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2009年 03月 22日
Dpreviewのオリンパスへのインタビューから
今回Dpreviewでは、オリンパスへのインタビューに先立ち明らかにしてもらいたい質問を自身のHPで公募した。その中でも、やはりフォーサーズファンにとっての最大の関心事はマイクロとフォーサーズの立ち位置、関係であったようだ。インタビューでは冒頭にこれに絡んで質問がされている。

従来からオリは、双方を開発すると明言しているがこれに関してより突っ込んだ話が展開されている。気になるところであるのでここを重点的に紹介すると共に、その他の気になったところを箇条書きしてみた。何れにせよ、いつものDpreviewのインタビュー通り、中身の濃いものだと思う。




オリ側は、渡辺部長以下4人が参加している。
(詳細は、元リンク参照)

まず、第一にオリが表明しているのは、マイクロか?フォーサーズか?と言うのではなく、オリにとってはオールフォーサーズという立場であり実際に、開発の相当の部分が重複して行われているということだ。

代表的なものでは、撮像素子やぶれ補正機構と言ったものでありものによっては双方での利用で若干のモディファイを必要とするもののE-3での開発の成果が他のE-systemのボディに還元されるように双方の開発のリソースはそれぞれにメリットがあるとの考え方である。

具体的な製品への言及に置いては、
今回20%小型化されたE-620のぶれ補正機構は同様のタイプがマイクロフォーサーズにも搭載される予定である。更に、今回E-620に搭載されたぶれ補正機構も元はフォーサーズと言うよりマイクロの為に開発されたもおをフォーサーズに導入したと書いてある。

そして、重要なポイントとしてオリンパスとしてのマイクロとフォーサーズに対する理解は双方の違いは単に内部にミラー機構を持つか持たないか、そしてその分ボディがマイクロの方がより小さくできると言うことだけだ。(レンズにおける違いは別項)

また、レンズに関する両者の違いに関してはこれはバックフォーカス長の違いとして現れる。

ただ、ここに関しても典型的な例として300mmの望遠レンズのようにバックフォーカス長の違いによるレンズの大きさに変わりがない例を上げた上で、一般的な話として、バックフォーカス長と焦点距離が大体同じ長さになった際にレンズの大きさが最小化出来るとしている。そして、これ(の影響による最小化の可能性)をのぞけばフォーサーズとマイクロでのレンズのサイズの違いはあまり無いと言及している。

要約すると、
マイクロとフォーサーズの違いは
1.ボディに関しては、ミラー機構の有無によるサイズの違い
2.レンズに関しては、バックフォーカス長の違いによるそれぞれの最小化しうる(しやすい?)焦点距離の違い
3.それ以外のボディ(内部の機構)やレンズの開発に関してはむしろフォーサーズとマイクロに関しては共通する事が殆どであり、開発に当たっても多くの部分が重なっている。
4.従って、その開発の成果もクロスオーバーするものでマイクロ用に開発されたものがフォーサーズで先行して利用されること(今回のE-620のぶれ補正)もあれば今後恐らく逆もまたあるということだろう。

最後に、
双方のベネフィットの共有という意味では、
フォーサーズを基準にすれば、R&Dの点からいけばマイクロは一段高度なもので、特により小型化に関してはフォーサーズより高難易度のものが求められるが、それは裏返せばマイクロから(得る)フォーサーズのベネフィットとも言えるとのことだ。

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一言で言えば、マイクロを含んだオールフォーサーズと言ったとらえ方でオリにとってはマイクロは今後の様々な可能性を秘めたシステムではあるがあくまでフォーサーズの拡張企画として捉え、それぞれの開発において得た果実と言ったものはそれぞれ独自に応用するだけでなく、双方で使い倒すと言ったところだろう。

特に、オリンパス自身がかつての中期計画でオリンパスのDNAと称していた小型化への取組のフロンティアをフォーサーズにおけるマイクロに求めている感もする。

ボディやレンズを小型軽量化するにあたりフォーマットが小さいことや、バックフォーカス長(アバウトフランジバック長と置き換えても良い)が短いことは利点となるが、それだけで小型軽量化が出来るわけでもないのをオリは恐らく今までのフォーサーズの小型化の中で嫌と言うほど感じていることだろう。実際、もしそれだけの小型化しか出来ないのであれば、フォーサーズはAPS対比撮像素子の縦横の差やフランジバックの差程度しか小型軽量化は出来ない。

ユーザーとは(私も含め)勝手で、フルサイズの長辺36mmに対し、フォーサーズが17mmだとしたら、単純に撮像素子の大きさのみに起因するボディ横幅での縮小化の影響は19mmしかないと頭ではわかっても、イメージ的には絶対長の差異でなく、割合→「縦横センサーが半分ならボディもそれぐらいは出来るだろう」と考えてしまいがちである。液晶の大きさや、実装する電子部品、バッテリー等は撮像素子と関係なく同じ大きさであるのだからこれらの部品全部を撮像素子の縮小化と同じ割合で小さくできない限り普通にしていては、「イメージほど小さくならない」ものだ。

従って、小さい撮像素子からイメージされるようなコンパクトなボディにするためには、その他の機構もコンパクトにせざるを得ない。そしてここはメーカー側が新たな技術で乗り越えなければいけないところだ。

そう言う意味では、オリの言うとおりマイクロとフォーサーズのボディに関して言えば、機構の違いから小型化出来るメリットはミラー部が無くなったことと、フランジバック分薄くなったところだけだ。さしずめ、E-420からミラー部をとって、マウント部の出っ張りをなくした様なものか?

しかし、オリはそこにそれではフォーサーズが登場した時のように「顧客は納得しない」と考えたのではないだろうか?物理的には確かにそうだがそれでは、仮にその取っ払って小さくなったものに新たに付加(例えばG1の様なEVF)してしまえばあまり小型化にはならない。顧客が小さくなりそうだとイメージするものに近づけるためにはやはり、物理的なメリット+更なる小型化のための技術革新が必要だと考えているのだろう。

そして、その部分は恐らくフォーサーズ、マイクロとも使い倒す事が出来るのだろう。逆説的な言い方かもしれないがもし、マイクロにも手ぶれ補正を搭載しようと言う目標が無ければ、果たして今回E-620に搭載されたようなモーターから作り直すような抜本的な開発が出来たかどうかは疑問だ。

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翻って、私がパナソニックの作り込みに対して今ひとつ「萌え」が無いのはこのあたりかもしれない。

勝手な言い分として書くとすれば、、

L10とG1の比較を見ても、それはパナソニックの得意分野への引き込みとも見れるが、ある意味フォーサーズ機での小型軽量化のネック(ミラーと、フォーマット対比フランジバックの長さ)を取っ払い、簡単に小型化出来る道を選んだとも取れなくもない。

また、パナソニックのインタビューにも出ていたレンズ補正の導入も私自身もより良い画像取得のために最新の技術をうまく利用することには全く異論はない一方で、何となくZD9-18の様なとんでもない両面非球面のEDレンズまで作り込んで小型化を達成する様と比較すると小型化の為に安直にデジタル補正を使ったという感もぬぐえないのである。

更に言えば、現行パナが先行しているレンズラインナップを見ても何れも、マイクロが小型化に有利とオリが指摘する焦点距離(広角と、同画角を含むズーム、もしくはバックフォーカス長=焦点距離)を埋めてきており、且つレンズの肥大化の要因となる大口径を避けてきている。
メリットを生かすという意味ではセオリー通りであるが、ではこれが一段落した後の大口径レンズ、あるいは物理的なメリットが薄れる望遠域のレンズとなった時に本当にマイクロらしいレンズが出てくるのかは疑問だ。
(オリンパスですら望遠域はあまり変わらないと言っているわけであるし、、)

レンズも、そう言う意味ではデジタル補正を利用するにしてもまずデジタル補正が不要なレベルでの作り込み、小型化を極限までした上でさらにのりしろとしてこれを積極的に使うのと、最初からこれを前提にした上では最終的に小型化出来る限界はおのずと変わってくると思うのである。少なくともフォーサーズにおいて、オリンパスが蓄えた経験値、例えば梅シリーズにおけるズームレンズの小型化のノウハウとか、E-620まで小型化出来た数々の実装技術や、新開発のパーツは恐らく(オリの意見を見るまでもなく)惜しむことなくマイクロにも投入されるだろうし、またマイクロでの蓄積が逆にフィードバックされるはずだからだ。

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最後に、これ以外の点で興味深いところを箇条書きしておこう。

・レンズ(フォーサーズ)に関しては、今年はサプライズはなさそうである。とりあえずボディと、マイクロに注力するようである。

・フォーサーズにおけるコントラストAFへの対応(現行レンズの対応やリプレースの有無等)はオリとしてもマイクロをリリースする頃にははっきりさせねばと思っているようで、マイクロの発表される夏頃まで待ってくれと言うことだ。

・オリンパスも対抗上、フルサイズを、、と言う話ではオリンパスとしては画素数競争も含め、フォーサーズより大きいフォーマットを作る気はさらさら無い。画素数に関してフォーサーズの限界と言ったものがあるという意味でなく、オリンパス自身として、20MPをフォーサーズでやる気は無いと言った感じ(既出の渡辺部長の談話と同じ)

・むしろ、画素数以外のダイナミックレンジ等の画質向上を優先したいとのこと。

・また、上記のために新たな、画像処理エンジンと新型撮像素子!を開発中であるとのことだ。(オリは、今全ての撮像素子をパナソニックから得ているわけだが、この分野に関してオリ自身はどんなR&Dやあるいは撮像素子開発に関わっているのか?と言う問いに対して、「We're now developing a new sensor and new image processing engine, and improvements are always being done to get higher sensitivity or higher dynamic range.」との回答。センサー開発がパナと共同なのか、それとは別なのかは不明だ。)


何れにせよ、E-620と言う気合いのこもったボディが出てきたところでもあるし、これと同じ(もしくはそれ以上の)気合いで出てきそうなオリのマイクロ機を見たいものだ

by Hiro_Sakae | 2009-03-22 09:28 | E,Pen-system関係


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