人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2008年 06月 07日
【特許関係】おー、ニコンは一体何を考えているのか意味深な特許
  ニコンさんの特許は割と手堅いというか、奇想天外なオリのような特許はあまり公開されていない。私も、題名を見た時はぴんと来なかったが中身を読んでうーむと唸ってしまった。これが本当に出てくるかどうかは別にしても、こういうアイデアを考えているんだと言うところが意外であった。本当にやれば、極めてサプライズなものになるだろう。極めてわかりやすいアイデアである。これの意味するもの、可能性を妄想してみた。他社特許ではあるが、王者ニコンがこれを、、、となれば気になるものだ。フルサイズに絡めて色々と、、




【公開番号】 特許公開2008-118199
【公開日】 平成20年5月22日(2008.5.22)
【発明の名称】 カメラボディ、アダプタ、レンズ鏡筒、カメラシステム、RFID、カメラシステムの動作方法

まず、この特許の目的をずばり本文から引用してみよう。こうだ。
「本発明の課題は、マウント形態やフランジバックの異なる交換レンズとカメラボディとを変換アダプタを用いて装着した場合に、好適に撮影を行えるカメラシステム、及び、これに用いるレンズ鏡筒、アダプタ、カメラボディ、RFID、及び、カメラシステムの動作方法を提供することである。」

つまり、この特許のボディは撮像素子が光軸方向、すなわち前後に移動する(実際には背面より後ろにさがれないので、前に出る形)、レンズ交換式のボディ。
そして、これにCPUを内蔵した変換アダプターを用意する。このアダプターのボディ装着側は元のボディと同じマウント形状となっており、レンズ側の方は別マウントに適合するような形となっている。

特許上では、A社のレンズ、B社のレンズといったフランジバックもマウント形状も違う一眼レフ用レンズをこの仕組みにより全て装着出来るというもの。
撮像素子が動くため、このアダプター経由で装着するレンズは元ボディのフランジバックに左右されない。極端に言えば元ボディと「同じフランジバックの別形状マウント」のものでもアダプターの厚み相当分撮像素子を前に出せば、装着し無限遠から利用可能である。

あと、当たり前であるが、想定されているボディはデジタルカメラでありレンズと何らかの通信を要する体裁になっている。(種種の変形例はあり)また、各社のボディによる撮像素子のフォーマットの差異は考慮されていないことや、各社レンズを想定していることからフォーマットは文脈上35ミリ(フルサイズ)と考えるのが自然である。

1.妄想A(文章通りの解釈)
文字通り、ニコンが他社の種種のマウントのレンズを使えるDSLR(構造上はオリの同種特許と同様撮像素子が前に出てくるのでミラーレスでないと難しいと思うが、、)を作ろうと言うことか?となれば、このボディのオリジナルマウントは現行のニコンFマウントで、これに種種のアダプターを付けて他社のレンズも使える形になると言うことだ。

これはこれで、結構なことである。しかし、私はこのA社、B社の例の通りニコンが自社以外のマウントを使うためだけにこの複雑な仕組みをボディに組み込むメリットが何かが判然としない。そもそも自社にニッコールレンズ群を有するほか、シグマ、タムロン等のサードパーティ製レンズもある。ツァイスすらわざわざZFを出してくれるくらいだ。「選べるレンズのバリエーションの豊富さ」としてここまで考える必要が無いのではないかと思うのである。

2.妄想B(実は、ニコン自身がフォーマットを二つ持つのでは?)
例えば、ニコンが将来今のFマウントよりもフランジバックが長く、開口径も異なるフルサイズ専用のマウントを新たに起こしたという場合である。従ってここでA社、B社の異なるボディとなっているが、そうではなく、現行FマウントをDXマウントとして、APS専用フォーマットとして完成させ、FX用には、FXマウント的な新マウントを立ち上げる形だ。

まず、現行のニコンユーザーは数から言えば、「圧倒的にAPSセンサーユーザーが多い」ので数的に新マウントを立ち上げた場合に困るのは、、
・既にD3等の現行マウントでフルサイズ化したユーザー層
である。ここを救済する為の措置。或いは新マウントでも現行マウントのレンズを使える為の工夫とも言えよう。

この仕組みのミソはレンズを付けるボディ本来のフランジバックより、付けるレンズのフランジバックが短くても装着出来る点である。仮に現行Fマウントよりも新FXマウントが10mm奥行きが深いとしよう。従来のアダプターではこれではFマウントレンズを物理的に付けられても無限遠がでない。しかし、この仕組みだとこの10mm+アダプターの厚み分撮像素子が前にせりだせば、Fマウントのレンズも無限遠から装着出来、且つ電子的にもつなぐ形なので利用上の制限もない形となるからだ。

もちろん、この新FXマウントのレンズを例えばD3で使うとなれば元々FXマウントレンズの方がフランジバックが長いので、電子的に通信出来る仕組みの通常のアダプターさえあればよい(現行マウントで新マウント用のフルサイズレンズを使う場合は撮像素子移動の仕組みは不要であると言うこと)要は、アダプターさえニコンが用意すればD3等でもこの新型レンズを使える形だ。

尤も、フルサイズの性能を極限まで引き出すのであればこの新FXフォーマットで新レンズを使うのがベストだろう。新マウントを立ち上げるための苦肉の策ととれなくもない。

-------------------

正直、実際にこのアイデアが実現する可能性などは薄いと思う。(笑)しかし、うーむと気になったのは、今回各社が上級機を中心にフルサイズ化するにあたって、なし崩し的に現行マウントのままフルサイズへ移行しそのまま5年、10年とこれを維持するのだろうかと言う素朴な疑問である。

他社の普及型DSLRよりも少ない画素数且つノイジー(しかも登場時は5MP)と酷評されたフォーサーズの画質も、5年弱の間に面積比で約4倍の差があるフルサイズ、2倍大きいAPSとの差は確実に縮まってきている。少なくとも面積比2倍、4倍から想定される画質の差はない。オリンパス自身の技術もさることながら、そもそものマウント径、フランジバック、撮像面のサークル径等にフォーサーズが無理の無いものだからこそここまで差を詰められてきていると言う面もあると思うのだ。

裏を返すと、もしフォーサーズと同じ様な設計思想でフルサイズ本来の力を無理なく発揮出来るシステムを考案しレンズも設計し直したとしたなら、フルサイズのポテンシャルはもっと高次元なものも秘めているのではと思うのである。

文系のアバウトな感覚では、フルサイズが現行マウントと現行の35ミリ一眼レフの範疇にぎりぎり収まるボディ形状の中に「無理矢理収めよう」としている間は、その本来の力が発揮出来ない。従って、フォーサーズとの差は縮まるだろうし、自社内のAPSとフルサイズの差も段々薄れてくるような気がする。その際に、営業戦略上フルサイズ=上級、中級、APS=その入り口~普及型までとされたがために、このAPSフォーマットでの極限を極める機種が出ず、結果的にアウトプットされるものとしてはフルサイズ>APSが維持されるとしたら、不幸なことだ。(追い上げるフォーサーズとしては良いこと?)

------------------

E-1~E-3の4年半での成長を見ると、次の4年程度でまた差が詰まると思う。4年タームになれば、撮像素子自体が現行Live-MOSからまた次世代センサーへ変わることも充分考えられる。

そして、余勢をかって仮にオリンパスがフルサイズ対抗機を作ると妄想してみよう。(笑)

HOYAへの移行等もあり休止しているが個人的にはPentaxの35ミリはAPS、それより大きいフォーマットは645ベースでと言うのが理論的には一番すっきりしているように思う。結局同じマウントで使い倒せると言っても、フルサイズを使う時にはそれなりのクオリティのレンズ、APSの時には小型で持ち運びしやすいレンズと揃えてしまえば一緒だ。フィルム時代のようにそれぞれの用途に応じて、35ミリ、中判どちらかメインシステムで他をサブに使うというのが筋が通っていると思うからだ。(尤も、予算的にOKな人は両方揃えても一向に構わないし、片方で用が足りればより効率的だ。)

そういう訳で、オリンパスがやるとしたら既にフォーサーズがメインストリームとしてあるわけであるから、妙に互換性などを考えず、「フォーサーズの中判」と言うべき理想のシステムを作って欲しいものだ。また、個人的には大判はともかく645~スクエア程度の画質を確保するためであるなら、フォーサーズを見ていると何もフルサイズにこだわらずとも、APS-H程度でも充分オリなら仕上げてくれそうな気がする。そしてこれこそ、それなりのマウント径とより長いフランジバックを確保するために、35ミリ一眼レフの形状よりも、ハッセルやマミヤ645の様な中判のボディ形状の方が良いのではと思うのだ。

例えば、645をフォーサーズと同様1/4の面積でやるとすれば、フォーマットは30×22.5。フォーサーズと相似形で大きくするとすると、この時のサークル径が37.5mm。余裕を見て40mmとする。フォーサーズ特許ではこの時のマウント径はサークル径の1.8倍以上となっているから、72mmだ。同じくフランジバックはフォーサーズの場合47mmに対してフランジバックが40mm。同様の比率とすると61mm程度と言うところか?ちなみに、Mamiya645やContax645のフランジバックが64mm。ちなみに、Contax645やPentax645のマウント内径が72mmである。(しかし、サイズ的には現行645と丁度同じぐらいだ、、)

タイミング的にはフォーサーズがこのまま熟成を重ね「あるフィルムカメラの質量維持、使い勝手を優先するには1/4の面積のフォーマットで十分対応出来る」という実績とノウハウが蓄積された段階で、現行645カメラと同様の形状、大きさの「645フォーマットのフォーサーズ版」というのは有りなのかなあと思った次第だ。当然35ミリ一眼レフと645の棲み分けのごとく動体撮影等機動性を活かすものをフォーサーズに任せれば、その頃今よりは進んでいると思われるLV専用にしてしまい、(現行のスクリーンを見る要領でLVをウエストレベルか背面で見る)より軽量且つ、柔軟な設計が出来るだろう。あわよくば、ボディに関しては他社フラグシップ上級機より割安に作れそうな気がする。

元々、メジャーなシェアを占めていた35ミリと違い、中判の画質を求めるシェアは微々たるものであったものを考えると、このフルサイズの中上級機の推移が
・単に35ミリ経験層の代替の需要で終わるのか
・本当にそれだけの画質を求める層が新たに成長してきているのか
を見極めて「後出しじゃんけん」をした方がリスクを考えても良いような気もする。

と、また果てしなく脱線してしまったが、とりあえずオリンパスはフォーサーズという単一マウントにリソースを集中出来る利点を活かして、これを突き詰めて欲しいものだ。

by Hiro_Sakae | 2008-06-07 23:38 | オリ特許関係


<< 何となく気になるE-520キャ...      最後は林の >>