2006年 01月 28日
今回、DSLRでライブビューという独自機能を世に問うたオリンパスであるが、オリンパスの独自機能の元祖と言えばこの「ダストリダクション」機能である。これの有用性を説くのは今では、要らないという人たちと要、不要の無限ループを組成すると言う点で、ある意味鬼門の様な話題ではあるが。(笑)、今回のE-330でまた新たにDSLRに興味を持つ人も居ると思うので、将来への勝手な展開も踏まえつつ、敢えて書いてみたい。結論は当たり前だが、これはこれからこそ真価を発揮する仕組みであると思う。 先ず、そもそも撮像素子にはどんなゴミが付くのか、どうして付くのかと言うことで、レンズ交換時に入ってくるゴミしか思い浮かばない人や、レンズをはめっぱなしにしておけば物理的に大丈夫だろうと思う人がいれば、皮肉にもニコンさんの「ローパスフィルター清掃講座」の記事にわかりやすくゴミの事がでているので、先ずこれを読んで頂きたい。 これを読むと、 ・外からはいるゴミ以外に、機械から発生するゴミダストがあること。 ・ゴミと言っても、目に見えるようなものでなく、ミクロン単位のものであること。 ・撮像素子が静電気を帯びるために原理的に吸い寄せてしまうこと。 等が書いてある。 そして、画像に関して言えば広角レンズで絞り込んだ場合に現れやすくなることである。 オリンパスのダストリダクションはとかくスーパーソニックウェーブフィルター(SSWF)、ゴミをふるい落とすぷるぷるフィルターに話題が集中しがちだが、発想の順序としてはこれは最後だ。 オリンパスのダストリダクションの肝は、物理的にダストがCCD(ここではローパスフィルターまで含む一体としてのCCDを考える)に付着しないようにこれをいわば密閉した容器に入れてしまえと言うことだ。構造的にはCCDはSSWFをふたにして閉じた空間の中に封入されている。従って、時折画像にゴミがうつったという事例がアップされているが、少なくとも ・製造中にこの封入空間にダストが入ったり、 ・何らかの原因でシーリングに欠陥がある と言ったそもそもの不良品でない限り、CCD上にダストが付かないという意味での「ゴミゼロ」に嘘は無いのである。 まず、このCCD自体を完璧に封入してしまうと言うのが第一のポイントである。ただそうするとCCDにダストは付着していないが封入している部分にダストがついたものはどうするんだということで、ここについたダストを落とすための仕掛けがSSWFと言うことだ。 また、(これもファンの方には周知の事実ではあるが、)SSWFに関しては、物理的にダストを払い落とす機能と合わせて、位置決めにかんしては万が一SSWFですら落としきれないような微少ダストが残存したとしても、画像に影響を与えないようにCCDとの距離が設定されている。 とまあ、ここまでは良い。問題はそこまで完璧にしなくても現状では他社DSLRでゴミが付くことはあっても実用上許容範囲で使えてしまっていると言うことだろう。何故だろうか?オリは無駄な事をしているのだろうか。 例えば、例に出したニコンで行けばメカダストに関しては、充分エイジングを施すことにより解消するとしている。ここでは現状DSLRでもメカダストは考慮しなくて良いとしよう。 ダストの付着のプロセスとして、レンズを交換する際にゴミが飛んできてくっつくというのでなく、交換時に入ってきた空気の中に紛れ込んだダストがハウジング内に残存し、これがミラーの駆動で撹拌されたり、CCDの静電気に吸い寄せられる形で付くと言う説明があった。 私が思うに、(注意深く使用するという前提で)元々一眼レフ自体撮像部分にダストが進入しにくい構造になっていることが、現状のDSLRでも実用上許容範囲内に収めている理由ではないかと思うのだ。そもそもフィルムでもフィルム面にダストが付いては困るのである。 通常の状態では、レンズ交換する場合は、レンズ面とCCDの間には先ずミラーがある。そして更に露光するわずかな時間を除いてその前にはシャッター幕がある。フィルム時代からも元々完璧に遮光出来ていたわけであるから、この辺の仕組み自体が遮光以外にダストの防止にも役立っているのだろう。しかして、不用意にダストが入らないように注意をしてレンズ交換すれば、これらミラー、シャッター幕をくぐり抜けて且つ、写りにも影響するようなダストが付着する可能性は意外と少なく、従って他社のような、付いたらクリーニング、もしくはサポートセンターでも大半のユーザーには影響なく使えていると言うことだろう。 これらを考えると、私はある意味現状のDSLRではダストリダクションはあるに越したことはないが、多くの人にはなくてもなんとかなるというのはわかるような気がする。ただ、それはたまたま今までの一眼レフの持っていた特徴がダストの防止の機能にも現状ではある程度有効だったというだけに過ぎない。今後の展開を考えればまたちがったものになるだろう。 先ず考えられるのは、今回E-330で登場したライブビューB方式である。本来ライブビューというのであれば、撮像素子が受けたもの自体をライブで見る形のB方式が今後発展していくことであろう。(特にEVFでは) レンズ交換時にダストを含む外気がハウジング内に入ったとしても、通常の場合はミラーがあがり、何百分の1かのシャッターが開く間だけCCDがこの外気に直接ふれるだけである。しかし、ライブビューBの場合は、ミラーは上がりっぱなし、シャッターは空きっぱなしで、今までとは比較にならない長時間この外気に晒される形になる。それも通電した形でである。 従って、私はこの撮像素子を観察中もハウジング内の外気に通電させた状態で外気に晒さなければいけないEVFの導入において、ようやくダストリダクションの真価、価値が問われるようになると思うのだがいかがだろうか。 また、これは妄想ではあるが(笑)オリンパスの公開特許にある、撮像素子+画像処理エンジン(グリップ部分に入れる)のユニット化による、「撮像素子交換可能なカメラ」というものがもし将来的に実現化されるとしたら、ユーザーの交換容易性を確保するためにはやはりこの「CCD部分をフィルターを蓋にして密閉してしまう」と言うのは有効では無いであろうか。実施例においてもこのSSWF付きのユニットで交換する形になっている。 ダストリダクションが今のDSLRにおいては、理論的には正しいがそこまで必要ないのではないかというのは、私は、的を得た意見だと思う。しかし、それは今の形のDSLRにとどまるならばと言う意味である。E-300のスタイルの為としか思えなかったポロファインダーが、E-330になってその技術がもたらす可能性に気づかされたように、このダストリダクションシステムが将来「なるほど、そういうことか」と思われることを期待している。 最後に、他社がライセンスを受けてこれをすぐ導入出来るかとなれば私は懐疑的だ。この構造はCCDとSSWFの距離がフォーマットの大きさから考えてかなり深くとってある。またCCD迄にローパスフィルターがあって、さらにこのSSWFがある構造だ。 まず、他社のフォーマットサイズでこれを作った時にフランジ上収まるのかという点がある。 そして、(これが肝心だが)余分なフィルターが1枚入ればやはり妙な反射も無いとは言えないであろう。それもCCD面から離れた距離に入るのである。やはりここでもテレセントリックな光の方が有効では無いであろうか。
by Hiro_Sakae
| 2006-01-28 21:10
| four thirdsの思想
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