2006年 10月 12日
DSLRシステムにおけるEVFについて、他書き殴り
既に読んだ方も多いかもしれないが、デジタル一眼レフマニアックの記事で、一眼レフのEVF型への将来像等のTech ON記事が紹介されている。(出来ればその先の原記事を読んでもらえるとありがたいが、、)書いてあることはあながち間違ってはいないが、DSLRの持つ本質で若干の違和感を感じた。




おおざっぱに言うと、
・DSLRの課題として超高速連写性能とライブビューの導入を考えた時、EVFの導入が不可欠。
・超高速連写を可能にすることにより、動画撮影の中から最適な一枚を抜き出すことが可能。
・このEVF高級機はHDTV画像を表示できる小型液晶が必須となるが、これも量産効果により何れは達成できるのではないか。
・EVF交換レンズ式システムはフランジバック等が短く作れる利点があるが、既存のDSLRシステムと違うシステムを組むとなると、メーカーは消極的。(オリのフォーサーズもDSLRを前提としていると言う意味では、まだ不完全か?)
・突き詰めれば、新たな可能性として、レンズ非交換式のEVF高級機の可能性もあり。
・日本のメーカーがこれを乗り越えることを期待する。

とまあ、こんな感じだ。

まず、オリンパスのことから言うと、この秒間60フレームを超える超高速動画像から高精細画像を切り出す技術の方は、オリの場合同じオプトデジタルでも医療事業部門関係で既に開発に着手しており、去年の中間決算でのプレゼンでも成果が披瀝されている。尤もいまこれをカメラに転用するというものでもなさそうである。

また、EVF導入に関しての公開特許でも、いくつかのパターンが呈示されているが前回披瀝した特許のようにオリンパスの場合は光学ファインダーと、EVF(もしくはライブビューB)の併用を当面ターゲットにしているようである。高速連写に関しては、この記事では秒10コマを超えるとミラーの上げ下げの限界が来ると書いてあるが、
オリの場合はこの限界を秒8コマ程度においた上でこれ以上の高速連写に関しては、
・1回のミラーの上げ下げの中で複数コマを連写(電子シャッターとの併用か)
・もしくは、超高速連写では補完的にEVFに切り替わる様な
ものを想定している。しかし、医療部門で開発しているようなHDTV動画像から更に高画素の高精細画像を切り出すような手法をカメラに転用するような気配は今のところ感じられない。

何れにせよ、この方向の模索もしくは、最適解についてはDSLR専用システムとして生まれたE-systemであるが故に色々研究開発は(特許公開から逆算して出願時の時系列で見ても)E-1が誕生する前後から進めているようである。

私が違和感を覚えたのは、この本筋論からいささか離れるが下記の2点である。
A.いわゆる、「一眼レフで動画を撮る、或いは動画を撮って画像を切り出すというニーズにカメラ業界はネガティブではあるが、そんなことはない。実際、大多数のユーザーは動画が適しているものは動画で取り、静止画が良いものは静止画で撮るというのが当たり前である」というカシオの中山氏の意見。

B.「レンズ交換なんていらない」と考えてレンズ一体型のEVF内蔵高級機を買うユーザーが増えれば,メーカー間の混戦になお一層拍車がかかる。」「しかし、これを乗り越えて欲しい」というフレクトロニクスの小島氏につながる意見(小島氏はご存じのように、デジカメ黎明期のオリのスタートを演出した立役者であると同時に、OM707以降レンズからZuikoの銘を消し、レンズ交換不要とLシリーズを推進した人である。)

A.に関して言えば、私は大多数のユーザーがと言う部分が、「大多数のデジカメユーザーが」という意味であれば、この見解が正しいのかもしれないとは思う。しかし、ここで議論されている一眼レフの代替としてのカテゴリーを想定するのであればそれは異を唱えたい。

今、DSLRは数量的に伸びている途上にあり、頭打ちになる目安として上げられているのが銀塩一眼レフ時代の全カメラ生産台数における一眼レフのシェアである。

で、そのシェアは15%である。今はそれすら達していない状態である。言い換えればフルサイズだ、APSだとあれこれ言ってはいるが、そもそもDSLR自体がデジカメの中では圧倒的に少数派である。ここで言っている動画と静止画をあれこれ気軽に撮りたいと言うニーズを満たすものとしては、むしろDSLR以外のコンパクトや或いは、静止画も撮れるビデオカメラが吸収するのでは無いかと思うのである。

こういうお手軽にとれる静止画で飽き足らない人の欲求を満たす部分がDSLR市場である。仮に、あるDSLRが新機能として動画も撮れるとなった時に、それがライブビューや、ぶれ補正のような「売り」になるかどうかは疑問である。そんなもの付ける代わりにより精細な静止画を撮れるようにしてくれるか、あるいはそれをはずして安くしてくれた方が良いというのが自然な感情であると思う。

また、そうではなく表現の拡大、高速フレーム動画から静止画を抜き取ると言うところをどうするんだという話だが、これは相当先の話であろうし、この形式で抜き出す画像が従来の撮影方式と遜色ない画像クオリティをたたき出そうと思えば、とんでもなくコストが高くなるような気がする。そういうニーズがあるかと言う問題や、撮影技法として漫然と動画で写してチョイスするという手法が、今の撮影技法よりも新たな表現が可能になるのかも判然としない。(まあ、オリの開発している、医療用とか、業務用とかでニーズがあるかもしれないが、)

私は、DSLR(或いは、カメラの高級機市場)の一番のニーズとして、とにかくその時点で他のカテゴリーのカメラよりも、「よりよい、高品質の画像が撮れる」と言うのは譲れない点であると思うし、他の余計なものにコストをかけるぐらいなら、極力それにフォーカスしてくれと言う欲求の方が高いと思う。動画が欲しければビデオがあるし、両刀遣いで手軽に使うのであればコンデジや、ビデオカメラがある。要は代替物がある。しかし、ひたする高品質な静止画像にフォーカスするのはカメラの高級機(DSLR)しかないのである。ここをはき違えていないかという気がするのである。

もう一つのBも何かはき違えている。広角から望遠まで通常ユーザーが使用する画角をカバーする高精細なズームレンズがあれば、レンズ交換式は必ずしも必要ではないと言う考え方。これはとりもなおさず、オリンパス自身が犯した過ちである。

OM707の失敗に絡むが、OM707の交換レンズからZuiko銘が消えた。当時営業サイドの「Zuiko」では、特に米国人はこれをズイコーと読みづらいし、サードバーティ製の交換レンズにシェアをとられているので、オリンパスのブランドに統一せよと言う圧力である。で、あろうことか、これがオリで通ってしまった。そして、オリはこの時、また、どうせなら、上記理由で一眼レフにレンズ交換式は不要だというのをまた押し切られ結局Lシリーズをリリース。OMのAF化は途絶した。(この時の立役者が小島氏である。ご本人がZuikoを葬った張本人と某HPでも言ってらっしゃるのだから間違いない。)

ここで、本題から脱線するが、

私はオリの人間では無いし、公表されている事実、歴史から推測するしかないがどちらかと言えばカメラ部門の創設者である櫻井氏から米谷氏への流れが、この80年代後半に一つの区切りを迎えた。その中で、製品開発に対しての、カメラの設計開発部門と、営業部門のパワーバランスが微妙に変化があったのではないかと予想する。

ビジネス的には、この後日本ではさっぱりだが、Lシリーズはそこそこ売れ、μシリーズがあたり、デジカメも立ち上げ期に参入しヒットした。しかし、結局、デジカメも奇抜な技術が出てくるものの、散発的であったり、コアの部分を外注に依存する等もあり、結局OEM先の仕切価格の高騰等もあって続かなかった。
脱線から戻すと、

結局、大多数のユーザー→大多数のユーザーを満たすレベルであればよいと言うメーカーのおごりが感じられてしまうのだ。
カメラの高級機はレンジファインダー→一眼レフとレンズ交換式システムがここ数十年メインを占めている。
このレンズ交換式というのは当初の「よりよく撮影できる範囲を拡大する」と言う意図とは別に、レンズ交換してシステムを組めると言うこと自体が一つのユーザーの楽しみになっているのである。本来所詮は画一的な工業製品であるカメラを不完全ながらも、「ユーザー自身が自分で選択して組み上げる」と言うところに、お仕着せでないような楽しみを感じているのである。
そして、この組み合わせるシステムの中で、ユーザーとメーカーの対話のようなものや、時にはメーカーも想定しなかったような広がりも出て、メーカーの単なる商品から一つのそれ自体が独立したシステムの魅力を醸し出していくものだ。
(例えば、フォーサーズでも、フランジバックを生かし、各種マウントアダプターが出てクラシックレンズを楽しむ母艦に使う方法や、魚眼レンズにテレコンをつけて楽しむなんていうのはオリは想定していなかったであろう。)

よもや、オリはまたこのような失敗はしないと思うが、何かこの二つの主張は、そういうユーザーのニーズ→こんなものと言ううさんくささを感じてしまった次第だ。(ひねくれているかもしれないが)

最後に勢いで書いてしまうと(笑)

ユーザーのニーズは確かに大事だが、ユーザーのカテゴリーを間違うなと言うことと、オリがオリらしくあるためには、ユーザーに提言するぐらいの気概を持って欲しい、
そしてそのために、手っ取り早いのはかつてのオリの先人の様に開発者自身がカメラに精通したユーザーになって欲しいなと言うことである。

と、書き殴り状態だが、この辺で、、、、まとまりが無くなってしまった点はご容赦。
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by hiro_sakae | 2006-10-12 01:21 | E,Pen-system関係


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