2009年 08月 09日
オリ以外にも、各社アプローチはあるものの位相差AF,コントラストAFの改善でなく、位相差AFとコントラストAFを組み合わせたハイブリッドAFを何とか出来ないかという動きはある。 マイクロタイプの場合は、そもそも位相差AFは搭載していないためハイブリッドAF化は困難だ。オリンパスは、マイクロタイプでの解決としては、撮像素子上で位相差AFを行うと同時にコントラスト検出用の画像も同時取得する仕組みも特許公開しているが、これと似たようなアプローチはニコンさん他いくつかのメーカーにもある。このアプローチでは、撮像素子から抜本的に手を入れないといけないところもあり各社(素人目に見ても)アイデア段階の様な感じである。 マイクロタイプ、もしくは他社(あるいは従来のオリンパス)のDSLRでこのハイブリッドAFを行おうとすれば上記のどうしても撮像素子から作り直すという袋小路に陥る。なぜなら、基本的に、、 ・マイクロタイプでは、そもそも位相差AFセンサーに分光する仕組(ミラー構造)がおけない。 ・一方DSLRタイプでは、折角分光してもその一つを「光学ファインダー用」に使わないといけない。 と言う制約があり、単純に現行の仕組みを流用するというのが難しいからだ。 これに限らず、オリンパスのアプローチは簡単で言ってみれば、「レフ構造を活かした光学ファイダーレス機でやればいいじゃん」と言うものだ。 公開番号】 特許公開2009-175279 【公開日】 平成21年8月6日(2009.8.6) 【発明の名称】 カメラシステム 従来は、なかなかギミックな提唱であったが、今回のものも最近のものと同様に撮像素子と、位相差AFセンサーの分光はペリクルミラーで行う。今回は実際の撮像時の動作は言及されていない。過去のその部分の特許であれば、撮像時にはこのミラー部分をアップさせるものが提唱されている。) 詳細は、原典を読んでいくとして 簡単に言えば、ライブビュー時に位相差AFセンサーと、コントラストAFを半ばリアルタイムに行う。位相差AFセンサーでずばっと寄りつつ、コントラストAFを作動させ、最後の詰めが必要な場合はコントラストAFで詰めるという形だ。 ここだけであれば、仕組みは先行特許もありただ似たような仕組みを高速化させただけであるが、今回の特許の特徴的なものは、このコントラストAFとの組み合わせで位相差AFのキャリブレーション(微調整)機能を半ばオートで行おうというものだ。 特許記載によれば、位相差AFは高速性に優れているもののコントラストAFの様に直接像面でAFするわけではないので、落下させたり、不良、あるいは温度変化等で誤差が生じる場合がある。 例えば、上記の例で言えば本来は位相差AFが完璧であれば、コントラストAFで測定したジャスピンのポイントと同一になるはずであり、この手のハイブリッドAFの際に当たり前のように語られる位相差AFで寄って、「コントラストAFで詰める」というのは不要なはずである。 従って、もし位相差AFでジャスピンと想定される点に飛んでいって、コントラストAFで位相差AFのポイントの速距に「誤差」が生じた場合は、その場でコントラストAFで最終の詰めを行うだけでなく、位相差AFの補正値自体を修正すると言う仕組みを組み込んでいることだ。 AF微調整機能を、位相差AF情報と、コントラストAF情報を使って常時おこなうような形である。 従って、位相差AFの弱点を補うためにコントラストAFを併用するとも言えよう。 --------------------- これをリアルタイムにやるとなれば、上記の様にフォーサーズタイプでEVF機で行うのがベストであるが、特許上ではこのファインダータイプは必ずしも制限しておらず、またこのキャリブレーション機能を明示的に行うやりかたも想定している。 これであれば、三脚にE-3?を立ててパタパタAFの逆で任意の点でライブビュー状態で位相差AFをした後コントラストAFを作動させ、位相差AFのキャリブレーションを行うことは可能である。例えば寒冷地に行った場合にその状況でこのキャリブレーションが簡易に行えれば、従来にない、AFの精度と安心感?が得られると言うところだろう。 これを、現行のフォーサーズでの1機能の付加として付けるか、あるいはここに書いたようにEVF機まで発展させてしまうかは、商品の作り方次第であるし、用途グレードにより、その双方を用意すると言うのもありだからだ。 ------------------- さて、小型軽量の観点からマイクロがレフ構造を捨て、それを突き進めたことにより「レフ構造=無駄にボディを厚くするもの=レガシーな遺物」的にとらえてしまうのは危険であると思う。 例え、今までの発展が「TTLで光学ファインダーを使う」という目的のためであったとせよ、ここまで(オリに限らず)日本のカメラメーカーがしのぎを削って磨き上げた構造、技術を捨て去るのは勿体ない。これを応用して、更に「この技術無しでは達成出来ないあらたなもの」を積み重ねていく方が前向きでよい。またそうすることにより、今まで築き上げたアドバンテージも活きるというものであろう。 更に、オリの良いところはそういうものを持ちつつ、パナとマイクロという新しいアプローチも手に入れたと言うことだろう。例えば、「レフ構造を活かしたEVF機」と言っても、DSLRのために高精細EVFを開発するというのは荷が重いかもしれないが、フォーサーズの場合は、いける!となればマイクロ用のEVFを流用すれば事足りる話であるからである。(コントラストAFへのアプローチもそうであろう) 何れにせよ、DSLRのフォーサーズ、そしてレフレスのマイクロをそれぞれ相互補完しながら開発を進めていく中で、フォーサーズがデジタル専用システムというなら、従来のDSLRのみのシステムでもなく、あるいはレフレスのみのシステムでもない、ハイブリッドな第三のシステムとも言える高みに挑戦していって欲しいものだ。
by Hiro_Sakae
| 2009-08-09 11:24
| オリ特許関係
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