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2007年 04月 08日
【特許関係】電子的手ぶれ補正と、撮像素子の進化について
  オリの特許を見ていると、実際に出てきそうなものと言うのは出願者が複数にまたがったりしながら似た様なものが続けて出てくる。このブログを開いてからでは、ライブビュー、木製カメラ、ぶれ補正特許などが出てきた。今、出てくるか「白黒はっきりさせるのを待っている」のは新型AFセンサーと、新光学系に絡むものであろう。




  また、現在の公開状況から第三章以降で且つ頻度から製品化を狙っていると考えているのが、超高速連写(或いは動画との融合)、ダイナミックレンジの飛躍的拡大、そして電子的手ぶれ補正特許である。(現状、非常に難解であり(苦笑)興味のある方は特許公開2007-89091号で4月5日に最新版が出ているので原典を当たって頂きたい。

  おさらいになるが、電子的手ぶれ補正では今回の特許の実施例で行くと、例えば1/15秒で手ぶれを起こし、このケースの場合の手ぶれ補正が確実に収まるのが1/125秒だとすると、1/15秒中に8回露光し、これをそれぞれぶれ補正したデータをアナログ加算していくものである。いちいち画像を8枚作るのでなく撮像素子内で行われるのがミソである。

  キーワードは時分割露光であり、この超高速分割露光で上記の様に角速度センサ情報でぶれ補正を行えば電子的ぶれ補正になりうるし、ここで露光量自体を可変させるとダイナミックレンジ拡大の特許につながる。(まあ、詳細の仕組みは多少違う)また、この時分割可能な撮像素子の仕組みは、超高速連写にもつながっていく形だ。

 ちなみに、今回の特許ではこのオリ独自の撮像素子構造とあわせてこれがFIT撮像素子の応用としても可能であることや、電子的ぶれ補正を行う上でのネック(露光がオーバーフローする問題や、ISO可変との合わせ技等)に関しても技術的解決が呈示されてきたことだろう。

 私は、正直文系の人間なのでこの撮像素子に似た構造の撮像素子に近いものが今なんなのかはよくわからない。しかし何となくCMOSとIT-CCDの仕組みの足してごちゃっとしたような感じなので、ひょっとするとこれはLive-MOSの発展形で可能なのではないかと思った。あくまで印象である。

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 今回、この電子的手ぶれ補正等の特許とこれらを実現するであろう新型撮像素子をあれこれ思っていて気づいたことは以下の通りだ。

 先ず、私はこのFIT方式のCCDなるものがよくわからずネットであちこち検索をしてみたが、このFITのCCDと言うのはカメラと言うよりもどちらかというとHDTV等の動画撮影用の撮像素子にちらほら出てくる。元々このぶれ補正始めオリの時分割、超高速フレーム絡みの特許自体が動画撮影の研究から派生している様なので当たり前と言えば当たり前かもしれない。

 そんな中で、このFIT方式のCCDをカメラに応用したのがあった。シャープの携帯電話のカメラ用CCDである。携帯カメラ用の撮像素子というのは、デジカメとは比較にならない位数が出て且つ極めて制約されたスペース、条件の中で性能をアップさせるために日夜開発が続いている様である。

 そして、そう言えばLive-MOSもそのハードウェアの技術においては松下さんのνMAICOVICONがベースになっており、これによる製品は元々は携帯電話用の撮像素子として作られていたのを思い出した。当時の松下のコメントを見ても、あくまで携帯電話、車載カメラ用であり、デジカメ用への利用は想定していないとなっている。結局2004年2月にこれが発表され、1年後にオリとのDSLR共同開発発表となり、さらにその1年後の2006年1月にE-330の撮像素子として、Live-MOSが誕生するわけである。

 当初松下自身が、これは省電力と微細さでCCD並に対応可能であること(理論的にはCCD並の2μm角まで可能とのこと)に力点を置いた開発であり、本格的なデジカメに求められる画質性能は想定外だったはずであるが、オリンパスのMOS型素子の研究と相俟ってDSLRの撮像素子として耐えうるLive-MOSにまでたどり着いたと言うことだろう。余談であるが、松下さんの携帯用の撮像素子はあくまで、νMAICOVICONであり、両者ともフォーサーズ以外のコンデジ等にこのLive-MOS搭載!と言うのをしている気配がない。何らかの縛りがあるのだろうか。(もしくは、フォーサーズ程度の大きさの撮像素子でないとまだ無理なのかもしれない)

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 何となく、私の様にカメラファンのものから見れば携帯電話用の極小撮像素子=おもちゃ的発想を持ってしまうが、Live-MOSやオリ特許で現行撮像素子の改良ではFIT型が可能、、、そしてFIT型CCDのカメラ用はシャープが携帯用で開発したものを見たりしていると、撮像素子の新技術はむしろ、携帯電話用とか単純に物理的制約が大きく且つ、市場のパイが大きいところから生まれてくるのではないかと思った。当たり前と言えば当たり前の所だろう。今後撮像素子の新技術を見ていく時に少し視点を変えてみようかと思った次第だ。

 また、Live-MOSを搭載したE-330が登場する2,3ヶ月前にオリンパスイメージングは中間決算の席上で、「新たな撮像素子に関して3年間の独占供給契約を締結した」と発表している。これがLive-MOSを指すとすれば、2008年秋に3年契約が訪れる。勿論この手の契約は「自動更新」も十分あり得るのであるが、ひょっとすると技術革新の早い世界であるからこの2008年秋には、「新Live-MOS」が登場するのかもしれない。

 何れにせよ、比較的小さな撮像素子でDSLRとしての画質を確保するために、オリは当時最適であったコダックのKAFを選択し、第二章でこれにLVを搭載するために更にLive-MOSを搭載した。(コダックのKAFでは原理的にフルタイムライブビューは不可能だからである。)そして、これにもし、次は超高速連写や、ここで挙げた電子的ぶれ補正を新たに付加するとすればそれはまた、進化した「第三章にふさわしい新型撮像素子」を採用してくると考えるのが妥当ではないかと思うのである。オリスタート時には、10MPの高画素に耐えて、フルタイムライブビューも可能な撮像素子というのは無かったのが、こうして今は商品として出てくる。オリが(恐らく一緒にパナもしくはどこかのメーカーと)しこしこ開発しているとすれば今度はこれに時分割測光を可能にする撮像素子が出てくる可能性も十分あるだろう。引き続き、注目していきたい。

by hiro_sakae | 2007-04-08 12:07 | オリ特許関係


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