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2005年 11月 20日
そして、E-systemのブレ補正の特許が10日に公開された
秋になっての、公開特許の中でもう一つ注目すべきはやはりこの手ぶれ補正だろう。これに関しては、11月10日に【特許公開2005-316309】撮影装置及びデジタルカメラ、【特許公開2005-316294】撮影装置及び一眼レフカメラ、というものが公開されている。その中身はと言うと非常に興味深い事がいくつかわかった。前から探していたのだが、ようやく出た感じだ。またいつものように表題にもぶれの字はなく、手ぶれ補正でなく像補正という用語を使っていたために、手ぶれ補正でヒット出来なかった。(苦笑)




「撮影装置及び一眼レフカメラ」の方は、「本発明は、撮像系及び光学系の何れも補正可能で一眼レフカメラに好適な撮影装置及び一眼レフカメラを提供すること」で、

「撮影装置及びデジタルカメラ」の方は、「本発明は、タイムラグが小さく、振れ補正系の各方向への移動領域が確保された撮影装置及びデジタルカメラを提供することである。」となっている。

最初に断っておくが、どちらの特許も補正自体のメカニズムの特許では無い。そういう補正システムを実装する際の特許である。また、名前は違うが何れも請求項に於いてデジタル一眼レフを想定したものになっている。

では、何が特許なのかというと
一眼レフでの手ぶれ補正を考えた場合に、撮像素子にあたる光を補正するのに加えて、その補正されている状態と同じ光を光学ファインダーに導かないと使いでが悪い。
特にボディ側(撮像素子を移動させて補正)補正の場合、ここのメカニズムが無いと例えば、撮影した画像がブレ補正がどの程度聞いているのか光学ファインダー上では正確に確認出来ないことになる。上がった画像をみないとわからない状態になる。そこで光学ファインダーにも補正メカニズムを組み込み、この撮像素子系の補正メカニズムと連動させるわけであるが、この両メカニズムに共通の光学系を用い連動させる一方で、これらはまた独自にも動くと言う形にしてある。

さて、一眼レフで撮像素子側で補正をする場合、光学ファインダー自体もブレ補正量に連動した補正を行わないと補正メカニズムとして完成をしないのはわかった。では他社はどうなのか?
実は、当然今唯一のボディ補正DSLRを作っているコニミノが取得している。しかしこの特許では肝心の手ぶれ補正量に追随する光学ファインダー系の補正メカニズム部分が何も言及されていない。(コニミノは確か、ファインダー上では見えているのは補正前で、インディケーターで聞き具合を示す形なっている。オリはインディケーターは当然としても撮っている瞬間にファインダー画像でも視認出来る)

また、もう一つ対抗特許としてはニコンが取得している。これは光学ファインダー系と、撮像系のメカニズム等を独立して駆動すると言う部分だ。「おいおい、ちょっと待てよ。ニコンはボディでなくてレンズ駆動だろう」と思われた方、ちょっと待って欲しい。確かにオリのように特殊なレンズメカニズムで光学ファインダーをいじるわけではないが、レンズ補正量を決めるために、光学ファインダーから(乱暴に言えば)分光させAFと同様にこの量を検知し、演算するCPUに情報を送るというメカニズムはある。

ニコンが考えたのは、このレンズ駆動はかなり電気を食うシステムのようで結局、このファインダーでのぞいて居る状態の時はファインダー系のシステムが動き、露光中はこのシステムは作動しないように等、省電力化のために、像補正系駆動とファインダー系を独立させているものだ。(他にも、レンズ駆動系の場合はレンズ側の特許で極力このレンズ補正の作動量を小さくする等様々な工夫がされている。)また、厳密に言うと実際にミラーアップし、露光中は撮像素子側にもブレ補正検知する仕組み(→これをレンズに伝えてレンズが動く。でないと露光中の動きに追随出来ないからだ。)
要約すると、二つの光路(ファインダーへ、と撮像素子)の双方にブレ補正検知メカニズムを置くが、ファインダーでのぞいている時は、撮像素子側、ミラーアップしている時(露光時)はファインダー側を停止させて省電化を図るというものだ。

オリンパスは、「これじゃ、確かに検知する方は省電化かもしれないが、結局どっちで検知しようとレンズの駆動部分は駆動しっぱなしじゃないか」というところである。
オリンパスのは、極端に言えばミラーから分岐した
A.ファインダー光路の中にブレ補正検知+レンズ駆動補正メカ
B.撮像素子側にもブレ補正検知+素子移動補正メカ
と言うダブル構造になっている。

これにより、
省電化においては、
ミラーダウン時、アップ時それぞれどちらかが動けばよいし、ファインダー内のミニレンズ補正はうんと小さくて電気を食う量が少ない。
そして、こうしないと光学ファインダーを使わず、撮像素子側のみを使うような状況においてはいちいち補正のためにレンズ駆動をするのは勿体ないと言う趣旨のことが書いてある。これは正に、EVFのみの使用、常時ミラーアップを意識したものである。この点を先行のニコンは手落ちと言うよりもそもそも光学とEVFの両刀遣いのDSLRを想定していなかったというべきであろう。
そして、二つのシステムを組みながら(詳細は省くが)光路とメカニズムの一部を共用し同時使用の場合も両システム間で競合したり、ずれが生じることのない様に出来ると言うのが今回のオリ特許である。

また、このシステムであれば、
両方の検知システムのみを使えば、レンズ駆動の交換レンズにも対応出来るし(駆動システムをオフにする)、従来型のレンズであればボディ駆動で行う。しかもレンズ駆動のようにファインダーで見る光学像も補正後のものが視認出来る形だ。おまけに、これらのシステムが独立でオンオフ可能であるので省電力化にも対応出来るし、EVF,光学ファインダーの使い分けどちらでもブレ補正が使える仕組みである。

後者の特許は、
この光学ファインダー系の補正駆動システムと、ボディ撮像素子側の駆動補正システムの追随性の向上並びに(ここが肝心であるが)実際に実装する際(限られたスペースに格納する)の工夫が特許化されていると言う次第だ。

図面で見ると、今回の肝ととなる光学光路上の駆動システムの大きさが図示かされ、それがCCDやミラーの大きさから明らかにフォーサーズと思われる一眼レフの筐体の断面図に収まっているのを見ると、期待が高まる。先のEVF両刀遣いの為のメカと会わせて、今まで小さいCCDにも関わらず、35ミリフルサイズと変わらない大きなハウジング等馬鹿にされることが多かったが、こうして様々な機能が盛り込まれるのかと思うとあれぐらいが適正だったのかもしれないと思う。

by Hiro_Sakae | 2005-11-20 08:31 | オリ特許関係


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