてシンプルではある。そしてこの関係は別にデジタルになって起こった問題ではなく、フィルムの頃からある問題である。例えばOMとPenを併用したからと言って、同じ場所でカメラに応じてF値を変えるなどという馬鹿なことは生じない。

例えば同じ大きさに(極端な話全紙大等)伸ばせば、ハーフ判の方が粒子が粗くなる。これは上の撮像素子で言えば、画素数がたくさん取れる場合と同じ例であろう。下の例をフィルムに当てはめるなら、同じ引き伸ばしサイズに焼いて同じ画質を得るならOMでISO100のフィルムに対してISO50のフィルムを使うようなものである。

また、上の例を仮に理解したとしても、それが各機種のいいだの悪いだのになるとフォーサーズ登場以来、無限ループのように議論が交わされるのは実際のカメラ同士の比較でこれらの前提が満たされることが少ないこともある。そのカメラ固有の画像エンジン性能や、そもそも撮像素子自体が各社違う。それにユーザー側の思い入れや、重きを置くところがそれぞれ違えば、「メリットデメリット」は人それぞれとなるからである。

しかし、フォーサーズはこの基本的部分のデメリット部分をある程度見切った上で
・テレセントリック性等を中心として周辺部まで均等な画質を追求すること。
・同一有効半径のレンズであれば画角を二倍に伸ばせること
・同一画角のレンズであれば、同一F値で有効半径を1/2に出来る
と言うメリットを取り、これらのことから、広角側ではフランジバックの影響を受けるものの特に望遠側においては、同一画角でより小型にした上で、デジタル専用設計のレンズを構築出来るメリット、並びにシステム全体としての小型軽量のメリットを取ったものと言える。

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私は、オリとフォーサーズファンであるという前提から言えば、

オリはメリットとして、このテレセントリック性他マウント等ハードの規格に関するものでメリットを取った反面、例えば画素数(以前、デジカメwatchでのインタビューでもフォーサーズは20MP以上はフォーサーズは想定外と言っていたはず)とか、ぼけ量の豊富さというもののデメリットを背負っている。

しかし、例えばこれを実際の実用という面で考えた場合、

まず、高ISO感度の耐性に関しては、E-1、E-300等で当時厳しい見方ではISO200までが精々と言われたところもその後の撮像素子並びに画像処理の進展で大幅に改善されてきているのは確かだ。仮にフルサイズ対比どんなに頑張っても2段のビハインドは消せないとしても、2段差を云々するレベルが、ISO6400とかISO12800のレベルまで上がっていけば、(例えばフルサイズの実用上限がISO25600に対し、フォーサーズがISO6400)実用上のデメリット感は薄れてくる。

また、撮像素子当たりの受光感度も現状では、1画素当たりの面積=1画素当たりの受光量の議論が通用する範囲が広いが、これもソニーさんの新型素子、Kodakのパンクロマティック、パナの次世代?マイコビコン等ブレークスルーが来れば前提自体が変わってくる。

つまり、フォーサーズがメリットとして取った、マウント径、イメージサークル径、それに見合った撮像素子サイズから起因する部分というのは一度決めてしまったらなかなか変えるのが難しい部分である。これらをしがらみなくほいほい変えてもユーザーの信頼を得られる=商売になるのであれば、他社さんもAF一眼時代からの既存マウントにこだわる理由はない。一方で、上に上げたフォーサーズのデメリットと(未だに)されている部分は、今後の技術進展で改善ののりしろが見込める部分でもある。

尤も、「そんなすごい技術がでて、それをフルサイズが導入したら結局差が縮まらない」というおきまりの反論も出てこようがそれが上に書いたように仮に差があったとしても実用上あまりデメリットにならない領域まで行ってしまえば、どうでも良いという感じだ。
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蛇足だが、そう言う意味では、私は最近松を使って大口径によるアプローチはフォーサーズはやはりこれぐらいが限界かなあと言う気がした。
例えば、ZD150/2。サンニッパと比較すれば小さい。画質的にはこのレンズと比較する場合は300/4のレンズというより実際にはサンニッパをF4に絞った状態と比較するのが妥当だと思う。しかし、サンニッパの方がそれならもう一段ぼけるぞーとなった場合に、ではZD150/1.4が必要かという議論だ。

ZD150/1.4までやってしまうと、有効半径としてはサンニッパと同じになってしまう。これでZD水準としての作り込みをしてしまえば、仮に全く同じ使い勝手とクオリティを得たとしても結局サンニッパと同じレンズになってしまいそうな気がする。フォーサーズのフルサイズ対比小型化しながらも、フルサイズ以上にテレセン等に忠実に設計出来ると言うメリットが薄れてしまう。となると、精々フルサイズ対比1段程度明るく切れる程度に収めておくという「見切り」はぎりぎりのバランスのような気がする。

また、そういう大きなぼけや、どうしても高感度を補強したい場合にはその補強したい用途に関して、フルサイズで補強するという方が手っ取り早く、現状では有効であると思う。

私は、個人的にズイコー-フォーサーズ あれこれとあるとおりフォーサーズ、マイクロフォーサーズの考え方にも惚れ込んでいるものの、それ以上にズイコーレンズに惚れ込んでいる。不便を感じないのであれば、ズイコーを使いたいというので、E-systemでシステムを構築している。

しかし、
・現実的に一番シェアを取っているAPS-C
・ようやく役者が出揃い本格化してきたフルサイズ
・マイクロを展開し新たなステージに入るフォーサーズ
と各フォーマットそれぞれ発展途上、一長一短がある中では自分の撮影対象に明確なイメージ、対象がある人ほど、よほどしっくり来たのでないほど一社、一フォーマットでベストのシステムというのが組めるというのはむしろ希で、組み合わせて使わざるを得ない状況の方が自然かもしれないと思う。

とまあこんなところだ。
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by Hiro_Sakae | 2008-11-23 00:16 | four thirdsの思想


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