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2009年 03月 08日
渡辺部長のC-Net Newsのインタビューに関して(画素数編)
既に、あらかたPMAでの情報は出尽くしたようである。直近の関心事としてはE-620、GH1、オリのマイクロ機等の情報であるが一番印象的に残ったものは?と言われれば既に公表されているC-net Newsにおけるオリンパスの渡辺部長のインタビューであろう。

インタビュー末尾に記載されている言葉、すなわち

Correction 8:50 a.m. March 6:
" Two details in this story were changed at Olympus' request. Customers who want more than 20 megapixels should look to full-frame cameras, and imager-based autofocus will outpace phase-detect autofocus in the future, but not necessarily soon, Watanabe said."

20MP以上欲しい人はフルサイズのDSLRへいくべきだ。そして、イメージャーベースのAFはすぐにと言うわけではないが何れ(現行の)位相差AFセンサーを超えてくる。と言うところか? ここでは、その内の画素数等についての部分をあれこれ書いてみたい。



1.画素数に関して
画素数に関しては、現行の12MP程度で殆どのニーズをカバー出来るとしている。一部、コマーシャルフォトやスタジオフォト等のより多くの画素数を必要とするユーザーに関しては、はっきりと「フルサイズを使うべきだ」と見切っている点である。

この画素数に関しては"personally believed"の前置きはあるものの、E-systemを立ち上げるころにプロアマ様々な人へのインタビュー等から大まかにこの程度の画素数をターゲットにしていたとのことである。この辺のところはフォーサーズ立ち上げの頃から明確な確証は無いものの、E-10誕生の頃から2/3インチ撮像素子で画素ピッチ等の関係からベストバランスは4MPと言う話が当時の開発責任者である小島氏のインタビューなどに出ているので(興味のある方はDigitalCamera.JPのレポートのフォーサーズ並びにE-10のレポートを見られると良いだろう。)単純に16MP程度ぐらいは予想が付いていたものだ。

この20MP越えを想定していないと言うのは去年のフォトキナでデジカメwatchが行った小川本部長へのインタビューでも述べられているが今回これに渡辺部長の発言を合わせればE-systemに関しては、(ビジネス上?)多少の画素アップはあるかもしれないがもうE-systemにおける画素数アップはこの辺で止めると言うことだろう。

2.画素数アップをやめる代わりに目指すもの
ここでは、渡辺部長は画素数を現状程度で据置にする一方でこれに代わりE-systemのセンサーで画質のレベルアップを図っていく項目として3つを上げている。すなわち、
1.ダイナミックレンジの拡大
2.色再現性の向上
3.暗所撮影での高感度ISOの(画質)向上
だ。

3.フォーサーズとしての画素数とてこ入れの必要な部分について

これは、ここでも何度も書いたことであるがフォーサーズがフィルムの35ミリ一眼レフがカバーしていた領域をデジタルで置き換えると言う立ち上げの意図を考えるなら画素数に関しては妥当なところであろうかと思う。過去にも引用している画素数の一つの目安として感度毎のフィルムを画素数に置き換えたマトリックス表と比較しても12MP~15MPは35ミリフィルムにおけるISO50のVelviaクラスである。

しかし、ではフィルムのISO50クラスの微粒子のフィルムでの出来、味わい、或いは深みといった部分においた総合的な画質においてどうなんだと言うとこれとデジカメの12MPが同じだと言うと違和感を持つ方もいらっしゃるだろう。

確かにデジカメもいまでは12MPと言ってもフルサイズの12MPからコンデジの更に普及価格帯の12MPまで幅がうんとある。「同じ画素数でも総合的な画質となるとピンキリがある」と言うのはコンパクトが画素数だけDSLRに追いつく(場合によっては追い抜く)過程の中で広く認識されることになった。

また、DSLRの雑誌の比較記事などでも同じ画素数でありながらもピクセル単位で見た場合に実際にどこまで解像しているかでは差があるし、先月号のアサヒカメラの大判プリントの実験ではないが、例えばベイヤーの6MP機よりも、フォビオンのSD-14の方が拡大印刷時にディテイル表現で勝っていると言う逆転も起きうることが示されている。

要約すると、35ミリフィルムの代替をしそれを超える程度を意図した場合今(特に)欠けているものはこれ以上の画素数でなくダイナミックレンジ、ISO感度でのノイズ、と共に色再現性の向上やそもそも1画素、1画素の質を上げないとだめだというのはまあ至極もっともなことであると思える。逆にこれらを向上出来れば(現行以上に)これ以上の高画素を必要とする部分は更に無くなってくるとも思うのだ。
ちなみに、SD14の様な垂直色分解(1画素で3色)と現行のベイヤー配列のDSLRでの解像の違いに関しては、ここのHPが参考になるだろう。

4.これに商売上の売りも考えるならば、、

今回渡辺部長がはっきりと画素数をこれ以上求めず他の部分の向上にフォーカスすると言う以上は、ネタがあるんだろうなということである。ところどころThink,Believeを挟み込んでいるとは言え、"leader of Olympus' SLR planning department"の肩書きと共に顔写真入りで公開しているインタビューである。

恐らく、パナの新機種発表スケジュールを見ても今年いっぱいは現行Live-MOS(含むGH1のマルチフォーマットタイプ)もしくはあったとしてもこの改良型(含む画像エンジン)でパナ、オリの機種が出るはずだ。そして、商売上画素数据え置く代わりに売りを作るとなれば、やはりオリ、パナは来年以降のポストLive-MOSとも言える新型撮像素子を仕込んでいるのでは無いかと思うのである。

上記に触れたように、ここまで踏みこんでいなかったがSLR事業のトップである小川本部長の同様のフォトキナでの発言や、パナソニックがコンパクト型ながら敢えてトップのLX-3の開発では画質の為には画素数を増やさないと言うアプローチを見せたこと、そして断続的ながらパナの1画素3色の新型撮像素子の特許などが何かあるのではと思わせる。(パナの新型撮像素子は12MP×3と言うべきものだ)

この通り出れば、
・フィルターで1/3しか使っていなかったロスを払拭するほか
・高画素化の為の配線ロス等の技術を画素維持のまま開口部アップに持っていけば
画素あたりの光量は現行フルサイズとほぼ同等になる。
加えて、原理的にローパスフィルターが不要となるためにZDレンズの切れがストレートに反映される形になる。

当たり前だが、オリ、パナの場合ローパスフィルターをゴミ取りには使っていないためこれをはずしたとしてもSSWFによるダストリダクションには何の影響もない。そして、画素数以外に向上させたいものの殆どがこれで解決する形になると思うのである。

実際、「画素数なんてもうこれぐらいでいいんじゃないの?」と誰もが思いつつコンパクトに至るまで画素数増加に走らざるを得なかったのは「結局、それが一番商売上売りになる」という営業上の理由があったのは事実である。従って、E-systemとしていくらこれが理想だと言っても営業上それで売れないと理想の追求は難しい。これをクリアーする意味でもあっと言わせる仕掛けとしてやはり新型撮像素子が来るのではと思うからだ。

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と言うわけで、私は今年現行のLive-MOS(ただ、これでも12MPになりながら従来のものよりだいぶ使い勝手が向上していると思う)でフォーサーズ、マイクロフォーサーズ並立での布陣、体制をオリ、パナで築いた上で来年以降の次期E-3あたりからの新たな章のはじまりの予兆ではないかと思った。と勝手に楽しみにしているところだ。

by Hiro_Sakae | 2009-03-08 10:53 | E,Pen-system関係


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