2006年 07月 18日
DSLRにおける手ぶれ補正の恩恵について
たまたま、ここのところソニーやペンタックスでボディ手ぶれ補正搭載機種が出たことがあり、その効果なるものが記事に上げられている。従来の他社の手ぶれ補正レンズでもそうなのであるが、その効果について比較として「2段分シャッター速度が稼げる」というシャッター速度がより遅く切れると言う書き方をされることが多い。これ自体は間違っていないし事実なのだが、コンパクトカメラならともかく、入門とは言えDSLRを使おうかと言う場合にこの書き方に少し引っかかるものを感じるのである。





  シャッター二段分というと、例えば1/500秒が手ぶれ限界の人は、1/125秒まで実用域に入り、1/125秒が限界であれば、1/30秒が実用域であると言う感じである。どこまで手ぶれに耐えられるのかと言うのは人それぞれであるが、いままでごく一般的に目安と言われているのは、1/(そのレンズの焦点距離(35ミリ換算))である。50ミリレンズなら、1/50と言った感じだ。これはあくまで目安ではあるが、言い換えるとここぐらいまではぶれない程度にはきちんと構える練習しようねと言った感じだろうか。

  従って、実際に手ぶれ補正がついて従来100ミリレンズで、例えば1/125が限界だった人が1/30秒まで手ぶれがせずに撮れた、あるいは撮れるというのはそれはそれで意味のあることであろう。特に、シャッター速度などさほど意識せずP露出が当たり前となるコンパクトカメラではこれは正しい。

  ここで一例を挙げてみよう。50ミリレンズでスナップをしていて手持ちの限界が1/60の人がいたとしよう。絞りはF4だとしようか。ISO100であれば、EV10,ISO400ならEV8が限界となる。2段伸びれば、1/15秒まで伸びてISO400ならEV6までいける。日中なら室内もOKだし、日陰も問題ない感じである。本当だろうか?本当で嘘である。(苦笑)シャッター速度が1/15まで来ると被写体ぶれというか、被写体の動きを無視するわけにはいかないのである。

  言い換えてみると、シャッター速度、特に1/60秒未満になってくると被写体によってはシャッター速度の影響を考えざるを得ない。特に子供のスナップなどはお手上げになってくるし、外で葉っぱなどとなると風の影響は避けられないからだ。手ぶれ補正は手ぶれは補正してくれるが、それぞれのシャッター速度に対する配慮と言ったものは当然の事ながら何ら補正してくれるわけではないのだ。

 尤も、もともと2段開いた状態でも1/125秒等影響がないモノ、静物等でもともとシャッター速度をあまり考慮しなくてよいもの等単純に手ぶれ補正により撮影領域がぐーんと広がるものも少なからずあるだろう。しかし、この辺を無視しての単純に2段稼げるから良いというのもいかがなものかと思うのである。

 では、お前は何を手ぶれ補正に求めるのだと言う話であるが、、
 まず、手ぶれ補正は、シャッター速度を下げられるのりしろが増えたと言うよりも、同じシャッター速度で手ぶれによる失敗確率を低減する効果があるかどうかと言うのがまず気になるモノだ。自分の限界が1/60秒で、そのときの成功率が90%だとしよう。これを1/30秒も使えるようになるのもありがたいが、その前に手ぶれ補正オンすると、1/60秒では100%手ぶれ補正が消えると言う効果の出方を期待するのである。1/30秒も90%になるけど、1/60秒も上がって95%と言うよりは前者の方が私はありがたい。

 また、そもそもこのデジタルになって手ぶれ補正がフィルム時代よりも重要視されるようになったベースには、より小さな撮像素子で撮影し且つ、フィルム時代よりもPC画面上で拡大鑑賞するケースが増え、手ぶれ等のぶれに関し撮る際にも見る際にもシビアになってきていると言う事情があったはずである。(コンパクトの場合には、加えて撮影スタイルが変わり、より手ぶれをしやすくなった事情もある)

 言い換えると、本来一眼レフの手ぶれ補正は、無くても何とかなる部分をより精度を上げるための保険、及び従来フィルムで要求されていた以上の精度に応えるための道具と言った感じだろうか。もちろん、ひとそれぞれ使い方や考え方はあろうが、最初からこのアシストがあるのを前提とせず、普通に撮っていてこの補正を付加すると言う考えでいかないとせっかくの新機能が「撮影領域を拡大する機能」でなく、ただ「自分が楽をする、経験者であれば腕を退化させる」だけの機能に堕ちてしまう気がした。

 話の展開としてネガティブな感じになったかもしれないが、AEにしろ、AFにしろ元々は今回の手ぶれ補正と同様、プロのニーズに応えたと言うよりは一般ユーザーの声に応えた、初心者の垣根を低くするために導入されたものである。安易な部分が当初は否定され、やがて改良されていくうちに結局AEかマニュアルか、MFかAFかなどという不毛の論争を乗り越え、何十年たった今、DSLRの機能の中にはマニュアル露出もAEも、そしてMFもAFも併存してむしろこれを適材適所で使い分けるというのが、「大人のたしなみ」となっている。

 そういう意味では、こういう手ぶれ補正などというのも、いずれ使いこなしのルールが出来るのかもしれない。また結論のない尻切れトンボになったが、、そういう使いこなしとして考えると、やはりレンズをえらばないボディ補正の方が良いのかもしれないと思った。
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by hiro_sakae | 2006-07-18 00:51 | その他写真関連


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