2008年 11月 15日
200万アクセスで、筋としてのフォーサーズとマイクロフォーサーズ
  マイクロ登場後、頂いたいくつかのメールの中で、例えばファインダーの問題(現状フォーサーズは光学でマイクロはEVF)や、AFの相違、実際のレンズラインナップ等の実用上の問題を差し引いたとして、本来のフォーサーズの理論に忠実(と言うのも変な言い方だが、、(笑))はどちらかという質問を受けた。
    結論から言えば、レフにこだわらなければフォーサーズの考え方に忠実なのはマイクロフォーサーズの方ではないかと思う。



  
  フォーサーズ規格の詳細は、賛同企業以外には公開されていない。従って私などは見る術がない。しかし、ここで何回か紹介してきたようにオリンパスのフォーサーズ規格策定の原型と思える特許が公開されている。

【公開番号】 特許公開2005-6122
【公開日】 平成17年1月6日(2005.1.6)
【発明の名称】 デジタルカメラシステム、デジタルカメラボディおよび交換レンズ
【出願日】 平成15年6月12日(2003.6.12)

 何度か引用させて頂いているのでここで全体をまた説明するのは省くが規定しているものは二つ。すなわちテレセントリック性を満たす条件としては
1.撮像素子のイメージサークル対比マウント内径の開口部が1.8倍以上
2.ハウジング部を横から見た側面図でみるとイメージサークル長とマウント内径を上辺底辺にした台形上に見えるが、この離間(末広がりになっている)角度が12度以上、14度未満

ということだ。この前提自体がきついのか、ゆるいのか、妥当なのかというのは私には正直よくわからない。

1.フォーサーズの場合
 これを「一眼レフ」システムに適用しようとした場合に、ミラー部を考慮しないといけないと言うことだ。上記の式で台形のサイズを規定しようと思えば、台形の高さ=フランジバックと1.8倍以上の任意の倍率を置けば一義的に決まる。

 フォーサーズが「35ミリ一眼レフシステム」の代替を目指している以上、そのサイズを超えたものは作れない。特許でも「出来上がった台形のサイズ」の限界値を先に呈示している。引用すると、「一般的なレンズ交換可能な銀塩カメラシステムのカメラボディの大きさは高さが90~120mm程度、厚さが60~80mm程度である。つまり、これより極端に大きくなるようでは実用に供さない。上述の高さ90~100mm程度を実現するには、マウント開口径を50mm程度以下、より好ましくは45mmよりも小さくし、40mm程度の口径が望ましい。一方、上述の60~80mm程度の厚さを実現するためには、フランジバックFBを35~50mm程度にする必要がある。」

ある撮像素子のタイプとサイズを決めると、自動的に長辺、短辺、そしてイメージサークルが決まる。イメージサークルにより最低確保すべきマウント径が決まってくる。そして、角度の許容範囲との組み合わせで、許容出来るフランジバックが決まってくる。一方で、撮像素子の辺の長さが決まれば、それに見合ったミラー長+ミラーに関係なく必要なスペースからもフランジバックの必要長が決まってくる。

両方から決まってくるサイズと、上記の出来上がり内で収められるぎりぎりのサイズというのがフォーサーズという撮像素子のサイズに落ち着いた根拠と思える。実際に、マイクロ発表時にミラー部が無くとも必要な長さが20mmを説明されていたから、これにミラー部の長さ+若干ののりしろでフォーサーズのフランジバックは「一杯一杯」である。

もう一度、引用部分のフォーサーズでのターゲットのサイズを見てもらうとわかるように、このテレセントリック性確保の関係を「一眼レフ」で適用する場合、これに収めるにはフォーサーズでやっとということである。

2.マイクロフォーサーズの場合

マイクロフォーサーズ登場時に、私自身もこんなに詰めてテレセントリック性に妥協したのかと言う感を受けた。しかし、詳しい事は省くし、詳細なサイズが公開されていないものの、マイクロのフランジバック長とマウント径は上記特許の制約式を満たしている。フォーサーズ規格が、「デジタル一眼レフシステム」としてレフ構造を内包しないといけないためフランジバック長が長くなっていることからその分マウント内径を1.8倍より余裕を持った設計がされて「大きく」なっているだけだ。

言い換えれば、一眼レフという縛りを無くし、単純にテレセントリック性の制約を満たす小型軽量のレンズ交換システムを作ったら、、、という風にしてぎりぎり出来るサイズがあのマイクロフォーサーズだと言える。従って、撮像素子がフォーサーズの撮像素子サイズで、オリ、パナがテレセントリック性のこだわり云々を捨てない限り、今回のフォーサーズ→マイクロフォーサーズの様にさらにまた小型、薄型化されると言うのは無いと思う。

そう言う意味では、殊この「テレセントリック性を確保した上での小型軽量を極める」という意味ではマイクロフォーサーズの方がむしろすっきりと素直に具現化していると言えるだろう。

3.改めて言うまでもないが、、

従って、
・同じ撮像素子、サイズで、
・基本的な部分(テレセントリック性等)
は同じであるから、マイクロフォーサーズもフォーサーズも同じレンズ性能であれば出てくる画像、画質と言ったものは同じであるはずである。そこに、マイクロだから妥協しているとか、フォーサーズの方がだめとかそういうのは無い。

4.マイクロの優位性
これは、制約無しに理論通りに「フランジバック長」も短縮出来たことに尽きる。テレセントリック性確保のために必要とされるフランジバック長から来る「副作用?」とも言える、これを考慮しないシステムよりより長いフランジバック長→我々がイメージするよりもそれより短い焦点距離側で逆にレンズが大型化する問題の発生を「ぎりぎりまで詰められる。」

小川本部長のデジカメwatchの発言にもあるように、これはオリンパスも当初から認識していたようで、これをレンズ側の開発で小型化に努めた。確かに今回9-18広角ズームに至る小梅レンズ群等はその成果であろうが、想定外にそれは難しく時間がかかったというのも否定出来ないと思う。

マイクロは、その「レフ構造を内包したが故のレンズ広角側肥大化」の副作用克服を考慮せずにレンズ設計が出来、実際に小型化に成功している。より大口径化や、元々この副作用があまりない焦点距離側ではフォーサーズとの差異は急速に薄まるが、例えば今後のレンズラインナップの充実に関しても上記フォーサーズ特有の苦労は軽減される他、フォーサーズレンズ開発時のノウハウも蓄積されているため、ラインナップ充実のスピードはフォーサーズ対比明らかに早く進むのではないかと思うからだ。

5.差異を何に求めるか(短期的には)

短期的には、まず、ボディの大きさであろう。自分の使う用途、メインかサブか、使用するレンズ群とのバランス等において違いが出るだろう。より小型化というのであればマイクロフォーサーズであろう。また、これと付随するレンズ群も考慮せねばならない。

また、ファインダーの差異だろうか。現状ではフォーサーズは光学ファインダーでマイクロフォーサーズはEVFである。逆に言えば、目先的な事では違いが明白であり個人的には、小型軽量化を重視したり、広角がメインの方であれば、マイクロフォーサーズの方をラインナップ拡充と共にメインにスイッチしても「失敗した~」と思うことは無いのではと思う。(ボディデザインとか趣味的な部分は別にして)

また、逆にフォーサーズの現行使っているボディに関して大きさを許容出来る人(E-3からE-420まで様々だが)に関しても、それをわざわざ今、乗り換えてまで移行すべきかどうかというのは「どっちでも好きで良いんじゃないか」というのが正直なところだ。私はフォーサーズが今気に入っているので、これをメインに使い続けるし色々入れ替えたが、これがベストかどうかはわからない。(笑)フォーサーズと他社を併用している方、フォーサーズでもパナがメインだった方、またフォーサーズはサブ用途の人等でまたとらえ方も変わるだろう。

6.長期的には

一方で、中長期スパンで見た場合のフォーサーズの評価を見る場合にはここで何度か書いているように、フォーサーズがDSLRシステムとしてレガシーなまま
・一眼レフのレフ構造の用途は「光学ファインダーへの分光」が主用途である
と言うのに固執するのか、もしくはそれ以外の展開が見いだせないのかと言うところに尽きる。

フォーサーズは他社が既存の一眼レフシステムの延長でなく、DSLR専用システムとして1から作るしがらみのないシステムとして立ち上がった。しかし、DSLRと言う構造上、そもそもの一眼レフ構造による光学ファインダーという部分においてレガシーな部分を引きずっている。レガシーな部分を引きずらずに一から作った方がすっきりといけるという部分でZD等のデジタル専用レンズでは回答を自ら出しつつ、レフ構造はレガシーな部分を引きずっているわけである。

引きずっているものをすっきりと取ってしまって突き進むというのがマイクロフォーサーズであろう。フォーサーズが中長期的にもマイクロと並立する意味を持つとしたらこのレフ構造の意味、光路上でTTLの光を分光出来るという特徴を
「DSLRシステムとしてのベストの利用は光学ファインダーとしての用途のみか?」というところを突き詰め、レフ構造のメリットをDSLRとして新たに意味づけ出来るかというところだろう。

もし、それが無いとなれば、中長期的に見ればEVFのカバーする範囲が増えることすらあれ減ることはない。光学ファインダーのカバーする用途が0になるとは言えないが、メジャーの座を渡すと言うことは十分に考えられる。もし、光学ファインダーを残すだけのためにフォーサーズを残すというのはいかがなものかと思う。結局それではレガシーなAF用マウントがあったために、飛べなかった他社と同じである。

7.で、お前は

これは、まあ個人的な話だが、

私は、短期的には今のフォーサーズで満足しているので不満がない限りメインはこれで行くつもりだ。光学ファインダーに慣れてしまっているのと、今のところ不自由を感じていないところが大きい。後は現実的には、メインで使うだけのシステムがマイクロフォーサーズシステムにはラインナップされていないと言うことだろう。

そして、スケベ根性というか(笑)オリンパスが自らこのパンドラの箱をあけながらもフォーサーズを続けていくと言っていることや、ここで紹介したレフ構造を利用した色々な特許のアイデアを垣間見るに付け、今回どーんとマイクロフォーサーズが出たように、中長期的スパンで見ればフォーサーズはフォーサーズでまた何かやってくれるのではないかなあという都合良い期待をしているところもある。

それは、例えば高速位相差AFのEVF版の投入や撮像素子二枚搭載というレフ構造絡みの奇想天外なものから、今回のPhotokinaでの寺田氏の発言でも含みを残したPanasonic製以外の撮像素子の搭載の可能性と言ったもの、果てはフォーサーズの拡張企画としてまだ何かあるんじゃないかという荒唐無稽ななものまで様々である。

良くも悪くも、何をするかわからんという怖さがオリにあるのは事実で(笑)、となればとりあえずマイクロも何れ導入を検討しつつ、当面追加投資で済むフォーサーズで今まで通り機嫌良く楽しんでおこうかというところか?。フォーサーズwatchが長くなってきて私などの様にはまってしまうと、うだうだ言いながら、こういう時折「大丈夫かぁ」というクライシス的刺激がないと何だか物足りなくなっている。非常に困ったことではあるが、、
[PR]

by Hiro_Sakae | 2008-11-15 23:52 | four thirdsの思想


<< 【特許関係】フォーサーズ既存レ...      【御礼】ユニークユーザーアクセ... >>