2007年 09月 30日
カメラの品質の担保はブランドか?それとも生産地か?
  今日も昨日も雨である。本業の上期末を乗り越えようやくの休みにこの仕打ちは無いだろうと思うのだが、、(苦笑)
  某板でも出ているが、この手の話はカメラファンではDSLRの時代になっても未だ続いている。私が気になるのはこの手の話が、私以上のおじさん達というわけでも若い方にも見受けられることだ。いわゆる、古くは独逸製至上主義、最近では日本製にこだわるというあれである。



  クラシックカメラ(=ここでは60年代以降のModern Classicと言われるものも含む。単に中古のフィルムカメラと考えてもらって良い)において独逸製というものがバリューを持つのは知られている。特に同じブランドで同じ型のものがあるとそれは顕著である。有名なところではRollei35のドイツ製と、シンガポール製、Leicaのドイツ製、ポルトガル製や、カナダ製、新しいところでは、一眼レフContaxのドイツ製と日本製と言ったところか?尤も、細かいことを言えばクラカメの場合はこれに稀少度や、個体差も加わるので例外もある。例えばRollei35は総じてドイツ製のバリューが高いが、シュナイダーの玉がついたものなどはシンガポール製しか無いにもかかわらず価格は高い。しかし、ここではその辺は趣旨からはずれるので省略する。このカメラにおける原産地主義とも言えるものは何故今まで重視されているのだろうか?

1.品質に与える影響
  同じメーカー製品であればどこで作っても同じ品質にならなければいけないが、生産国により品質の差が出たり、細かな仕様が出たりする場合がある。先ほどのRolleiなどでも仕上げ等での違いがあるやなしやは聞く話であるし、Contaxのレンズにおいても仕様等でドイツ製、日本製で違うものがあるようだ。この仕様の違い、差異あるいは細かな仕上げの差で生産国にこだわることがある。

2.生産本数の違い
  総じて、カメラメーカーが本国以外に生産拠点を持つ場合にその要因として本国での生産コストを下げ価格競争力を維持する為と言うのが主な理由である。特に、カメラが戦後一貫して価格(他の物品との相対価格)が下がり、各国の経済水準の高まりと相俟って生産量が増えていくたびにこの勢いは顕著になった。従って、生産国の違いが一番顕著になる同じ型番、或いはシリーズで本国バージョンと、その他国バージョンが存在する場合には一般的に本国バージョンの方が、その他国バージョンよりも生産本数が少ない→稀少度が増すのが常である。
  また、一眼レフのレンズやボディにおいてはカタログ上は同じ型番であっても複数の細かなバージョンが存在する場合がある。(OM-1の初期型、後期型等)このような場合、当初の初期ロットを本国で生産し、生産数増加に伴いその他国で大量生産に入る際に、大量生産しやすいように一部仕様を変更することもある。(細かな部品単位や作業工程の簡略化等)本来はロットの変化による差異であるものの、結果的にそれが生産国の差異として現れ先に述べた稀少度と併せて本国版のバリューがアップする結果となる。

3.いわゆるご当地ものの考え方
  これは、理屈でなくある気分、気持ちのようなものである。これはあくまで例えであるが、仮に私がロンドンあたりで雨に降られ、ちょいとおみやげ気分で傘を買うとしよう。フォックスのフレームに洒落た柄のついた傘を買って、おバカな「にわか紳士」となり(笑)おもむろにネイビーの傘を開くと、生地に「日本製」と書いてあれば「ちょっと違うんじゃない」と言う気分になろうものだ。   あるいは、どこかの観光地に行き職場のおみやげにお菓子を買ったりした時に、裏をよく見るとそことは関係のない土地にある工場で作られていたりすると、「何だかなあ」と思ってしまうものである。カメラでも、そういうものが無いとは言えない。

  カメラであればその派生形としてあこがれみたいなものはあるかもしれない。ものによってはそれを手に入れるために数年かけたり、或いは若い頃に憧れていたが縁がなく今ようやくそれを手に入れようかという場合だ。例えば、ツァイスイコンのコンタックスに憧れ縁がなくいつかは手に入れたいと思っていたとしよう。ツァイスへの憧れ、そして「神が与えたもうた」とも形容されたレンズ群を作るドイツ。まだ見ぬ地への思いも重なりそれはその人の中で、その人だけの「神話」となる。その人に対して、いかに優秀で使い勝手も良くなったとは言え、今のツァイスイコンを進めようにも、長野県で製造されたというだけで、イメージぶちこわしになる。これを買うぐらいなら当時ライバルであったライカの方が良いと、、

とまあ、私の考えるところはこれぐらいだろうか。これに個人の体験が積み重ねられブランドと、生産国への「複雑な思い」が醸成されると思うのだ。

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 オリンパスにおいてはどうか?オリンパスは十数年前から中国の二工場を稼働しており特にデジタルカメラは立ち上げ時からこの工場を利用しており、今ではオリンパスのデジカメはごくごく一部を除いて全てメイド イン チャイナである。E-systemにおいては、E-1と竹以上のレンズ群を日本で生産しているが、それ以外は全て中国製である。そして、今後は「どうしても日本でしか作れないもの」を除いて積極的に中国に生産をシフトする。個人的にはオリンパスのイメージング部門のカメラ生産は全て中国で製造される日が来ると思う。最近の工場関係の記事でも、オリンパスのレンズ研磨等の技術者の最高位である「マイスター」の称号取得者も近々誕生するようであるし、となればZDの誇る松レンズ群も中国で生産できるようになるはずだ。(オリンパスの全製品の生産拠点がどうなっているかはわからないが、内視鏡、顕微鏡等の類と研究開発部門が国内各事業場(工場)となっているようだ)

 今回発売される我々が待ち望んでいるE-3の生産に関しては比較的早い時期から中国の二工場で生産されると言う噂だ。私は個人的にこれは大変結構なことだと思っている。

 オリンパスの今までのE-systemの取り上げられた記事等を見てもE-300の発売以降、ことあるごとにこの中国の工場のレポートがなされておりオリンパスもむしろこれを積極的にこれを公開している様に思える。最近では、E-510のムック本の中でも取り上げられた。また、日経の記事等でも独特のセル生産方式や、生産効率の高さ等が取り上げられている。中国という国に対する意見、考えは色々あり、特に最近は食やライツの問題等を中心に取り上げられることもあったため、品質を重視されるDSLRのシステムの紹介本に敢えて中国製であることを全面に出すのは本来であればリスキーな部分も無いとは言えない。しかし、オリンパスは従来同様あるいは従来以上にオリンパスのこの生産拠点をディスクローズしている。

 様々な記事を見ればオリンパスがこの生産拠点を今の形にしていくために色々努力しただけでなく、現地のスタッフや、管理職の方々がいかにこの工場に愛着を持ちまた生産設備に至るまで現地で開発がなされ、何よりもオリンパスのカメラを作っていること、オリンパスのブランドに誇りをもってくれていることがひしひしと伝わってくる。とても嬉しいことだ。

 確かに、メーカーによっては日本で作られるものと中国で作られるもののクオリティが違うのがあるかもしれない。オリンパス以外は使い込んでいるわけではないのでその辺の差異は正直言ってよくわからない。ただ、はっきり言えることは今私の使っているE-systemで言えば日本製、中国製を問わず等しく満足している。性能の差があるとすればそれは生産国でなく竹、梅等のグレードの差異だけだ。

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  ここでは、仮にDSLRのみを考えてみよう。パターンは二つ。
A.フラッググシップ機と普及型でコストに併せて、生産拠点(国)を分ける。
B.フラッグシップ機から普及型まで、生産拠点(国)を統合する。
だろう。
  完璧なBと言うのは存在しない。ただ、キヤノンで言えば国内回帰の旗印の下、DSLRはBパターンを日本で極力行う姿勢であるし、オリンパスの場合はこのBパターンを中国で行う予定である。ニコンはどちらかというとAパターンであろう。その他は知識不足でよくわからないが、Aパターンが多い。早い話が、日本へ再び集中させようというキヤノン、中国でやろうというオリンパスの両社がやや特殊なのかもしれない。

  また、フラッグシップ機と普及型では製造されるラインも異なるでは無いかと言う話もあるが、キヤノンさんの国内回帰の理由を見ても、そういう製造毎のライン云々よりもむしろ工場全体としての、省力化ラインの作り方や、或いは機種に関係ない電子部品の実装技術等ベーシックな技術の蓄積、果てはそういうことに対する工場の社員の意識の高さ等全体でその工場のクオリティが決まるようである。一つの組織としてのクオリティが宿ると言うことだろう。

  従って、キヤノンさんの場合であれば開発拠点と近い等の地の利や今までの技術蓄積のバックボーンを活かして再び国内回帰をしている。またオリンパスは、逆にこの辺を乗り越えるために今に至るまでに非常な苦労を重ねたようである。結果的に、レンズならレンズ設計は日本で行うものの、それの製造装置、或いは検査装置やライン等キヤノンさんがキヤノン大分のマザー工場で行っているような生産部門の開発を中国の二工場が自前で開発できるところまで育て上げた形だ。A,Bどちらが生産効率的に理がかなっているのかは私はわからない。しかし、私がユーザーとして感じるのは思想の違いである。

  フラッグシップ機ユーザーだけを考えれば、A方式の方が良い。シャープの亀山工場製では無いが、フラッグシップ機だけはスペシャルな工場で、スペシャルな職人さんで作られていますよ~と言うのは気分の悪い話ではない。(笑)しかし、普及型ユーザーから見れば、どんなにA方式のフラッグシップ機がすばらしい品質管理下で作られた製品だと言っても、所詮自分のカメラは「工場も、職人さんも違う別工場で作られた同じブランドと言うだけの別物」であることには違いない。「やっぱ、仙台工場は違うよ、、」と言われれば、いくら某メーカーが両方ともフラグシップ機だと言っても、何となく非仙台工場のフラグシップ機ユーザーの中にはちくしょーと思ってしまうこともないわけではないと言うところか?

  やはり、グレードを問わず同じシステムに対して同じクオリティの生産環境を用意しフラグシップ機から普及型機まで分け隔て無く同じ生産品質を提供するという意味ではB方式の方が理にかなっていると思うからだ。加えて、オリンパスの場合はそれがDSLRのみならずコンデジまでを中国二工場に極力集中している形である。オリンパスの工場の腕が上がっていく恩恵は多かれ少なかれ、上から下まで等しくユーザーに還元されるわけである。

  そう言う意味では、本来大衆カメラ、コンパクトカメラをベースとし、DSLRまでをカバーするオリンパスの立ち位置としては私は、E-3まで中国の二工場で生産されるというのは大変良いことであると思うし、それでE-systemのクオリティがこれからもアップしていけるのであれば大変な強みになっていくと思うのである。

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  とは言え、人間の意識がすぐに変わるものでなく先ほどのクラカメのところで書いたご当地主義というか、日本のメーカーの製品であるならメイドインジャパンというのにこだわる人もいるだろう。まあカメラは趣味のものであるから、ここは人それぞれと言える。

  しかし、私はカメラを選ぶ時はまずどこで作られたかよりもどこのメーカーかで選ぶし、オリンパスが力を込めて作り上げた拠点でE-3以下を全部作るんだと言えば、頑張ってくれと言いたい。オリンパスとて、自らのブランドイメージを傷つけるようなものしか作れないのにただコストだけで拠点を移すと言うことは考えられないだろう。

  むしろ、廉価なコンデジから、最高峰のフラグシップ機まで全てを作れる工場というのはあまりないかもしれない。今回のE-3生産が中国の二工場で行われそれで一層生産の腕が上がっていくのなら、嬉しいことだし、オリンパスのメイドインチャイナが逆に「高品質の証」となるように頑張って欲しいものだ。
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by hiro_sakae | 2007-09-30 10:26 | 雑記諸々


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