2008年 05月 31日
フォーサーズと、APSの立ち位置再考
  下の記事では、フルサイズが今年後半以降ソニーの参入等も経て、恐らく来年にかけて価格レンジも下がり、バリエーションも増えてくる、そしてそうなってきた時にAPSはどういう位置づけをされるのか、、各メーカーの本音が見えてくると書いた。
・やはり、現行マウント維持メーカーの本音は中級機以上はフルサイズ。
・APSは普及型がメインに収斂
と言うのに対しては、フォーサーズに都合の良い解釈では?と言うメールも頂いた。これに関してまたあれこれと、、



  自分自身が、E-systemに切り替えて以降DSLRかコンパクト化を問わずほぼデジタル100%の生活になっている。新製品もSLRに関してはDSLRと言うのが続き、話題もそれ一辺倒であるため、とかくフルサイズなどは「過去のフィルム時代の幻影を引きずっている」と思いがちである。

  今回、ふと思ったのは私より年上の方で最近D3を買われた方の話。私などよりずっと真面目に写真撮影をされている方で一眼レフはニコンをF2の時代から使われている方である。その方が、「いやあ、一時はどうなるかと思いましたが丁度買い換えようかと思っている時にD3が出てきて、待たずに35ミリ判のまま移行出来て良かったよ」と言われた時だ。DSLRだけ見ているとようやく出たと言う感覚も持っていた私としては少し違和感を感じた。ニコンのFの時代、F2の時代のようにフラグシップ機たるもの10年はだーっとその時代が続くと言うのは極端にしても、こういうフラグシップ機を手にし使いこなしてきた人のフィルム時代の「機種入替え」のスパンというのは今のDSLR時代から見ればとても長いと言うことか。いや、別にニコンに限らず、OMであってもそうであろう。

  そして、私はその話の後ちょっと過去のものを見てみようと調べてみた。こういうフィルム一眼レフの時代は過去の、、、と言ってしまうほど過去でもないと言うということだ。

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  例えば、5年前。正確に言えば2003年の6月の下旬にオリンパスはE-1をその年の秋に発売することを正式に発表した。

  このE-1の発表の頃の記事にオリンパスの2003年のDSLRの出荷数の予測が出ている。年間100万台。強気とのコメントがある。いきなり、100万台なんて言ってたのかよ~と思われた方がいれば私と同じだ。よく見れば、これはオリンパスでなく、DSLR全体の出荷数が年間100万台は行くのではないかというものである。ちなみに、当時の二強さんのDSLR全体の出荷数の読みは60万台。60~100万台というのが大方の出荷予想になっている。

  一方で、このE-1発売の前年、2002年のフィルム一眼出荷数は239万台。これでも2001年より7%減っての数字である。2004年以降これは逆転していき今に至る。しかし、フィルム一眼レフ、DSLRを合算して一眼レフ全体としてみよう。そうすれば、フィルム一眼レフの殆どは35ミリ判=フルサイズであることから、E-1が登場した2003年当時のフォーマット別シェアでは「圧倒的にフルサイズのシェアが高い」ということになる。これはすなわち、当時、各社マウント別に見てもフルサイズ用途(フィルム+DSLRフル)のカメラ出荷シェアが一番高かったことも意味する。

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 キヤノン、ニコン、ソニー(ミノルタ)の各社のマウントを見てみるとこの中で一番「新しい」キヤノンさんのマウントですら既に20年以上の歴史をもっている。最近はAPS-CのDSLRが店頭にあふれているとは言え、最短でも20年間以上の「フルサイズのフォーマット」の歴史の中で、デジタル移行という一大イベントの「たかだか3,4年間」APSフォーマットがメジャーになっているとも言えよう。そして、この程度の期間は先ほどの例の通りフィルム時代に一桁機を愛用してきたコアユーザーにすれば、どうと言うことのない期間であるとも言えるし、また画角は変わるが既存機材も使えるAPS-Cを「とりあえずつなぎ」に導入したという可能性もある。

 従って、私はフルサイズ VS APSーCで画質や、メリットデメリット等として語られる得失によるシェア異動以前に、
・ちょっとデジタル移行で混乱していたがようやく買い換え機種が出たと言うこだわりフィルム一眼利用層のフルサイズへのいきなりのシフト
・「まあ何れ出るから」とつなぎでAPS-Cを使っていた方の「本来の姿」へのシフト
が丁度フィルム一眼→DSLRへのシフトの時のように、ある一定の下限価格を超えると地滑り的に移行するのではないかと思うのである。10年も、20年も前の話では無い。ほんの4年ほど前まで使い慣れてきたフォーマットがそのまま使えるDSLRが手の届く価格で買えるならそれの方が良い。レンズのラインナップをフルサイズの画角に合わせて揃えている人なら更にお得感が出る。確かに細かいことを言えば、解像度にレンズが負けるかもしれない。しかし、そういうスペック的な優位と別の次元の
・使い慣れた操作感覚と、過去の投資がとりあえず使える
と言うフルサイズ移行のメリットは、(とくにこれにメリットを感じる人には)、「細かいスペックの優劣や将来性など消し飛んでしまうほどの」侮りがたいメリットとしてあるはずだ。

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 そして、上記の流れによるフルサイズシフトがかなりの数に上ったとしてそれによりシェアダウンの影響を受ける度合いがより大きいのはAPS-CかフォーサーズかとなればそれはAPS-Cであるのは明らかだろう。いくらオリバカの私とて、「いずれこのマウントでまたフルサイズになるはずだ」と言うつなぎ感覚は持っていない。(笑)フルサイズを出し蓋を開けてみれば、自社内でのフォーマット移行が大半で思ったほどシェアが伸びず、、というリスクはオリンパスには無い。

 また、フルサイズが低価格になり、お互いの補完としてフルサイズ「も」導入することはあってもフォーサーズからすっかり乗り換える人は(APSからフルサイズへに比較すれば)少ないと思うからだ。

 問題は、つなぎでなくここ2,3年で急増し今後新規ユーザーのメインとなる「35ミリフォーマットに何のしがらみも無い層」が今後どうなるかである。何れにせよ、「いつかはこれでフルサイズ版がでる」という期待層のかさ上げもなく(苦笑)過去のレンズが使い回せると言うお得感もない、、という無い無いづくしのなかで、現行のシェアまで少しずつフォーサーズの支持層が拡大していることからやはりオリの考え方は間違っていないと思うのである。そもそも、35ミリ一眼レフがここまで普及したのはなあに?と言う基本に戻れば、
中判やそれ以上のフォーマットには画質的には劣るものの
1.実用上問題のない画質
2.中判フォーマット比圧倒的に優れた小型機動性と汎用性、取り回しの良さ
3.同じく、対比においてよりリーズナブルな価格
4.普及型から上位機までの幅広いバリエーション
等であろう。

フォーサーズはマウントとフォーマットを変えてこの1~4を継承しようとしている。フルサイズは1を中判の域まで拡大しようとしている。しかし、この1を享受するために、見合ったレンズを導入すれば、2の小型機動性が損なわれるし、現行資産の使い回しが出来なくなれば3の価格の魅力も薄れる。4は無いとは言えないが、フルサイズで普及型機が出る時はフォーサーズ云々の前に、APSは「その役目を終える」時だ。

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ここで書いたようにフルサイズの進展は、メーカーの本音を浮き彫りにすると同時に今後2,3年でタームで見た場合、ある意味「ユーザーの本音」も段々あらわになっていくだろう。そしてお互いの本音が出てきた時にそれを「満たす」新たなバランスへシェアが動くような気がする。

うがった言い方をすれば、その時にAPSの立ち位置は「やはり名前通り35ミリ判DSLRに対する、まさにAPS一眼レフなのね」と言う立ち位置になりはしないか?というところだ。APSはようやく12MP程度である。フォーサーズの約2倍の面積がAPSだとすれば、E-1の5MPの画素ピッチでAPSだと10MPである。つまり、フォーサーズがこの5年間で5MPから10MPに上げていく際に細密な精度を要求されて他フォーマットに対して「産みの苦しみ」を味わったレベルに突入していく形だ。フォーサーズはフォーサーズしかないのでこれにオリンパスは全リソースを傾けてここまできた。レンズに至っては最初からこれらを想定した精度で1から揃えていった。(その分多少時間はかかったが、、(苦笑))

小さいフォーマットにして従来の一眼レフの小型機動性や取り回しの良さ等小さいフィーマットのメリットを十分に生かしつつ、画質を高めていくと言うのは実はとても大変なことなんだというのを、オリの悪戦苦闘を見ながら実感した身としては各社がフルサイズに注力すればするほど、フォーサーズの立ち位置とメリットがはっきりしてくると思うのである。「んなこと言っても、Hiroさん、高感度特性等APSにかないませんぜ」と言われるかもしれないが、そこにどうしてもこだわりたいのであればそれならそれで安くなった「フルサイズ機で補完する」だけの話だ。それでもフルサイズでフォーサーズでカバー出来るものを揃えて、、、と言うよりトータルのコストパフォーマンスは良好だと思う。

折しも、DXフォーマットでD300を導入したニコンも業界予想を大幅に下回る出荷計画にした上で、収益重視で中上位機の充実を目指すと発表している。オリ以外の他社における中上位機の主戦場=フルサイズと置き換えてみたらいかがだろうか?また強気の販売計画を出したキヤノンの台数を稼ぐ主力はKDXで、これの拡販伸び率で期待しているのが新興国であると見た時に、APS機に求める役割は明白だ。普及型に特化したフォーマットは何れコモディティ化する。利ざやが薄く、台数で捌くコモディティになればそれはその時々のユーザーのニーズ、はやりが優先する。特にそれを趣味とする人たちを引きつける骨太の思想、綿々とつき合うに足る魅力が宿るのか、私は疑問だ。

きりがないのでこの辺でやめておく。(笑)
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by Hiro_Sakae | 2008-05-31 23:30 | 雑記諸々


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