2009年 05月 16日
【特許関係】E-3のぶれ補正機構再考
 各所で話題になっているが、価格コムでもE-3板でスレが立てられた日経のテックオンに掲載された電気通信大学 電気通信学部 情報通信工学科 准教授の西一樹氏の研究室と谷電機工業が開発した測定ツールで、一眼レフ・カメラが内蔵するミラーやシャッターの動作に起因する像のブレの記事。
 記事がログオンしないとみれないので、価格コムの板にリンクしておくが、
 要は、ぶれ補正無しで三脚に固定した一定条件のカメラでは一眼レフのミラーショックとシャッター動作による画像ぶれの影響が大きく、この前提では20MPあっても5MPになるといういささかショッキングな記事である。

 一方で、今月に入り明らかにE-3のものとおもわれる各種機構の肝がようやく公開されはじめている。リンクした板ではE-systemでは撮像素子が小さいためそもそもショックが小さい事に話題の中心がいっているが、オリのE-3型?手ぶれ補正機構自体もこれのぶれ軽減にかなりの貢献をしていると思う。今般E-3のぶれ補正機構と思われるものも公開されているのでその辺から妄想してみよう。




【公開番号】 特許公開2009-86544
【公開日】 平成21年4月23日(2009.4.23)
【発明の名称】 カメラ
【出願日】 平成19年10月2日(2007.10.2)

まずは、そもそもこのぶれ補正を検知するぶれ補正センサーユニット(以下ユニット)がどこにあるか見てみよう。公開されている断面図はこれだ。

c0036985_2073589.jpg

(上記特許による公開図面3を引用)
この図面でミラーボックス部の上に四角い箱のように見える部分が問題のユニット装着部である。

 ミラーショックだろうが、シャッター動作によるものだろうが、それでボディが微動するなら普通にそれを角速度センサで検知すれば良いんだからどうってことないんじゃないの?と思うのだが話はそうではないらしい。ボディ内の振動、特に大きいものは今回のテックオンにも取り上げられているシャッターとミラーアップダウンのショックによるものであるが、これらのショックが直接センサーに響いたり共振を引き起こすとそれはセンサーのノイズとなってボディのぶれの挙動を正確に検知出来なくなるわけである。

 撮像素子がボディと固定されている=もしボディが微動だにしていなければ撮像素子はぶれていない、もしくはボディの微動どおりに撮像素子はぶれているということであるから、このボディ自体のぶれを正確に補正するためには、ボディの動きとリンクしないボディ内ショックによる微動、共振にセンサーが反応してはまずいのである。これを省かないとこれらの共振自体がボディのぶれと誤認したり、場合によってはぶれを助長する可能性すらあるかもしれない。

 一方で、これらのノイズという挙動を押さえるには例えばスポンジのようなものでショックを和らげてしまえばよいが、これをやりすぎるとこれらの影響により本当にボディが微動してしまっている(つまりぶれている)事を検知する本来の機能が大幅に落ちてしまうようだ。つまりノイズ成分(主にミラー、シャッターショックによる共振)のみを遮断する一方で本来の微動部分のみをいかに拾うかが腕の見せ所になる。

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 詳細の技術に興味がある方は原典に当たって頂くとして、これをオリンパスは独特の二重パッケージとも言える手法で、このノイズ成分の影響を極限化すると共に、これらショック(及び共振する周波数)がモデル毎に違うのにフィットさせる為のモディファイがしやすいものを今回考案したということだ。

 実際にその効果(=いかにノイズに左右されずに安定作動するか)というところを公開図面から見てみよう。

c0036985_20225056.jpg

(上記特許による公開図面10から引用)

これは、ノイズ対策をしていない場合のものである。
まず、X,Yとなっているのはそれぞれの角速度センサの出力信号である。そして前半、Yの下、後半Xの上にあるS1,S2がそれぞれシャッター装置の出力信号ちなみに、S1がシャッター作動前S2が作動後である。ちなみに、横軸は時間であるため、Aはシャッター作動前にミラーアップ開始時、Bがシャッター動作の開始時、Cはシャッター動作開始時からの所定時間範囲を示している。

そして、このセンサーが拾う出力信号通りにカメラがぶれていれば(撮像素子もぶれている)もんだいないのだが、上記の出力信号の特にDと標記されている部分に注目して頂きたい。明らかに出力信号が異常値を示している。これは特許上ではノイズ信号とされている。

つまり、Dで典型的に標記されているがこのままでは、本来角速度センサが拾うべきものと、ノイズ成分がまざっていると思われる。次にこれに対策を売った後の図面を見てみよう。符号等は同じである。

c0036985_20531090.jpg

(上記特許の公開図面11から引用)

上記のような図面10の様な異常なぎざぎざやDの様な突出した不自然なノイズを排除した上で、日経テックオンの記事 で見られるシャッターとミラーの挙動から生じたと思われるぶれ補正の動きはきちんと角速度センサーがとらえて出力している様に見える。勿論オリの図面の条件はわからないし、オリの方がミラーとシャッターの合成波形であるので一概に言えないが、どちらがテックオンの波形(から想像する合成波形)に似ているかと言えばこのオリの技術を適用したセンサーの波形の方が類似していると言えるだろう。

角速度センサーがこのシャッター、ミラーぶれ等を捉えたとして実際のぶれ補正効果としてシャッターが開いている状態の時にきちんと作動しているかという部分の問題がある。実際にはこの特許はぶれ補正の駆動部分はその範囲ではないのでここでは言及されていないが末尾に、さらりと「なお、手振れ防止、即ち手振れ補正機能を備えたカメラは、当然のことながらシャッターが開状態で、その補正が行なわれなければならないから、本発明の効果が有用であることが、上述のデータから明らかとなっている。」と書かれている。

「ノイズ除去後のセンサー出力信号を得ている以上、その信号に基づいてぶれ補正出来てるにきまっているだろう」と言うところか?(笑)

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また、この特許と直接関係ないが断面図と、原典にある縦側透視図から察するにオリの角速度センサーはペンタプリズムを避けつつ、極力撮像素子に近く且つ、三脚穴の直上部付近に配置されていることがわかるだろう。三脚穴よりも前後左右どちらかでもずれると、三脚のぐらつきによるぶれ(天秤のようなぶれ)を拾う可能性がある。

これは例えばレンズの先に角速度センサーがあるのを考えるとよくわかる。カメラの三脚座がぐらぐらでカメラが下に下がったとする。手持ちでカメラが下にぶれるとレンズも下に傾くなりずれる。しかし三脚座の場合はカメラが下にぶれると天秤効果でレンズは上に向く。従ってこれを下手にセンサーが拾うと逆に作用する可能性がある。対策としてはぶれ補正を切るか、もしくはぶれ補正に明示的に今三脚を使っていると知らせるモードが無いとまずい。

オリのぶれ補正機構はマニュアル上は三脚使用時は切れとある。但し、切らないと効果がないわけではなく電機使用が勿体ないと言うことだ。

ここからは私の推論だが、
上記の三脚座の中心に限りなく近いと言うことはオリの角速度センサーは三脚の固定がゆるいためにおこるぐらぐら、天秤ぶれの影響は良くも悪くも受けない。悪くもと書いたのはこの天秤揺れの補正には効かない可能性がある。

しかし、今回テックオンが提起したような三脚に固定しても尚微動があるというなら固定してもISをONしておくというのもありかもしれない。電池のへりが多少早くなろうともだ(笑)尤も、フォーサーズの場合はそもそもこの記事が心配しているような20MP機は作らないと言うことだし、そもそもミラーも、シャッターもフルサイズに比較すればちびっこなのであまり気にしなくて良いのかもしれないが、、(笑)

何れにせよ、強力5段補正且つ、手ぶれ補正は絶対にボディ側が有利というのはオリンパスがE-3でもこだわって作り込んだ部分であるから、これがこういうぶれにも効くのであればありがたいことだ。
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by hiro_Sakae | 2009-05-16 21:22 | オリ特許関係


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