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2009年 08月 16日
下の記事の続きとして、、
オールフォーサーズと対極をなす感じで、コンスタントに受賞をしているフルサイズDSLRなどについてはどうなんだというところを勝手な与太話として、、



ということで、先ず本題に入る前にAPSのハイエンドというべきところを見てみたい。

例えばE-3が出た2007年。
ミドルクラス一眼競合として、
キヤノン二桁機、ニコンD300、ソニーα700に、E-3を絡めた
ミドルクラスWARS的な盛り上がりを見せたことを記憶している方も多いだろう。

そして、今年はと言えば、
ニコンは既にD300sを出し、噂ベースでは今月中にもキヤノン、そしてソニー、オリンパスとこの2年前に競合した機種達の後継が出る。が、盛り上がりに???感は否めない。

細かいことを言い出せばきりがないだろうが、これをポジティブに捉えるとなれば(特に)上位にフルサイズを持つ各社のAPSミドルクラスは、(動画機能等の付随機能は別にして)そろそろ、スチルカメラの基本機能に関しては熟成の域に入ってきたと言えるのかもしれない。やや、嫌らしい言い方をすれば各社の中の
上位 フルサイズ
中位以下 APS
というヒエラルキーにおいて下克上が起きないと言う制限があるのかもしれない。

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さて、フルサイズはどうだろう。更に高画素へ、10MPオーバーから20MPオーバーへ突き進んだのと同じスピード感で今後も30MP,40MPと進むかと言えば疑問だろう。まず、現行の20MPオーバーでも「敢えてフルサイズを入れるに足る画質」を得ようとすればレンズを選ぶと言う現実が上げられるし、レンズのリニューアルも特に現在のエコ硝子利用が当たり前となると、2000年頃以前のモデルは、硝材からの見直し(事実上の新設計=コストかかる)が必要となる。

ビジネスとしてペイさせるとなると、悩ましいのはフルサイズの今後の利用形態のいく末である。(特にアマ用途)元々はフルサイズもAPSもひっくるめてコンシューマー向けのAF一眼レフである。従ってボディをばんばん売って、素人さんにあれやこれやと利幅の大きいレンズをばんばん買ってもらうという事でビジネスとしてペイしている。逆に言えばビジネス全体としてペイするから(ボディも)それなりの価格設定に出来るわけだ。

一方で、35ミリカメラ(主にコンパクト)全体の質量がコンデジや携帯電話への代替で明らかに小型軽量化にシフトしている中で、フルサイズ=高画質の訴求だけで現状の質量を維持していれば、かつての中判カメラの様な位置づけになっていく可能性があるではということだ。一般的に写真好きで中判カメラを導入する場合に、全てをこれで賄うというのはなかなか難しい。例えば写真好きでオールラウンドに使えるシステムを構築した上で、画質最優先で撮りたい時もあるとなった時に、
A.オールラウンドにフルサイズを使い、楽をしたい時だけAPS、フォーサーズ等を使う。
B.オールラウンドにはAPS,フォーサーズ等を使い、画質最優先だけフルサイズ等を使う。
という2ケースを考えると、Bの比重がより高まるような気がする。

一つには、冒頭述べたように、APS等自体(ミドルクラス以上)が各社機種変更でマイナーチェンジで済ませないといけないほど?普通に使うカメラとしては既に熟成されつつある(充分用途を満たす)ことだ。

もし、Bと言う位置づけがより高まれば、それに見合った台数を前提に価格設定せねばならず、APS用より(同じグレードでも)単価は上げざるを得ない。かといって、レンズ投資をけちればAPS、フォーサーズの上位クラスと出来上がりの画質はほとんど一緒となってしまう。やはり、ボディもレンズもそれなりにとなると益々、フルサイズの(立ち位置&価格としての)中判カメラ化は進んでいく。

今、これを緩和?しているのは、特に望遠域において「フルサイズのレンズがAPSと共用出来る」という仕組みであろう。APS利用者にもフルサイズ用?のレンズを使ってもらう。「いつかはフルサイズ」と買ってもらう事により量産効果が効く。本当にフルサイズにステップアップするかは別の問題である。

FXが無かった頃のニコンさんのDX用F2.8ズームではないが、DXのFX対比小型を活かしたレンズ群をばんばん繰り出されたり、キヤノンがEF-S用にもLレンズ群をちりばめるようなことになれば、フォーサーズ贔屓の私としては、フォーサーズVSAPSの競合的には危惧する事態となったのが、恐らく上記の事を考えれば各社フラグシップ級はフルサイズ利用を前提にした画角での投入、APSは売れ筋のみを押さえるという事に今後もなるだろう。(そしてその穴がサードパーティ製と言う棲み分け)ちょっと脱線した。

厳密に言えば、その分はAPSの本来の価格はフルサイズ込み込みでカバーする分、「APSオンリー」より価格は高くなるかもしれない。本来二強さんのAPS VS フォーサーズなどではもっと量産効果で価格差が開いても良いのかもしれない。

「じゃ、なんやかんや良いながらもうまくしのげそうだな」と言う感じもするが、、懸念材料というのは無くもない。

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一つは、これはユーザー側でも感じているとおり特にDSLRビジネス自体がエントリー機を中心にだんだん儲からない商売、商品もコモディティー化しつつあると言う点が上げられる。量産が見込めなくなる可能性のあるフルサイズの開発を抱えてのコストをラインナップ全体で吸収出来るほどの高収益をこれから先も維持出来るのりしろが確保出来るか?という問題だ。

一見、ダブルマウントで非効率に見えるフォーサーズとマイクロであるが、レンズ以外は撮像素子等のデジタル周りは完全に共用が効く。レンズの更新サイクルと、撮像素子等の更新サイクルを比較すれば前者(レンズマウント同じ)が共用が効くよりも、撮像素子周り(フォーマットが同じ)で共用が効く方がむしろ開発効率は高いかもしれない。

もう一つは、今までDSLR市場を牽引してきた二強さんを取り巻く環境の変化だ。最近の景気悪化により両社のベースを支えてきたキヤノンであれば事務機部門(各社の経費削減のあおり)、ニコンではステッパー等の精機部門(設備投資の冷え込み)の業績が悪化していることである。今まではここが下支えした上で、カメラ部門が収益を稼ぎ出すという好循環を演出してきた。

が、本業の方がきつい、極端な例で言えばニコンさんのように通期見通しでも赤字見通しとなると当然その中で黒字を出しているカメラ部門に対する収益要請にドライブがかかると想像するのが妥当だろう。キヤノンさんとて同じである。DSLRシステムとしての戦略となると、レンズラインナップの入替や最終的なボディラインナップの位置づけ構成など、1期、2期では完成しないこともままある。従って、システムとしての長期的成長戦略を考えた場合には、短期的な収益要請へのコミットが高まるのはプラスとは言えない。

ここ何年かは、本業が好調な上に、カメラも好調という非常に恵まれた時期とも言えここの変化には注目したところだ。

脱線するが、、
オリンパスに関しては本業の医療事業がこの不景気化でも堅調に推移している上に、前期までアキレス腱であったITX絡みが一掃され黒字幅を拡大と足腰が他社対比安定しているところに加え、(あまり誉められたことではないが、、)二強さんほどDSLR事業への収益影響は良くも悪くも軽微である。マイクロのテイクオフ具合から見ても、殊DSLR事業(含むマイクロ)に関して言えば(他社環境の相対的悪化も勘案すれば)良いことすらあっても悪くない環境と言えるだろう。

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もう一つは、フルサイズがその撮像素子の大きさを活かして価格を下げて量産するのでなく「ひたすら高画質を求める一部のハイエンド層を取り込み続け高収益を確保する」と言う道である。

個人的には、私はこれが出来れば良いのだろうがこれとて限界があると思う。
先ずは、「画質が良いなら金はいくらでも払う」という特上の顧客をつかむ、言い換えると画質には妥協しないと言うのを突き詰めると、
・フルサイズなら、フルサイズの画質に最適化された新しいマウントのシステム
というものに行き着くはずである。これの例としては去年発表されているライカのSシステムのようなアプローチである。

もう一つは、現行のDSLRの様に既存マウントでやりくりしつつ画質を上げるというのであれば、
・ひたすら、撮像素子のより大きいシステムを求める
というものになる。これの例としては既にプロの業務用で使われている中判のデジタルバックなどのシステムとなる。

たまたまと言おうか、見られた方もおられると思うが、
先月の日本カメラではフルサイズDSLRとこれらデジタルバックとの画質比較が行われていたし、興味があれば、同じく先月発売のCOMMERCIAL PHOTOでも「個性で選ぶデジタルカメラ」としてPHASE ONEの65+
他のデジタルバックと、5DMarkIIやD3Xとの興味深い比較記事が上がっている。当たり前であるが、これは予想以上に画質の差は歴然である。(デジタルバックの方が良い)

デジタルバックやライカSシステムなどというと定価で見ると安いものでも300万以上で縁がないものと思いがちである。実際、今のところ私などには縁がない。(笑)しかし、日本カメラでも紹介されていたように、中古デジタルバックをメーカーで再調整して保証を付けてくれるリファブリッシュ品というものもある。CaptureOneをレジストしている関係でよく送られてくるナショナルフォートさんのHPなどを見ても、

例えば、
PhaseOne645AFボディ、AF80mmF2.8Dレンズ、バッテリ-×1、チャージャー、FireWireケーブル、CAPTURE ONE DB、ケースといったフルセットに、25+のデジタルバック(リファブリッシュ品)をつけて、178万円である。ちなみに、P25+の新品定価は388万5000円で、新品をセットしたボディ、標準レンズ付きセットは、425万円である。

ちなみに、今やっているキャンペーンでは、上記のリファブリッシュ品をP45+に格上げした上で標準レンズ以外に定価50万円程度のレンズ一本を付けてセットで買えば280万円というのもある。

一方で、
ハッセルの50MPフラッグシップ機H3DII50なども、定価よりは実売はうんと安い。

大体、キャンペーン価格なのだが四季折々キャンペーンをやっているのでこれらが実売と言うところだろう。
勿論、使い勝手としては使いやすいものでは無いのであるし、35ミリ一眼のように万能というわけでもないが、使い勝手に注目すれば、動体、超望遠の世界等、現在でも必ずしもフルサイズが必ずしも有利というわけでなく(APSやフォーサーズの方が、取り回しの良さ、コストパフォーマンスの良さは秀でているはずである。)

風景撮影等フイルム時代に中判を使っていた様な許す限り高精細画質を要求したい一部ハイアマ層で、ああでもない、こうでもない、結局キヤノン、ニコン入り乱れてフルサイズ毎年買ってます的な方であればこれを一台いっておくと言うのも手ではある。

要は、コンシューマー用のDSLRに限らずこれら業務用クラスも価格は下がってきており、ここまでいけば、
「使いこなせれば、画質でこの先も不満は出ることはない=耐用年数が長い」すなわち、
「一時金が用意出来れば長期的にはコストパフォーマンスは意外によい」と言うところが、
最近のフルサイズのデジタル化で
「ピクセルまでチェックして高画質を追求することに目覚めた一部の層」に広く認知されれば、

この辺に飽き足らないアマが流れ込む=業務用以外にも売れる=単価が下がる
という流れも考えられるという事だ。(これら中判専業メーカーとて、もし儲かるならユーザー層を拡げたいのは企業として一緒だ。)

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最後に、脱線すると、
ここ、数年高画素を筆頭にDSLRは走ってきたとも言えるが、、オリのオーバー20MP狙わない発言の様にも見られるようにそろそろ画素数アップがユーザー側のメリットになる領域が狭まってきた気がする。

12MPでどこまで大伸ばしに耐えられるかというのは色々議論のあるところである。被写体や許容度によると思うが少なくとも(解像度に関しては)35ミリフイルムがカバーしていた領域は超えているのではないだろうか?A3からA2、全紙程度まではOKの様な気がするし、それ以上伸ばせないわけではない。つまるところ普通に使っている分に困ることは無い。

要は12MP~15MP以上の画素数を稼げるメリットを感じようと思えばA3超もしくは、PC上でピクセル拡大してにんまりするところしかメリットが無いと言うところだ。
画質評価などで、この画素数(解像力)と共に出てくる、高感度特性や、ダイナミックレンジとは正確を異にする。

高感度特性の良さや、ダイナミックレンジの広さは、何より使い勝手を良くする。また高感度ノイズの荒れや、ダイナミックレンジ不足による白飛びなどは、ピクセル拡大や大伸ばしをせずともわかる(正確に言えば、これらによる画質の差異の及ぼす範囲が12MP~15MPと20MPでの画質の差がわかる利用範囲よりも大きいという言うこと)からだ。

また、画質というものを語る際に、やはり私は最終的にはレンズの性能に行き着くのでは無いかと考える派である。(だから、フォーサーズが好きなんだけど、、)レンズの収差等は確かにデジタルで処理を出来るようになったし、周辺光量の低下も後処理が可能ではある。が、周辺光量の低下であればそれはそこだけ後から明るく補正していることには変わりないし、収差をデジタルで取るとしても限界はある。補助的に、あるいは完璧を期するためにそれらが有効利用されることを排除する気はないが、あくまでより良くするものであるはずである。

例えば、ボディ側の画質に関しては例えば高感度ノイズであればISOを下げるとか、ダイナミックレンジが足りないのであれば撮り方を工夫するとか手の入れようはある。また画素数は上記の通りその差が問われる鑑賞方法は限定される。
が、例えば(ズームなどで)補正でも取りきれない歪曲収差、あるいは二線ぼけ等のぼけの癖、似たようなものでいわゆる口径食による、玉ぼけのレモン形状化などは、レンズによるところが大きい。また、この違いは、縮小画像でもわかる。よく、価格コムなどでも縮小画像で画質を語ること自体がナンセンス的な書き込みを見るが、確かにピクセルで見ないとわからないものもあるが、一般的に10MP超の画像でピクセル単位で見ないとわからないような差異は一枚の写真としての善し悪しでは些末なことである。それよりも上記のようなぱっと見てわかる違いの方が私には気になる。


そして、長くなったのでこれで本当に最後にするが、
最近のデジタルになってからの急速な技術進歩で画素なり、ダイナミックレンジなり、高感度特性なり無限に性能が上がっていくかのように思ってしまうが、人間の方の物理的な限界は何も変わっていないと言うことだ。

いくら、画素数が増えても鑑賞するスペースや、大伸ばしの写真をばんばん飾る家の壁が無限に拡がるわけでもない。鑑賞距離が決まれば、一覧して俯瞰出来る目の画角が極端に拡がるわけでもない。目の分解能が倍々でアップするわけでもない。
高感度においても、正直D700などを使っているともうこれでも充分以上だなと思ってしまう。これ以上高感度改善する開発費があればその分安くするか、軽量化に使ってくれと思ってしまう。世の中、太陽や室内の明るさは10年後も変わらないだろうし、夜の街もこれ以上明るくなることはあっても暗くなることはない。
つまるところ、これ以上は改善する(=応分のコストを払う)事によるユーザが感じる利便性のアップ幅がどんどん縮まっていくし、常識的な利用で必要とされる物理的な限界に近くなってきている。

個人的には、今のペースでいけば結局フォーサーズ程度の撮像素子でその限界までいっちゃいました~と言う事になるのではと思っている。(からこそ、フォーサーズを使っているわけだ)

結局、長くなる時の常で結論のないまとまりのない話になってしまったが、
自分で書いておきながら、うーむ、何か一発どかんとカメラが買える金が入ったらPhaseOneかLeafっちゅうもんが一辺どんなものが使ってみたいなと思ったりもした。

by Hiro_Sakae | 2009-08-16 22:16 | 未発表機種/他社動向


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