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2007年 01月 27日
実は、今回の1月後半に出たオリの特許リリースの中で一番私が注目した特許がある。DSLRの、DSLRならではの新たなコア技術が、ゴミ取り、ぶれ補正、ライブビューだとしたらオリ(フォーサーズと言い換えても良い)はもうすぐ、この3つを全て手に入れる。しかし、厳密に言えばゴミ取りと、ライブビューは「オリのオリジナル技術」と言えるがボディ補正は違う。勿論、各社それぞれの撮像素子シフト方式が特許として公開されているという意味ではオリジナルではあるが似たような方式で製品を出した先駆者がいるからだ。そして、オリは将来的にはこのぶれ補正もDSLRにふさわしい独自方式でものにしたいようである。そして、これと今までのオリのある技術の流れにオリ独自の次世代へ向けてのある思想が感じられる。キーワードは「時分割」である。やや長文になるが、第二章の先にもたのしみがあるぜと言うことで読んでいただければ幸いである。 文字通り手ぶれ補正と銘打った特許。(これも参照可能になれば特許公開番号等をここに開示するので興味のある方は原典を当たっていただきたい。)気合いの入った特許である。 先ず、今回のオリの手ぶれ補正が解決、改良する対象として上げている従来技術に ・複数の画像を使う、あるいはオリの後からぶれ補正の様な複数画像による手ぶれ補正 ・光学レンズを動かす、光学式手ぶれ補正 ・撮像素子を動かす、撮像素子駆動式手ぶれ補正 のそれぞれの特許を上げた上で、これらを ・複数画像の電子補正はタイムラグが生じるほか、一枚の画像をぶれ情報で補正するには限界がある。 ・光学ぶれ補正は、理論上の光軸からのレンズ配置をある意味ずらすことになってしまう。 ・撮像素子ぶれ補正は機械的に動かす為にどうしてもその分大きくならざるを得ない。 ・また、物理的に動かす光学、撮像素子駆動は電力消費でもデメリットがある。 と全て、「これらはそれぞれまた未完成である」とばっさり切り捨てている。本当にばっさりである。(笑) ----------------------------- で、オリの考える究極のぶれ補正とはなあにと言う話しである。結論から言うと電子式ぶれ補正である。「おいおい、あの後ぶれ補正じゃあないだろうなあ」と思われる方。似て非なるものであるが、E-330におけるE-300の位置づけではないが、後ぶれ補正もオリの考える理想形に至る「過渡期の形態」かもしれない。コンデジのμに7xx系にCCDぶれ補正を載せながら、最上級機を敢えて後ぶれ補正にしたりするのも「将来意味があるのかもしれない」。昔と違って最近はこういう最新機能こそ、コンデジで搭載され、DSLRにということもままある話しだからだ。 さて、話しを戻すと当然他のぶれ補正同様ぶれ検知に角速度センサーを搭載する。ここは基本的に変わらない。問題はここで検知したぶれを補正する形である。順を追って箇条書きにする。 1.先ず、各々レンズの焦点距離に応じて自動的にボディ側が「このレンズだと1/30よりシャッター速度が遅くなるとぶれるよね」というのを把握する。勿論ここはオート設定でなく、ユーザーのマニュアル設定でも良いが、本筋論では無いのでオートを基本に説明する。 2.繰り返しになるが、ZDのズームを装着すると、レンズ側から「現在のレンズの焦点距離」がボディに情報として伝達され、ボディ側はその焦点レンズに応じたぶれ限界のシャッター速度を認識する。要はこれ以上シャッター速度を開いたらぶれ補正が必要であるというのをボディ側がズームレンズであってもズーム状態から即座に認知しスタンバイするわけである。 3.例えば、ここでZD14-54ズームで、焦点距離が30ミリ、この時の手ぶれ限界シャッター速度が1/60であったとしよう。 4.この時、シャッター速度が仮に1/100であったとするとボディは手ぶれ補正が必要で無いと判断する。従ってぶれ補正はしない。 5.次に、シャッター速度が1/30であったとすると、ボディ側は1/60より遅いシャッター速度であり、これは「ぶれ補正必要」と判断しぶれ補正動作を指示する。 そして、ここからが、肝だが、、、 6.この指令を受けると撮像素子周りは独特の動きをする。オリが言う「時分割」を行う。すなわちこの例で言えば露光が始まりぶれ限界の1/30秒経過時迄の露光データと、それ以降の残時間での露光データを分割して保持し、これを角速度センサのぶれ情報に基づき照合した上で、がらがらぽんとぶれ補正をしたデータを吐き出させると、こういう感じだ。 勿論、ここの仕組みがこの特許の肝であるのだが非常に難解で素人にはわかりずらい。(苦笑)しかし、わかるのは、この一連の動作が2枚の静止画像を得てそれを元に一枚の静止画像を得るといった感じでなく、吸い出したデータ段階で、いわば画像処理エンジンに行く手前で極めてハードウェアに近い処理で行われるという点だろう。 上記の例で行けば時分割は2回、1/30と1/30だが、もっとシャッター秒時が長ければ3回、4回と時分割を行い3つ、4つのデータとぶれ情報を元により精緻なぶれ補正を行う形である。また、当たり前であるが、このトリガーを角速度センサ側の一定量ぶれ検知が確認された場合にその時点で時分割モードに入るというのも可能ではある。言ってみればフルオート補正、シャッター速度優先オート、ぶれ量優先オート、マニュアル設定等が可能である。 これにより、 ・レンズ補正のようなレンズと光軸と撮像素子の関係を一切動かさず、 ・撮像素子シフト補正では追随できないような微細なぶれ補正も可能で ・余分なスペースも食わず、省電力化が図れる と言うことに加え、 ・全て電子制御であり様々な制御方法が可能であるが、これらのカスタマイズが簡単に出来る。ぶれ補正方法の「マイモード」も出来るわけだ。(笑) -------------------------- 私は、この特許や、オリが執念深く開発を続けている超高速連写、或いは2枚の連続画像からダイナミックレンジを拡大する特許等に一つのオリの共通戦略を感じるキーワードは「時分割」であり、この辺のヒント、或いはベースになった研究は一昨年公開されたNHKと共同開発をしている、超高速フレームによる次世代高精細画像の研究あたりから流れているのではと勝手に思うのである。 一般的に、撮像素子で画像を取り込む時に何を苦労しているのかと言うことに立ち戻ってみよう。撮像素子は縦×横の平面である。一方で得ようとしてる画像を考えると縦×横のドットではあるが、各ドットに色の情報がいる。すなわち、受け止める撮像素子が縦×横の二次元の世界であるのに、得なければいけない情報が縦×横×色情報の3次元であることからあれこれ工夫が必要になっているのである。 また、これを更に分解すれば色情報もR,G,Bとある。と考えれば単純に縦×横の二次元情報よりも様々なファクターで情報を取得する必要が生じる。乱暴に言えば今のベイヤー配列はこの限られた二次元情報から画像を「合成して作っている」訳だ。そして、この「計算して補完する部分」を極力少なくしていこうという工夫がされているわけである。 例えばR.G.B情報の取得に関しては、各社さまざまな方式が考案されている。一番単純なのは、撮像素子の枚数を増やしてしまえというものでありこれが3CCDであろう。或いはフォビオンや、富士が研究しているオーガニック撮像素子などは、撮像素子に奥行きという概念を与え、データの多次元化を図っている。乱暴に言えば、撮像素子の枚数を物理的に増やすか、重層的にするかの違いだろう。 これに対して、オリは全く違うアプローチを提案している。すなわち「時分割」である。写真は静止画と言われるが、厳密に言えば経過時間0の静止画はあり得ない。単写→連写→超連写というアプローチと、動画→超高速フレーム化という研究の中でデジタル上ではこれがシームレスにつながりうること、そして、例えば1/1000秒の静止画ですら、それは1/1000秒という時間の経過の中で露光されたものであり、物理的に可能であれば、1/2000秒と、1/2000秒に分割可能である→「静止画と言えども写真が露光を必要とする限りそこには時間が存在し、存在する以上はそれは分割可能である」と言うことだろう。 オリは、超高速に一連の特許、或いは動画撮影を前提としている「撮像装置」での超高速連写の特許、一部はここでも紹介したがこれらの処理に必要と思われる ・超高速の演算を必要とされるために、演算のハードウェア処理と、ソフトウェア処理の最適配分の理論に関する特許 ・多量のデータの演算処理、及びこれの圧縮技術の特許 ・演算中に不必要データを間引く特許 他色々な基礎部分を含め、相当の力を入れているようである。 素人考えでも、このぶれ補正の元になる時分割の仕組みが使えるのであれば、例えば時分割時を1:2程度の速度に分割し露光の違う画像データを取得し、ダイナミックレンジを広げたりなんていうのも次世代では可能になるかもしれない。 また、今各社が画像データのファクターの高次元化に撮像素子自体に向かっている中でこの時間を分割するという部分を先行して固めるのは極めて有効である。撮像素子側がR.G.B分割を初め取得できるファクターを高度化したとしても、それと同等の撮像素子さえ手に入ればオリはそれ+「時分割データ分」確実に一つか二つ、有利に立てるはずだからである。 -------------------------- いかがだろうか。オリは結局主要柱が内視鏡、顕微鏡、デジタルカメラと言っても「レンズで集光して、撮像素子に露光し、画像データを得るという部分は一緒」である。「だから当たり前だ」と言われれば終わってしまうが、(笑)毎月ぱらぱら公開特許を見ていると、ここにフォーカスして様々なアイデアが生まれているのに驚かされる。(一度、検索で各社と比較してみるとこのデジタル機器でオリが突出していて且つ面白いのが実感できると思う。) 勿論、これらが最終的には主要製品で出てくるのか、あるいは出たとしてもそれがデジカメで出てくるのかはわからない。ただ、やろうと思えばデジカメに応用できそうな「様々なポケット」を持っていることは事実である。 待ちに待った第二章でどんな製品が出てくるかも楽しみであるが、オリの楽しみはこれで終わるわけでもない。今回紹介したような公開特許などは1年以上前に出願されているものだし、そこに至る基礎研究は更にその前に遡るだろう。敢えて公開していないものもあるだろうし。 第二章の製品が続々出てくると言うことは、(作っていらっしゃる方には申し訳ないが)この第二章製品を作り上げた技術者の方々は、次の章に向けてスタートを切られるか、もう切っているのだろう。これから、どういうアイデア?を作り上げるのか、あるいは1年後にしか見れないが、今月オリが出願した中にどんなタマが隠れているのか、わくわくするところである。 by hiro_sakae | 2007-01-27 13:23 | オリ特許関係
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