2008年 01月 12日
【特許関係・付録】ダストリダクションとフォーサーズに関して
  オリンパスのダストリダクションによる撮像素子のゴミ問題の解決をここで語る時に、これをオリンパスが特許として固めていることとは別に、この仕組みすなわち
・ローパスフィルター等を含む撮像素子を全てSSWFで密閉するスペースを確保した上で
・このSSWFとして超音波振動させる駆動機構を据え付ける
というのはフォーサーズの撮像素子の大きさであるが故に出来ているものではないかと折に触れて述べてきた。(先日のLV単独の特許紹介でも述べたとおり)これより大きい撮像素子においては物理的にかなり難しいのではと書いてきた。




  これに関して、いくつか質問を受けた。尤も私もこの技術進歩の中でいずれブレークスルーが来てAPSやフルサイズに同様のシステムが載る可能性は否定しないが、難しいと考えたのは私だけではないということでここではキヤノンさんの特許を紹介しておきたい。

【公開番号】 特許公開2006-33597
【公開日】 平成18年2月2日(2006.2.2)
【発明の名称】 撮像装置

と名付けられたもの、出願は2004年の7月。E-1が登場したのがその前の2003年秋。E-300も出ておらずオリンパスのE-1のみがダストリダクション機能を搭載していた時期。E-300が登場した時ですら、当時はオリンパスが声高に主張するダストリダクションの必要性、DSLRに関してもゴミ問題の重要性というのは殆ど雑誌等でクローズアップされることもなかった。

むしろ、オリのみ異様にこだわっていることであるとか、かつてE-10等レンズ非交換式DSLRを出していた時に「レンズ交換式ではダストが入るので非交換式の方が良い」といった手前付けざるを得ないのだろう、果ては極端なものになればそんなものなくても支障がないといった風に色々なところで叩かれていたものだ。(苦笑)

しかし、そういう声とは別に改めて各社の公開特許を(各社の名前と「ゴミ」とかで検索してみると良い)見てみると各メーカーではかなり前、オリンパスがE-1でダストリダクションを世に問う前からこのデジカメでレンズ交換する場合のダスト問題に対して様々なアイデア、方策を出願している。オリ一人がこだわったのではなく、メーカー、同業の技術者から見ればこのダスト問題はクリアーすべき問題であったわけだ。

今回、紹介する特許はキヤノンさんの現在のローパスフィルターを振動させる方式へつながっていくであろうその前の特許である。(現行方式のものもその後、既に公開されている)この段階では撮像素子全体を駆動する形である。

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例えば、この特許が出願された2004年、オリがダスト問題で孤立無援状態であった頃、この特許を出す上でのキヤノンが書いている技術背景は下記の通りである。引用してみよう。

「CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子を備え、被写体像をデジタル情報として取り扱うデジタルカメラ等の撮像装置では、ローパスフィルタや撮像素子面に付着したごみは銀塩フィルムを使用するアナログ式の撮像装置のように巻き取られることがないため、撮影全体に対して悪影響を及ぼすこととなり、より深刻な問題となっている。」

認識はオリンパスと同一である。

そして、興味深いのはこの撮像素子(後にローパスフィルター)を振動させてゴミを落とす方式と比較されている方式である。

一つは、キヤノンさん自身もこれに先立ち同様のものを公開されている、専用の部材もしくはシャッター膜の開閉等を利用してこれをワイパーのようにして撮像素子をクリーニングする方式である。

そして、もう一つは「外部に露呈した光学部材にゴミが付着した際に、センサで該ゴミを検知し、振動手段(超音波)を用いて除去する技術」(特開07-151946号公報)この平成7年の特許は実はダストリダクションのルーツとも言えるオリンパスの特許で当時はDSLRではなくビデオカメラのようなもののを想定して単にこの光学部材を超音波振動で振るい落とすというものである。

さて、これら二つの方式についてこれでなく現行カメラに搭載されている部材(これでは撮像素子全体、後にはローパスフィルター)を振動させる方式をとる理由として、

上記2方式は
撮像装置の大型化を招くことになるとともに、コスト的に高くなってしまう課題を有する」となっている。
そう、コスト高と同時にこのような方式を現行撮像素子(当時の図面ではフルサイズを想定している様子)で導入すると撮像装置自体の大型化を招いてしまうということである。

従って、本構成により
「よって、従来のように、ゴミ除去専用の構成を設ける必要がないため、小型で低コストの撮像装置を実現できる。」

となっているわけだ。そして、特許の推移もこの流れのものとスキャナーとも関連しながらゴミの付いた画像を補正するもの、またゴミ自体をつきにくくするものと全体的に抑えていく方法に至っている。

キヤノンさんが自身でも検討されていた一種のワイパーのようなものでとってしまう方式、或いはオリンパスのダストリダクションの方式はコストと、キヤノンさんの想定する撮像素子のサイズのDSLRに搭載するには大型化する危惧があったと言うことであろうと推測するわけだ。事実、現行キヤノンのゴミ対策は「出さない、付けない、残さない」と言う方向で進んでいる。

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各社各様のアプローチがあると思う。しかし、オリンパスファンの立場から言わせてもらえれば各社のゴミ対策へのアプローチは未だ、「画像にゴミを写らないようにする」と言うところに主眼がおかれており、センサー自体のゴミ対策と同様にセンサーについたゴミの清掃装置の技術をあれこれ公開されている。

しかし、ここで述べているようにオリンパスの現行ダストリダクション及びそれの先を予想させる特許の内容を見ていると、オリンパスがゴミゼロにこだわる意図は、画像への影響から更に先に進み、(従来からあったものの)今後LV化一段と一般化しセンサーがより露出する際のダストの焼き付けのリスク、或いは撮像素子以外のAFセンサーや、先日紹介したLV時の各部材(ハーフミラー等)と言った、ゴミゼロ範囲の拡大等更に進んでいる。そもそもダストは無いに越したことはないと言うところだろうか?

何れにせよ、オリンパスがこのダスト排除の有用性、重要性を当時から予見した(=ダストリダクションシステムの搭載)ことが、あのサイズの決定にも織り込まれているとしたら、ファンとしてはしてやったりという感じである。
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by hiro_sakae | 2008-01-12 13:42 | オリ特許関係


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