2008年 05月 06日
ZD12-60,或いはZD14-54で与太話
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E-300, ZD12-60/2.8-4
ISO 100
CaptureOne 4




 ZD14-54を基準にした場合にこれと比較しうる標準ズームとしては、ZDがZD14-35とこの12-60、LeicaにVarioElmaritの14-50、そしてやや違うかもしれないが、Vario-Elmarの14-150。そしてSigmaの18-50のF2.8ズームの6本が上げられる。重量でいくと、実はこの中ではZD14-54は435gと一番軽量で且つ防塵防滴。逆に、このZD12-60は超弩級のZD14-35の次に重い575gとなる。ZDの場合、梅標準ズームがあまりにも小さい為気づきにくいが、ZD14-54ズームというのは意外にもコンパクトなズームであると言えよう。

 ZD12-60が登場して約半年近くが過ぎ、ZD14-54との比較においても色々な意見が出ている。総じて言えることはこの両レンズが単純に世代交代というわけでなく、それぞれ持ち味を出しながら両社とも竹のレンズとして充分両立し会えるような意見に収斂されつつあることだ。私としてはとても嬉しいことだと思う。大きさや、倍率等カタログでわかる差異や、持った時の質感やフォーカシングリングの差異等物理的なもの、或いは歪曲収差の出方等計測可能なものはこの際おいといて、1ユーザーとして極めて私的且つ情緒的な部分で感じた差異を書いてみることにする。客観的なものでは無いことをお断りしておく。

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 ZD14-54を使っていた身としてはまず、ZD12-60と比較して柔らかい=シャープさではZD12-60に一歩譲るというのは少し異を唱えたい。少しというのはそうとも言えるしそうとも言えないということだ。ZD14-54を使って被写体をシャープに写したいと考える場合、フィルム時代を引きずるものの常として無意識に絞る。2段ぐらいがZDの場合はベストだろうか。そこから上はそれ以上焦点の合う範囲を拡げるか、或いは背景をどれだけくっきり出してしまうかだけの調整しかあまり考えない。そしてこうして使う場合ZD14-54も極めてシャープな切れを見せる。その意味で、ZD14-54は柔らかいと言われるとそんなことはなく、きりっとした絵も撮れると思ってしまう。

 そうかもな?と思うところはこの開放から1段絞りぐらいのところだ。勿論、これもきっちりと焦点の合うところはきっちり絵を描いてくるが、ZD12-60と比較するとここがわずかながらZD12-60の方が切れが勝っているような気がするのだ。

 例えてみれば、焦点の合うところからなだらかにぼけていきそしてとろとろになる幅があったとすると、ここがうまくつながっていると良い感じに思える。ヒストグラムで言えばトーンジャンプを起こさずつながっているようなものだ。ここのなだらかさは両レンズとも互角であると思う。問題はその開放から一段、一段半絞りの間では焦点のあったところのきりきりっとした感じがZD14-54ではやや柔らかい感じになるのに対して、ZD12-60はそれより上の絞りと同様にフラットにどの絞りでもきりきりっと決まっている感じがする。なんというか、ぼけからピントの合っている幅までに画像のようなダイナミックレンジがあるとすれば、この開放絞り近くはZD12-60の方がこのぼけ-ピントの合っているところの間のダイナミックレンジが変わらない印象を受けるのである。

 整理すると、絞り値をISO,この合焦点からとろとろ迄の落差をダイナミックレンジとするなら、ZD14-54は高感度(絞り開く)になればなるほどダイナミックレンジがわずかに狭まるのに比べて、ZD12-60は感度(絞り)に関係なくダイナミックレンジが一定である。ただ、それぞれ適正な絞りでたたき出すダイナミックレンジの絶対値についてはZD14-54が劣ると言うことはなく、それぞれ互角ではないだろうか?と言うのが私の感覚的なものである。

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 「わかったよ、でもそれって結局総合的にどの絞りでもきりっとしているZD12-60が性能的に勝っているというだけじゃない。両方それぞれというよりZD12-60だけで事足りるという話じゃあないの」という疑問が湧くかもしれない。仕様用途によっては確かにそうだろう。しかし、私のようにどちらかと言えば寄り等を使う(=ぼけとつき合わざるを得ない、画面上からぼけの部分を排除出来ない)場合にはそれぞれうーむとなるのである。(良い意味で)

 例えば、草が茂っている中で花を撮ると仮定する。全体的に柔らかいイメージで撮りたいとする。当然背景をとろかせるために絞りを開けるとしよう。とろとろの部分は両レンズとも同じだ。そしてわずかにZD14-54の方がピントのあった部分もきりきり感が柔らかくなる。解像度チェックをすればZD12-60の勝ちとなるわけだが(笑)作画上はどうか。意図的にはむしろバックに連れて柔らかい感じを出してくれた方が良い時もある。なんというか、「ぼけのコントラスト」が高すぎるといつもいつも良いというわけでもないという場合がある。コントラストが高い絵ばかりだと飽きたり、場に合わない時もあるのと一緒だ。

 ZD14-54はそう言う意味では、開放開ける→柔らかい、絞る→硬いという旧来の感覚をわずかながらも引きずっている気がする。わずかながらもと書いたのはZD14-54ですら、フィルム時代あるいは並のズームとは一線を画す開放から破綻のない描写をするからである。あくまでZD12-60との比較という、ぶっちゃけここでうだうだ書くほどのこともないどうでもよいわずかな差の範囲においての話だ。

 ただ、逆に言えば、ZD12-60の方が開放付近を使えばZD14-54より更に「ぼけのダイナミックレンジ」の広い画像が得られるという事だろう。そもそも、最望遠側は6mm長く、最近接距離も14-54より近いために、マクロっぽい領域ではよりその傾向がある。なんというかメリハリの利いた絵になりやすいということか。

 まあ、結局それぞれ、ベーシックな基礎体力は十二分に確保した上でそれぞれ相手には無い良さを持っているが、ここでは割愛した焦点距離のカバー範囲やSWDの有無と言った物理的な優位性を含めればやはりお値段程度の優位点がZD12-60にはあると言うことか?逆に自分の利用範囲に防塵防滴さえあればそれらはいらないとか、或いは癖を知った上で使うのであればZD14-54は伊達にカタログ落ちしていない今にも通ずる良さがあると言うことだろう。

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 使ったことのないレンズをとやかく言うことも出来ないのであくまでおまけだがこの上にZDには14-35と言う超弩級のレンズが登場した。ZDとしては高いが、他社比同等のスペックと考えれば(特に二強さんの高級?ラインのレンズ群)リーズナブルであるとも言えるかもしれない。
 何となく作例を見たり、インプレッションを見ていると、このZD14-54のウェットな部分と、ZD12-60のクールな部分を足して2で割らずに、そのまま2倍になったような感じだ。(笑)「ただ、私のように寄りたいものにとっては近接が中途半端だわな」と思っていたが、EC-14を付けて寄ってもすごいらしい。こまったものである。(苦笑)

 何れにせよ、こういう個性を言い出すとフォーサーズには他に根強いファンのいるLeicaのELmaritズームや、他の高倍率ズームとは一線を画すVario-Elmar、或いはコンパクトなZD梅他多士済々である。広角補強という意味ではZD7-14や最近じわじわ見直されているZD11-22なども極めて強力である。標準を中心にズームレンズに関してはフォーサーズはかなり役者が揃ってきていると思う。そして全体のレベルも良い感じである。

 この充実感を最近感じるたびに嬉しく思うし、このレベル感を維持したまま今後単焦点やその他の領域のズームレンズの更なる補強につながるのであれば大いに期待出来るところだ。
 
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by Hiro_Sakae | 2008-05-06 19:02 | ZD12-60


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