2006年 05月 14日
私的オリンパスのDNA、 プロ仕様でなく、究極のアマ仕様
梅雨でもないのに、土、そして今日もこちらは雨で写真もアップ出来ないままである。オリンパスの新中期計画も出て、色々考えたこと、前から思っていることでもあるのでここで敢えて書いてみたい。長文になるが、もしよければご一読して頂きたい。



 結論から言うと、私はE-systemを立ち上げた時に殊更プロ仕様というのがクローズアップされたのがいささか不満である。プロの使用に耐えるだけのクオリティをと言う意味では大いに納得出来るし、一眼レフシステムである以上、プロの使用を前提に作られるのも理解出来る。事実OMシステム立ち上げにおいても、オリンパス初の本格的カメラシステムと言うことでこのプロ使用は強く意識された。しかし、底流に流れるオリンパスのDNAの真骨頂はむしろ、市井で自らカメラ、レンズを担ぎ、写真を愛する者への視点、これら愛好家にとってのベストカメラがあると思うのだ。


1.オリンパス小型カメラのスタート オリンパス35の場合

 戦前に、当時ツァイス、ライカがほぼ独占していた光学機器の粋、顕微鏡を国産化しここで得た技術を以てこれらドイツの先達と同じように写真向レンズ、セミオリンパスの誕生とカメラメーカーとしてのオリンパスをスタートさせた。他社の例に漏れず、昭和16年以降は戦時体制で一時実質的に断絶、戦後再開されこのセミ判や、当時はやりであった二眼レフ等を製造しながらその後綿々と続く35ミリカメラのオリンパス35が登場したのは昭和23年のことである。

 オリンパス35設計に当たっては、
・小型カメラとしてスタートした、ライカ、コンタックスもその交換レンズやそれに応じたファインダー諸々を持ち歩くとなると、かなりの重さになってしまう。
・且つ、未だに、とても高価である。
と言う点を踏まえ、企画としては、
・35ミリフィルム(小型化のため)を使い、使用法が簡便。
・速写が可能で、大衆版。かつ小型で可愛いこと
と定められた。
そして、この時のモットーが、
「取りだせば、すぐに写せる小型堅牢な35ミリカメラの大衆版」であり、
「写真を大衆の手に」
である。そしてこの後はこれを理想にカメラが作られることになる。実際このシリーズの35IVはオリンパスの最初のヒット作となり、これをベースにして発売されたオリンパスワイドは世に「ワイドブーム」を引き起こし広く支持を受けることになったわけだ。

2.ペンのスタート

 ペンの時代に関しては設計者の米谷氏が色々なところで書かれているので、かなりのことが明らかになっている。ただ米谷氏の着想が「ライカのサブカメラ」的なる物であったために、ペン=サブカメラ的なイメージを持たれる方もいるがこれは違う。最終的にオリンパスのペンとして登場した時には、それは多くの人にとっては「メインカメラ」であったのだ。むしろこの当時でも高価であったカメラをより普及させたという面が強い。
 事実、オリンパスペンの発表会でのスピーチでは、オリンパスペンの位置づけを「万人が常に携行して邪魔にならず、容易に使える、そういうカメラが必要ではないでしょうか?」と問いかけた上で、「このカメラに託した我々の期待」は「万人が気安く入手しうる価格で、万人が気安く持ち歩きうる大きさ、重さ、形で、万人が気安くレリーズボタンが押せて、気安く楽しめる写真の出来るカメラ、それがオリンパスペンの理想であります。」と結んでいる。

3.そしてOMへ

 OMは「宇宙からバクテリア」までをカバーするシステムカメラとしてオリンパスが本格的にプロを意識したシステムとなった。当然、プロフェッショナル使用を前提として作られたものであるが、その中にあっても、小型、軽量を第一としている。思い描いているユーザー層も実際にはプロだけでなく、実際にカメラを持って、フィールドに飛び出してい写真好き、ユーザーへの視点が色濃く残っていると思うのである。
 米谷氏は、OMー2が発表された頃の朝日ソノラマの「オリンパスのすべて」に「設計者から見たOM-1、OM-2」という一文を寄せられている。その中で立派な一眼レフシステムが色々生まれたが、どれも実際にどれも大きく重くなってしまい、1日持ち歩こうものなら肩に食い込み身に応える→だから、システムの小型軽量はとても大切なのであると論を展開された後、こう続けている。少し長いが原文を引用する。

 「なんだ、軽いだけではないかとか、小さいだけではないかと思われる方がいるならば、それは写真を、写真の撮影をなんであるかをご存じないからだと思う。写真はけっして想像の産物でもなく、部屋の中に座っていて生まれ出るものでもない。現実の姿をとらえ、定着された映像を通して何ものかを表現し、見る人に語りかけるものである。いうなれば写真は足で写すものだといってもいい過ぎではない。それだけにシステム全体が小型軽量化されるならば行動範囲も広がり、決定的瞬間をとらえるチャンスも増えるというものである。」

また、小型化の意味においても、昨今のフォーサーズに対するフォーマットが小さいんだからAPSのDSLRより小さくならないといけない的馬鹿げた話しではなく、

「小さいことは良いことだとなりそうだが、けっして小型化することだけが目的ではない。使いやすくすれば結果として小型になるのである。もし小型化することによって使いにくくなったのでは、それこそ無意味な努力に終わってしまう。それというのも操作する手や指は小さくならないから、一歩間違うと小さくなったが使いにくくなってしまったということになりかねない。各操作部を一つ一つ検討して、重要性にしたがいウェイトを付け、使いやすくしながら小型軽量化をはかり、35ミリ一眼レフに機動性を持たせること、これがOMシステム展開の基本的理念の一つなのである。」

まだ、米谷氏が若かった当時の文章でいささか気負いすぎの感じもあるかも知れないが、意気込み、思想がひしひしと伝わってくる。


4.山の頂は同じであったとしても、、、

光学製品として、広く一般的に思い浮かぶのはカメラであろう。光学メーカーも憧れ、これに挑戦する。しかし、皮肉なことにこの厳しい世界でメジャーに生き残っているところにカメラ専業メーカーは無い。全て淘汰されてしまった形である。

皆それぞれ、カメラ以外の得意分野を持ちその多くはカメラ以外の分野ではトップシェアを誇る。いわばこれら他の光学分野でトップシェアを取った「その道でのトッププレイヤー」達が集い、ブランドを賭けて争う檜舞台がカメラ市場ということであろうか。中でもその最高クラスに位置づけられる一眼レフシステムであるから、ハード的には目指すもの、要求される性能は似通って来るにしても、そこに至る思想には各社の色が残るだろうし、また残るべきだと思うのである。

そう、考えた場合、やはりオリンパスにはこの顕微鏡等で培われたトップクラスの技術、開発から出てきた様々な恩恵といったものを、広く一般の写真愛好家に還元すべく、リーズナブルな価格で、且つ一般ユーザーから見た使いやすさという視点を引き続き、大切にしてもらいたいなと思うわけである。

例えば、今出ていてるダストリダクションやライブビューなどがそうである。勿論プロも重宝するのかも知れないが、ゴミ取りに手間をかけたり、サービスステーションが必ずしも近くにあるわけでもない一般ユーザーにこそ必要な機能であると思うし、また、より負担をかけずに撮れるという意味ではライブビューもそうであろう。(プロなら別に寝転がってでも、はってでも撮ろうというのがむしろプロだろう)
また、このライブビューの拡大機能などは、年をとってMFが辛くなった方などには1年、2年とMFを楽しむ時期を延ばす手だてになるかも知れない。プロを意識することでより、高度化し鍛えられるという良い面もあるが、プロには不必要でも市井の写真愛好家には重宝する、むしろ写真を愛する人には何が必要かという視点、オリンパスのこの視点からプロにも通ずるOMへ進化していったDNAをより伸ばしてもらいたいと思うのだ。

5.最後に

あくまで、イメージであるが、ライカマウント機を出していたキャノン、コンタックスマウントを参考にしてスタートしたニコンと言う、いわばドイツ全盛の頃の両巨頭に変わるものがキャノン、ニコンだとすれば、オリンパスは元々はさしずめ、フォルクスカメラを標榜したドイツコダックのレチナの様なイメージだ。

事実、コンパクトカメラの世界では、Pen以降もトップシェアを維持し、XA、そしてミューシリーズと続いたし、駄目だ駄目だと言われてラインナップを絞りきった今でもデジカメの世界シェアは4位程度には売れているメーカーである。今後は時代の流れもあり軸足をDSLRに移しこれをメインにする以上、大いに期待したいがあくまで、オリンパスのDNA,軸足の目線は広く写真愛好家に向けられていると言うのを大事にしてもらいたいし、そこがぶれなければ必ず一定シェアを確保し、フォーサーズが続いていくものと信じたい。

 
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by Hiro_Sakae | 2006-05-14 12:42 | E,Pen-system関係


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