2009年 05月 31日
杞憂とは思うが、撮像素子に絡んで書いておきたいこと
  以前から、ちょこちょこDSLRの勢力図?的な妄想を書く時に書いているのがカメラメーカーのシェアだけでなく撮像素子メーカーとの結びつきを考慮した方がわかりやすいと言うことだ。今回書いた特許の話にも関わるが私が2,3年スパンで見た場合に気になるのは撮像素子の事だ。マイクロが立ち上がってきた時に書こうと思ってそのままになっていたので今回書いてみることにする。




  現在のDSLRの主要プレーヤーを撮像素子供給メーカーで色分けすると以下の通りだ。
「自社生産組」
キヤノン
ソニー
パナソニック
「他社から購入組」
ニコン←ソニー
オリンパス←パナソニック
ペンタックス←サムスン
と言ったところだ。この他社から購入組の内少なくともニコンとオリンパスは撮像素子の研究開発部門は有している。オリンパスは特にデジカメ以外の医療用等のカスタムイメージャーに関しては知財報告書などでも必ず項目として上がっており、特許などでも結構な数が常時上がっている。ニコンも同様で、D3.D700用の撮像素子で久しぶりに非ソニーの自社製(生産はルネサステクノロジー)撮像素子を搭載することに成功した。

私は、ニコンが一部とは言えソニーに頼らずとも撮像素子が作れるというのを示したことに大きな意味を感じている。勿論実際のビジネスとなればコストの問題等で全て自社生産することが良いとは思えないが、少なくとも「やろうと思えばソニーなしでも作れる」というのと「やりたくてもソニーに頼らないと作れない」では天と地ほどの差があると思うからである。

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2001年当時までオリンパスは、当時デジカメのシェアトップを走っていたのをある事件をきっかけにつまづきトップの座を譲り渡し赤字へ突き進んだのを覚えているだろうか?オリンパスにとっては苦い事件であろう。当時の様子を示した記事は色々あるが、例えばこの日経のものもそうだろう

その前年までは、オリンパスはシェアトップのデジカメメーカーとしていわばソニーのお得意さんであった。またオリンパスとしても当時サイバーショットでデジカメに進出しシェアを拡大中であったソニーにカメラ技術やそのコンポーネントを供給するという持ちつ持たれつの関係でお互いに良い商売をしていた。

ところが、ソニーがサイバーショットのシェアが大躍進しトップのオリンパスに肉迫した時に態度を一変する。あろうことかオリンパスに対してCCDの供給を絞ったのである。結局、ソニーはこれでオリンパスと並ぶデジカメシェアのトップを取り、以降オリンパスは新たな供給元の確保を求めて苦労するという話だ。

さて、オリンパスとパナソニックの関係はどうだろうか?

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2001年のオリンパスとソニーの関係、すなわちお互いの足りないところを持ちつ持たれつで共存共栄していた関係が、ソニー側が力を増し、カメラメーカーとしてもオリンパスを追い抜こうとする時に手のひらを返されたと言う事実。これをパナソニックに置き換えたら、、、と言うのはあまり考えたくない事ではある。

ただ、パナソニックとの提携後もKodakとの撮像素子供給の関係は残っていて事はE-330の発表後に出されたE-400で新型のコダックのKAIセンサーが出たことからもうかがい知れるし、去年のPMAでの寺田氏での発言でもないが、パナソニック以外の選択肢を捨てていないと言う発言や噂は絶えない。また、Nikonと同様にオリンパス自身も撮像素子の自社開発は行っており、この苦い経験を忘れていなければオリンパス自身が「いざとなれば自社(委託)生産」というカードを自ら捨てると言うことは考えにくいと思うからだ。

以下、私が勝手に妄想することは以下の通りだ。

1.当時とは格段に担保されている関係

両社に横たわる、提携契約とそれと絡むフォーサーズの関係である。ここでマイクロ登場時に記事に書いたが、マイクロのマウント径やフランジバック長はフォーサーズ規格より小型になっているもののそれらの長さや比率に関する関係に置いてはフォーサーズ規格の基と思われるオリンパス特許の規定内の1バリエーションの域を出ていない。すなわちマイクロの寸法的な規定はオリンパス特許の枠内に入っている。

また、マイクロは両社の共同企画と言うことになっているがマイクロフォーサーズの名称やロゴの商標登録はオリンパス単独で登録されている。また、Live-Viewに当たっての熱対策や撮像素子の実装等カメラに対する特許はフォーサーズ時代にオリがその殆どを特許登録している。(ダストリダクションなどは言うに及ばずであるが、、)

パナの単独でとなると、細かなものをのぞけばLive-MOSの撮像素子そのものに関するもの。E-330当時は共同開発とされていたが、その後この共同がはずれていることにもあるとおり、改良の過程の中で恐らく現行Live-MOSは100%パナのものであろう。また、マイクロで言えば、マイクロ導入時に増設された2Pinを付加した部分はパナの単独特許になっている。

従って、極めて楽観的且つノーマルに考えれば両社がフォーサーズ(マイクロフォーサーズを含む)規格の範囲内で商品を作っている間はオリンパスがパナソニックからの撮像素子の供給に支障を来すと言うことは考えにくい。実際、今も支障なく供給を受けている。

2.一方で微妙に感じる変化

新型Live-MOSの搭載順序である。当初の7.5MP版は先ずオリのE-330に搭載され次にパナのL1へ。次の初代10MP版はE-410、510と搭載された後にパナのL10、E-3に搭載されている。ただ、この時もE-510までに搭載された10MP版にL10,E-3のものは改良が施されている。E-3のものはスペシャルであったので、L10と同等品がオリの3桁機に搭載されたのはE-420以降である。尤も大まかに言えば先ずオリのボディに先行もしくは同時に新型Live-MOSが搭載されるという手順を踏んでいる。当時の販売台数の差からみても順当なものだろう。

一方で、マイクロ発表後はこれが逆転する。すなわち、Live-MOS12MP版はまずパナのG1に搭載された後に、オリのE-30に搭載される。またこれのマルチフォーマット版である新12MP版を早々とGH1に搭載する一方でE-620はE-30と同じ旧12MP版のままである。特に当初のLive-MOS12MP版はG1とE-30の発売時期によるものかなと言う気もするが、GH1とE-620においては本当に搭載したくても撮像素子が間に合わなかったのかは微妙な気がしないでもない。特にこのGH1の撮像素子がネット等の記事を見る限り単にマルチフォーマット対応になっただけでなくISO感度の改善もJpegでは1EV近くも改善されているような記事もあるので多少複雑な思いではある。

機種リリーススケジュールから言っても恐らくオリのマイクロ機は順当に行けばGH1相当の新12MP版の一方で、フォーサーズは確実にE-620タイプが新機種に変わるのは早くて来春であろう。次期E-3が秋に本当に出るかどうかは噂の域を全く出ない。一方でG1の秋冬でのリプレースというのはありうると思うので最悪今年の年末は
マイクロは、オリ、パナ全機種新12MPの新型Live-MOS
フォーサーズは、E-30,E-620が12MPの旧型Live-MOS、E-3他その前の10MP版
と言うことで微妙に差が付きそうな感じである。オリとパナのリリース時期が揃っていれば問題ない話で、たまたまリリース時期の加減だけでパナに他意はないと言ってしまえばそうであるが、それならもう少し両社で調整が効かなかったのか?例えばE-620のリリースをほんの少し後ろにずらしてGH1と揃え新型12MPを入れることなどは可能だったはずである。
何れにせよ、従来はオリンパスのリリース時期に合わせて出ていた新型撮像素子が今後はパナソニックのそれにフィットする形になりそうな雰囲気がある。まあ普及型はオリマイクロとかぶるところもあるので構わないが、E-systemのフラッグシップ機までこのパナさんのご都合に合わせざるを得ないとなるとちょっと困ったなと言う感じである。先ほどのNikonもフラグシップ機(D3)だけは自社で生産して自社のスケジュールで通したというところは大いに理解出来るところだ。

3.気にしておきたいことの最後は契約の問題

これは、外野からはわからない。ただ、ここで触れた事もある2005年秋の中間決算リリース時の公開録音資料(オリのHPにもアップされているはずである)で当時のイメージングの社長の発言では、E-systemの新型開発に触れ、社名は明かさなかったものの「ある会社と3年間の独占供給契約を締結した」との発言があった。その後E-330でLive-MOSが登場した事からもこれがパナソニックであることは間違いないだろう。

中間決算発表自体は11月であるからその頃か少し前に締結したとしても3年後と言えば、2008年の夏~秋にその更新期限が来ている。現在もパナからLive-MOSの供給は受けているので順当に考えればまた3年後まで契約が更新されたと考えられる。となると、2011年の夏か秋。後2年後にまた更新期限が来る。ぎりぎりになって条件を詰めるという話でもないだろうから、実際にこの次をどうするのだというのは来年当たりからオリとしても考えるのかもしれない。考えるにしても材料がなければ考えられないだろうしその辺は興味のあるところだ。

そして、妄想ついでに書くとすれば両社は入念な準備を進めていたとしてもいささか唐突感があったマイクロの発表。時期的にも8月というのは今までオリのカメラ関係であのような大きなものは無かったように記憶するので尚更その感があった。その後のマイクロに対するオリとパナのスピード感の違いや、フォーサーズに対するスタンスの違い、契約更新期限と微妙に時期が重なる点を考慮すると、勘ぐってみればこのマイクロの立ち上げも撮像素子契約更新と何か関連があるナマいものがあるのかなとも思ってみたりするのである。

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何れにせよ、先ほどのNikonとソニーの関係で仮にNikonのシェアが落ちソニーが台頭してきた時どうなるのか?あるいはサムスンから供給を受けながらサムスンの新EVF機には参入しないPentaxは額面通り参入しないのか、サムスンがさせないのか?

今まで、特にDSLR市場はそんな固いことを言わなくても市場自体が伸びていた。せこいことを言わなくてもDSLR全体としては台数が伸びていた。撮像素子メーカーとしては自社他社こだわらず搭載出来るボディに搭載してもらって少しでも売れた方が良かったはずである。しかし、市場自体が伸び悩み、利益率もよりシビアになり、撮像素子メーカー自体が自社ボディを持っていて数年前よりは存在感は増している。

はっきり言えることは、コンデジの世界シェアで見れば既に上位は日本のソニー、キヤノン、パナソニック、韓国のサムスンが押さえており、この次の5位争いをオリ、Kodak、ニコンでやっている現状である。そう言う意味では、非撮像素子メーカーでありながら上位に次ぎ、DSLRも作っているオリンパス、ニコンは立派だとも言えるが(笑)、ニコンが自社開発センサーを投入した以上、オリもやはりE-systemには必要ではないかと思う。まさか、独占供給の見返りに、パナ以外の撮像素子は使わないなどと言う制限がついていないとは思うが、、
新型撮像素子あるいは、フラグシップ機ぐらいは自社開発センサーを持つというのはビジネス防衛上も必要なのでは無いかと思うのだ。ここの動静は引き続きここでも注目したいところである。
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by Hiro_Sakae | 2009-05-31 21:51 | オリ以外フォーサーズネタ


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