2009年 03月 08日
渡辺部長のC-Net Newsのインタビューに関して(AF編)
  続いて、渡辺部長の発言の中のAFに関するものである。元記事へのリンクは下の記事に貼ってあるのでそちらを参照願いたい。こちらは下の記事にも末尾原文を引用したとおり、画素数据置の3要素(ダイナミックレンジ、色再現性、高ISO)改善優先よりは、更に少し先の話のようではあるが、、




  細かい話であるが、注意深く読むと用語の使い方に通常と違うところに気づく。位相差AFシステムを指す言葉としては、"phase detect autofocus"を使っている。これは普通。そしてコンデジのAFシステムを指す際には、"...compact cameras, which use a "contrast detect" method that analyzes the data from the image sensor itself.と"contrast detect"と使っている。これもコントラストAFを指す用語としては普通である。

  しかし、これをDSLRにおいて語る部分においては、渡辺部長は敢えて" imager-based autofocus ”という用語を使っている。念のためにググったりしてみたが、imager-based AFと言う言い方は普通あまり無く、例えば米国オリのE-30のスペックシートなどでもイメージャーAFは"Contrast detection system "と書かれているし、Photokinaでの同社の寺田氏のインタビューでもマイクロのAF等に関して" contrast detect AF "と言う言い方をしている。尤も上記のように渡辺氏もコンデジのそれは"contrast detect"を使っているからだ。

  仕事での経験上、技術系の方のプレゼン、説明には上手下手の違いはあってもこういう技術系の用語の使い分け?と言ったところは厳密にされることが少なからずあるのでここが気になったのである。

加えて、この位相差AFシステムの問題点として氏は現状の同システムでは
"phase detect" autofocus subsystem"つまり、撮像素子面上で測距しているのでなく、正確性で劣る点。(原文では”Phase detect focuses not on the real surface but on a virtual surface," )

点に加えて、現行の撮像素子と別途AFシステムを置く方法では、ライブビュー時にこのAFシステムが使えずライブビュー時のAFの使い勝手が悪くなっている点を指摘している。
長文であるが、原文を引用すると、、

"Watanabe, though, believes image sensor-based autofocus will outperform phase-detect systems in the future. That's important not just for compact cameras, but also for SLRs that today often have an awkward problem with composing a shot using the camera's LCD: when the sensor is in use to run the display, the phase-detect autofocus subsystem can't be used. That means live view on SLRs today is typically a frustratingly slow process."

これの"not just for compact cameras"を、"not just for Mico-Fourthirds"に置き換えれば、渡辺氏の言うimager-AFシステムとは、コントラストAFを含むかもしれないが同義ではないことがわかるだろう。すなわち、マイクロのように最初からコントラストAFに最適化されていればここで渡辺氏が解決しようとするimager-based AFは必ずしも必要ではない。DSLRがファインダービューと、ライブビューを併用しようとする場合に、
撮像素子と別にサブシステムを必要とする位相差AFシステムでは、ライブビュー時にそれを使えない事になり問題になるわけだ。そして、仮に現行位相差AFからimager-based AFシステムに切り替えたとしてもそれは位相差AFに劣るものでは無いということだろう。
また、ここで解決しようとしているのは、フォーサーズタイプにおけるAFシステムであるということも推察出来る。

2.撮像素子AFでオリンパスがやりたいこと

これは、上記の通りファインダー(ここでは光学ファインダー)とライブビューにおいて双方使えるAFを作りたいと言うことが第一点だ。そしてもう一つは、ボディから現行の位相差AFセンサーを取っ払ってしまいたいというところだ。

E-30のカットモデルなどを見た人はわかると思うが、ミラーから下は殆どのスペースをAFセンサーが占めている。ぶっちゃけ、この部分が無くなれば省スペース、省コストの面からも少なからず寄与するのは明白だ。

撮像素子を利用したAFとなるとコントラストAFが有名だが、過去にもここでいくつか紹介したものやそれ以外でも、位相差AFセンサーの代わりに「撮像素子を使ったAF」となれば、オリンパスは様々な特許を出している。やり方はいくつかあれど、共通するのはコントラストAF以外に、撮像素子のセンサーを位相差AFセンサー変わりに使おうというアイデアだ。撮像素子自体に手を入れるものや、現行のAFセンサーに導くサブミラーの変わりに、ここにある種のマスクを付けてスルーさせ撮像素子上でAFを行うものや、最も最近のものでは撮像素子の画素の一部のマイクロレンズ上を一種のシリンドリカルレンズを使い分光し位相差AFに近いものを行わせるものなどである。そして、これとコントラストAFによるデュアルAFもしくはハイブリッドAFの様なものが考案されている。

公開特許の場合、例えばツイン千鳥センサーのようにすぱっと出て、そのまま出てくるものもあれば、ぶれ補正のようにいくつか出て、その内の一つが出てくるもの、あるいはリレー系光学ファイダーのようにお蔵入りのもの等ある。また出願は今より更に遡るし、そもそも見えないものもある。従って上記のようなもので出てくるわけでなく、これらが試行錯誤の上の(適切な表現でないかもしれないが)残滓の可能性も高い。

しかしながら、一時ツイン千鳥センサーとライブビュー時のコントラストAFの改善の仕組みが出てから一服していたAF絡みの特許の公開が今年に入って増加しているのは事実である。出願にさかのぼると丁度E-3のリリースされた2007年後半あたりから増加している形だ。

いわば、現行ある位相差、コントラストの次に来る第三のAFセンサーとも言える。(オリンパスはE-3開発にあたり、現行あるAF方式ではDSLRの要求に耐えられるのは位相差AFだとPassion For Bestでは語っていた。) 目論見通りのものが出来れば、このAFセンサーは、従来の位相差AF方式用のレンズでも、コントラストAF用でも問わず撮像素子AFで出来るもので且つ、位相差、コントラストの良いところ取りを目指したものとも言える。

3.いつ出るのだろうか、そしてこれは何を解決するのか?

オリンパスの特許に関しては、オリンパスででるものと、オリンパスイメージングで出るものがあり、当然後者の方がより製品よりのものが公開される。現状の出方ではひょっとすると来年頃はまだ現行のイメージャーAFでいくのかも知れない。次期E-3に間に合うかどうかは?であろう。と言うのもこの抜本的解決となるAF方式以外に、現行のコントラストAFとの併用の範囲内でこれの使い勝手を改善するものも平行してでているからである。もう一度、現行のコントラストAFでやれるところまで改善した上で、その次ということかもしれないが、(その辺が渡辺部長のnot necessary~に現れているのかもしれない)

うかがい知れることと言えば、E-systemに関しては(特にE-一桁、二桁)オリンパスは今のところ光学ファインダーとライブビューの融合を全然辞める気はなさそうだということだ。

また、過渡的にはZDのコントラストAF対応を進めていくのであろうが(特にマイクロの互換性との考慮)、何れこの新型センサーが出れば、恐らくSWDの爆速をライブビューでも使える時代が来るのかもしれないし、マイクロ機にも搭載してAF方式を統一出来れば、フォーサーズ、マイクロ間でのAFの違いによる使い勝手の悪さは一気に解消される可能性もある。

加えて、フォーサーズボディにおいても更なる小型化が期待出来る形だ。

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12MPで充分議論がクローズアップされた感があるが、こうして考えると今後のフォーサーズを考える上で、渡辺氏が、
フォーサーズにとって必要なこととして

・画素よりも抜本的な画質改善の必要性
とそれよりやや先になるが、
・撮像素子で完結しAF用サブシステムの不要な次世代AFシステム
にフォーカスするという発言と捉え直すなら、

前者は、フォーサーズのボディ側での一番ネックの部分の抜本的解決を、後者はフォーサーズのDNAと言うべきより小型化への道を切り開くと同時にフォーサーズ、マイクロ間の互換性のネックの一つをとりのぞくものとして、コアな部分を網羅しており大いに期待したいものである。

また、この辺が、デジカメwatchの方のインタビューで氏が言っていた、「まだ楽しみにしている将来の技術はたくさんあります。そんなに心配はいらないですよ」の発言につながってくるのなら、嬉しいことだ。
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by Hiro_Sakae | 2009-03-08 12:40 | E,Pen-system関係


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