2007年 01月 24日
敢えて、HOYAの発言に思う。
 敢えて、引用までしないがHOYAのCEOが決算説明会の記者の質問に答える形で、「デジタルカメラ事業などについて、「リターンが出ず、転売した方が価値が付くならば、転売する形もありうる」と述べた。




 HOYAの今回の合併劇の目的は、医療事業の強化でペンタックスの内視鏡を中心とする部門が欲しかったのは周知の事実である。そして、デジカメ部門は撤退するというわけでなく正確に言えば「ビジネスライクにやる」と言う事である。ペンタックスファンにすれば、容認できないことであろう。もし、オリが、、と思えば心中察するに思いあまることがある。

 問題は、HOYAが事業強化に欲しがっているPentaxの医療事業の内のコア事業、すなわち内視鏡事業である。確かにPentaxの内視鏡事業は、安定した黒字を上げている事業であるが、圧倒的首位のオリンパスが君臨し、その次にフジノン、そしてペンタックスと続く形だ。また以前、ここでオリの内視鏡事業の説明をした時に触れたが、内視鏡事業自体は将来も成長が確実に見込める事業であるものの、ここにきてオリが断トツの強さを発揮していることに加え、二位争いを演じていたフジノンが経鼻型内視鏡の積極的プロモがあたり、従来型の内視鏡でしか勝負できないペンタックスと差がつきつつある。この辺は、日経記事にも紹介されていた。

 従って、医療事業とて黒字ではあるがトレンドとしては予断を許さない。逆にトレンドとしてみるならば、ペンタックスのカメラ事業は赤字からようやく黒字に浮いた上で、今後DSLRに特化する戦略を明確にし、更にK100Dに続きK10Dと実績を積み上げてきた。恐らく、来期は今期よりも売り上げも、利益も上昇してもおかしくないはずだ。まして、一眼レフにおけるペンタックスのブランドは4強の一角として根強いものがある。

結局、有り体に言えば、どっちもどっちだと思ったりするが、要はその会社がカメラ事業を続けるかどうかなんていうのは最終的には「その会社がカメラ事業を続ける意志があるかどうか」に尽きるのでは無いか。勿論意志があっても会社がよれよれでは仕方がないが、はっきり言えることはこの「意志、こころざし」が無ければ会社の業績に関係なくカメラ事業の存続は無いと言うことだろう。元々、難しい商売であると言えようか。

 例えば、ペンタックスのカメラ事業が赤字になればどうか。当然やる気が無ければ赤字を垂れ流すわけにはいかない。この場合は、売却と言うより撤退であろう。売るにはそれなりの価値がつかなければいけない。ブランド、ノウハウなどと言うが、結局単純に言えばその事業のキャッシュと予想キャッシュフローから算定される価値から借り入れ等の負債をひいたものがその企業の価値の基本となるものである。キャッシュフローが赤字であれば、よほどのことがない限り価値は0である。売却コストを考えれば、撤退というのが通常のパターンだ。

 では、黒字が出たらどうか。ペンタックスのカメラ事業は今期よりも黒字が来期は出るはずである。新しいKシリーズという目玉もある。会社にこれを続ける気があれば、「よおし、やったるでー」と言うことになるが、やる気がなければ、赤字の時に手放せば0だが、黒字が出て将来も更にCFが上向きであれば「売っても値段が付く」のである。いわば、嫌な商売を手放した上に、お金が入るのであるから、「売りをやめよう」と言う誘因にはならない。
 売り買いの判断は「持っていて儲かる分」と「売値」のどちらを取るかというビジネスライクな話しだ。おまけに会社としてやる気がなければ、持っていて儲かるかもしれないけど儲からなくて赤字を被るのは嫌だと言う判断が働くので、通常は「先の収益見込みより、今の現金」となる。そして、このキャッシュを元手にやりたい事業の補強に回して得られる超過利潤も考えれば更に「売り値」のバーも下がってくる。

 言いたいことは、会社が「この事業は続ける気がない」となってしまえば、赤字なら撤退で、黒字が出たら、高値が付く内に売るということで結局売りは止まらないのである。そうでなければ、京セラがコンタックスから撤退し、コニミノがDSLRをソニーに売却し、今回ペンタックスまでも売却の噂が出て、それらより明らかに窮地だったオリが今残って第二章なんぞ浮かれている説明はつかないのである。

 オリだって、撤退する気であれば赤字を出した時にやめれば良かったし、業績回復した今もある意味まさに売り時ではあろう。(苦笑)また、それを言えば、ニコンさんもSLR不況の後、キヤノンがイオスキスで、ミノルタがαスウィートで息をついた時に出遅れ長らくカメラ部門が収益でお荷物になった時期もあった。あの、キヤノンさんとてカメラが苦しい時代があったのである。

 何で続いているんだと言えば、それはキヤノンさんは戦前から続く日本初の35ミリカメラメーカーとしてスタートし、ニコンさんは文字通り「日本国」の光学メーカーとしてスタートし、そしてオリは日本国産初の顕微鏡メーカーとしてスタートした、カメラ屋、光学屋としての矜持しか無いだろう。それぞれ、当時の日本初はアジア初であり、非欧米国で初と言うことである。そして、戦前から戦後のニコンを経てこれらのメーカーがカメラに乗り出した。戦前からのこの時代は光学メーカーにとってカメラ、レンズを手がけるのは「光学メーカー」皆の憧れだったと思う。HOYAですらM42マウント時代はカメラレンズを手がけているのである。

 ペンタックスがペンタックスとしてカメラを残すのであれば、やはりどんなに馬鹿と言われようとこれを自主再建で死守するか、あるいはコニミノがソニーに売却した時のように、カメラ事業をやってくれるという手形を取って託すしか無いのではと思う。外野であるから推測であるが、HOYAとの統合においてもし、そこの手形が切られていないまま突き進むのであればそれは、その時点でペンタックスのカメラ事業が「光学メーカーの威信をかけた魂のこもった事業」からただの「ビジネス」になってしまうことを意味しているだろう。

 翻って、オリはどうか?私はオリが結局先日の記事で書いたように主要投資家やアナリストの助言、指摘を退け、医療事業の儲けを「惜しみなく注いで」自主再建に賭けた段階で、ルビコン川を渡ったと思う。勿論、オリには高収益を上げる医療事業のみ残し却って被買収リスクにさらされないように、自らの赤字事業をポイズンにするという読みもあっただろう。事実、赤字を出した時に、テルモと株式持ち合いを発表し買収防衛をする一方で、内視鏡事業の周辺事業を徹底的にM&Aで(悪い言い方で言えば)芽を摘むように買収していくしたたかさを見せた。
 虎の子の医療事業を徹底的に被買収リスク及び、周辺医療事業からの浸食リスクから守った上で、この医療事業の余剰CFの再投資先を自らの映像事業に惜しみなく注ぎ込み蘇生させた形だ。未だに、オリがカメラ事業云々などと言う者が(特にペンタのこういう噂が出ると、、(苦笑))いるが、オリは映像事業を医療事業やライフサイエンス事業と同等、いや、どれがどれでなく全てをオプトデジタルの結集軸の元に全力で頑張っているのは明白であるからだ。

 HOYAが最終的にどういう判断をするのか、またこの統合がこのまま突き進むかどうかはわからない。しかし、オリはカメラへの根性の入れ方が違うと言いたい。こういう情緒的なことを言うと、訳知り顔であれこれ書いたり、言う人がいるが、こういう動きが続くと、私は改めて思うのである。米谷氏曰く、最後は、「ビジョンであり、フィロソフィーを」持っているかにかかってくると、、
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by hiro_sakae | 2007-01-24 01:13 | その他写真関連


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