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2006年 05月 20日
地味であるが、興味深いフォーサーズ関連の特許の公開
「デシタルカメラシステムおよび交換レンズ」という特許が最近公開された。これからの技術と言うよりも実施例から見て既にE-1当時から考慮されて現行のE-330等でも活用されているものであるが、個人的には興味を感じた。



【公開番号】 特許公開2006-128943 【公開日】 平成18年5月18日(2006.5.18)
【発明の名称】 デシタルカメラシステムおよび交換レンズ

となっている。正直言って詳細に関しては文系おじさんの私の理解を超えている部分があり(笑)大まかな概略は以下の通りである。

1.同じフォーマットで撮像素子のピッチ等が変わると、それに応じてローパスフィルターの厚み等がそれぞれのピッチに最適化されたものに再設計される。

2.そうすると、例えばAと言うカメラのピッチ数に最適化されたこれら撮像素子周りのフィルター等の光学系とこれと組み合わさることによって最適化されている交換レンズ群を、Aとはピッチ数も違う(=同素子に最適化された)撮像素子周りの光学系に付けるとすると、厳密な意味では条件が変わってしまう。

3.それで、現行の実施例ではこの基準となるカメラAの値と同じような光学特性になるようになっている。

4.過去の他社のものによれば、あるものは例えば光学ローパスフィルターを薄いものにする等あるが、これでは厳密な意味での厚さの違いによる補償が無いほか、同じ材質のガラスを使わないとそれ以外の規定がないところを、これらの数値を厳密に決めることにより互換性を確保するようである。

そして、興味深いのは

1.当初はこの撮像素子のピッチ数による撮像素子周りの光学系の変化を吸収するために考えられたものであったが、これを一歩進めて、ローパスフィルターや赤外線フィルター、防塵グラス等の有無等の変化にも対応が可能である(=これらのカメラボディによる違いも考慮され交換レンズの性能が確保されること)

2.そして、これを有効にするためにはボディ側の規格、基準値もさることながら、レンズ側にも(例えば主光線の入射角の許容範囲等)一定の精度、性能を要求(=いわゆるフォーサーズ規格でレンズ側に求められている性能)されること。

3.また、将来のピッチ数増大(限界値は明示されていないが)を充分に吸収可能な様に当初のレンズ設計時のボディ側数値の標準値(明らかにE-1の撮像素子を想定)策定の際にこれらを考慮した値として設定されていること。

等が窺えることだ。

要約すると、今後の撮像素子の変更、ピッチ数の増大、もしくは各社各機種の撮像素子周りの光路系の違いがあっても、フォーサーズ規格のレンズであれば性能が担保されていること及び、当初基準値の策定において将来のピッチ数増大(=高画素化)による、これらの変更も充分考慮されたものになっているということだ。地味なものであるが、実施例としてはE-1とE-330と思われるものが上がっている。

更にこのE-330と思われるピッチ数の撮像素子であるが、この特許の出願が2004年秋の時期であるにもかかわらず、はっきりと「MOS型素子」と書いてあることだ。松下との共同開発が発表されたのが、2005年1月で、巷間アプローチが始まったのが2004年秋と伝えられている。ただ、この時期に既に出願までこぎつけていることを見ると、やはりオリンパスはオリンパスでMOS型素子を研究していたのかもしれない。

何れにせよ、解像度等のレンズの能力だけでなく、今後出てくるかも知れないより高画素の撮像素子や、各社でバリエーションが出てきてもそのことによりZDレンズのパフォーマンスが落ちる、レンズ負けすると言った部分が無いように細かいところまで互換性の配慮をしてくれているようである。

by Hiro_Sakae | 2006-05-20 11:36 | オリ特許関係


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