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2008年 12月 21日
アートフィルターについて、、
触れないわけにはいかないだろうが、、
アートフィルターについて、、_c0036985_1824271.jpg

E-30, ZD14-54/2.8-3.5II
ISO AUTO
Jpeg, ArtFilter-Toyphoto



今年の秋からの各社モデルで従来のDSLRに無かった新機能の付加のトレンドは動画機能だろう。Nikonさんしかり、Canonさんしかり。フォーサーズもマイクロフォーサーズのGシリーズでは来春動画搭載モデルが正式にパナからアナウンスされている。そんな中で、E-30は動画の代わりにこれだ。

今月号のDCMの別冊付録である「デジタル、私のとっておきの一枚」に各メーカーから「メーカーにとっての一台」と称してコラムが寄せられている。オリンパスからは、E-1開発メンバーであり、現在も商品開発部の部長の朝倉氏がコメントされている。もちろんこの一台がE-systemの初代フラッグシップ機であるE-1であるのは当然として、E-1のDNAの今後の進化の方向性としては
・マイクロフォーサーズ規格によるさらなる小型化
・ライブビューの高速化と動画対応
・アートフィルターの様な撮影を楽しめる新しい価値の提供
をあげておられる。

第二章スタート時からより鮮明になった小型化やライブビューはフォーサーズから更にマイクロフォーサーズの登場により更に進化するのは容易に予想される。そして、第二章スタート時に無かった新たな拡張としては動画対応と、このアートフィルター機能を付加している。E-30発表時のリリース同様、E-systemにとってこのアートフィルター機能(正確に言えばこれが発展して目指していくもの)はライブビューや、動画対応と等価で語られるもののようだ。

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これに似たようなものはそもそもVIVID、NATURAL等の設定変更、あるいはシーンモードのようなものが既にいくつもある。が、実際にこのアートフィルターを使い始めてみると似て非なる部分がある。

1.効果ははっきりしているのだが、結果が読みにくい
 フォトフェスタでのオリの方の説明や、斉藤巧一郎氏の作例の説明等を聞いていても、このぱっと見おまけ機能の様なフィルターでかなり複雑なことをやっているのは何となくわかった。ポップアート等でも元画像の色により彩度が上げるのに微調整が加えられている。他も含めてフォトショップでやるとなればいくつものレイヤーに分けてそれぞれを調整する様な手間暇をかけているようだ。

 プレゼンでは、ラフモノクロームの元画像と処理後の画像の拡大を見たが、単にコントラストを上げてモノクロームにしたというわけでもなくうまい具合に荒れている。以前オリの会報誌でE-1の高感度ISOを使ってモノクローム画像を作る記事があったのを思い出した。単にモノクローム化するのでなく、E-1の高感度の色ノイズがモノクローム化後に粒状感として「イイ感じ」になるようにRGBのトーンカーブをいじって細工した上でモノクローム化するみたいな面倒な作業をしていたような記憶がある。

 従って、使っている本人がどういう処理をしているのか詳細がわからなくて使っているのであるから、当然ポップフォトは派手派手になるんだよな~というアバウトはわかっていても撮ってみないと出来上がりが想像出来ないと言うことだ。

 そして、うーむと思ったのは、斉藤功一郎氏の説明の時。例えば簡単なところではラフモノクロームもコントラストが上がるために、敢えてコントラストの低い場面で使うと独特の雰囲気が良い感じになるとか、ファンタジックフォーカスもソフトフィルター的ないかにもという使い方でなく、紗がかかった様な部分のみをハイライトを入れずにうまく使うとか、トイフォトの周辺減光を敢えて目立たさずに色味の変化のみをうまく使うと言う感じで、使いこなせると言うことだ。実際、いくつか見た作例ではやっぱりプロだなと思うものがいくつかあった。いわば、大体わかっているけど詳細がわからないと言う部分があるので、これはこれで使いこなしに腕の巧拙が出ると言うことだ。ひょっとすると、E-30使いの中にラフモノクロのエキスパートとかそういう腕自慢が出てくるのかもしれない。(笑)

2.これをオリスタでなく、敢えてカメラに搭載してきた意味

 この複雑な処理を行うために、TruePic3を3+に拡張した。これは専用のハードを搭載したとのこと。従って今後発売になる機種は別にしても、既存機種でファームウェアバージョンアップでの対応は無理なようだ。おまけに、デジタルなのですぐ撮り直しが効いたり、ライブビューでは確認が出来るとは言え、この処理後の画像はJpegである。実際には撮り直しなど出来ない場合もあることも考えると、経験値を頼りにJpeg一発勝負となる。尤もフィルムの時はみんな一発勝負ではあったのだが、デジタルでRaw撮りに慣れた身としては何とかならないかと思うところもある。

 実際に、各設定の強弱と言ったパラメーター的なものや、今回用意されたもの以外のものの拡張性と言ったものは開発時からも意見としては出ていたようで、この辺はオリンパスも今後この機能をニーズ等にあわせて育てていくようではある。ただ、これらのバリエーション付加や、パラメーター的微調整を付加するにせよ、それらを現状の現場一発勝負のままとするのか、あるいはオリスタに同様の機能を持たせるかと言うところは意見の分かれるところだろう。

 個人的には、現状のカメラで完結する機能を持たせたまま、オリスタでも同様の機能を提供するという両方ありが良いような気がする。E-systemとしてもオリスタまで含めたデジタルワークフローという概念を持っているし、各フィルターを使いこなしていく上でも良い練習になる。

 また、アートフィルターの呈示したもの、つまり
・色々な写真のトーンや表現方法で比較的見たりしてイメージがわきやすいものの
・素人が実際にそれを自力でレタッチするには労力的にも、技術的にも困難な為に
・フィルムを選ぶような感覚で提供し、
・ユーザー側はその効果の出方を習熟し作品作りに専念出来る
と考えると、カメラだけで完結するものと、オリスタで調整が効く両方の方が使いやすいのは明かだろう。
 また、もしこれをもっと広めたいのであれば、オリスタと言わずオリンパス製でフォトショップのプラグインとして提供してしまっても良いのではと思う。他社のユーザーも使える形になるが、「ポップフォトを使わせたら、誰にも負けない」的達人になれば、それはオリのカメラだけでなく、全てのカメラを使う時に応用が利く。またそうなっても、(或いはそこまでいけばこそ)「E-systemだといちいちレタッチしなくてもすぐ撮れちゃうよ~」というのが売りになるような気がするし、逆にそれでE-systemに興味を持つという人が生まれるかもしれない。

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 画像再生画面では、私はハイライトとシャドウのオーバー部分が表示されるようにしていて時々気になる時はチェックする。このアートフィルターを使ったものなどは、これで見ればもう反転表示しまくってだめだめなものも相当ある。(笑)適正露出という意味ではダメ画像だ。また、目先の目新しさや、おおっと言う感じに引っ張られてしまう危うさもある。面白そうで色々試してみて、一段落してそういうおもしろさがはげた時に、ノーマルの「フィルム」ともう1,2本変わった「フィルム」を持っているように、時に応じて使ったり、あるいはそれを使いたいがための被写体を見つけられるか、、アートフィルターが私にとっておまけから、実際に楽しみの幅を拡げてくれる機能になるかはもう少し使ってみてからだろう。

 ただ、冒頭に触れた最近のトレンドの新機能から言うと、(もっと完成されれば別かもしれないけど)今DSLRに搭載されてきている動画機能よりは、こちらの方がおまけとして見ても楽しめるものである。尤も、これらにあれこれと興味が行くのは、それ以前に(言い方は妙であるが)E-30が「普通に良いカメラ」としてベースが出来上がっているからこその話ではあるのは言うまでもない。

by Hiro_Sakae | 2008-12-21 19:38 | E-x,E-xx関係


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