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2006年 10月 02日
【特許】撮像素子が小さいからと言ってあきらめなくて良いと言う特許
  結局、フォーサーズは撮像素子の大きさが縦横フルサイズの半分であり、ペンタプリズムでの拡大率は限界があるのだから、いつまで経ってもフルサイズのような大きくて明るくて見やすいファインダーは無理だとよく言われる。かくいう私もそう考えていた。しかし、これはあくまで「従来のペンタプリズム方式であれば」と言う制限付きであるようだ。実際、私もこれのフルサイズ並みの改善はEVFまで無理かと思っていた。
  この特許はこれに一つの回答を示した。それも純粋に、光学的にである、、、




【公開番号】 特許公開2006-259478
【公開日】 平成18年9月28日(2006.9.28)
【発明の名称】 リレー式ファインダー光学系及び一眼レフカメラ

ちなみに、出願は平成17年3月で、この特許の前後に数本関連の特許が並ぶ。実際にはこれ以外のプリズムをミラーにしたもの、配置を換えたもの等例によってあれこれと書き連ねてある形だ。

で、最初私は光学の門外漢のためこの内容がよくわからなかった。まずリレー光学系とは何だということで、あれこれネットを見ていたら、ここの説明がわかりやすかった。(一読されたい)

で、簡単に説明すると、

今までのペンタ型では、ミラーを反射したところにスクリーン(一眼レフのレンズをとってのぞくと見えたり交換するあれである)あそこに像が結ばれる訳だ。
もし、ミラーで100%反射されてこのスクリーンに像が作られているとすると、撮像素子と同じ像がここに出来上がっている。で、これをファインダーをのぞいて見ているわけである。(従って、この段階で、フルサイズ比1/4小さい像である)

ここで出来た像は実際にはペンタプリズムでカクカクオリ曲がって最終的にファインダーからのぞいているわけであるから、これはもし直線で伸ばすとすると見ようとする画像のサイズ(→フルサイズでも24×36ミリ)に比してかなり遠くの方から見ている形になる。

そして、ファインダー部の接眼レンズを通して像を見ようと思えば、手っ取り早く一番大きく見えるのは上記のように遠くにあるのではなく、近くにこの像があれば問題ない。解決してしまうと言うようだ。

さて、上に引用したリレー光学の説明例は顕微鏡のものである。すなわち顕微鏡の対物レンズを思い出して欲しいのだが、顕微鏡で見ようと思うと対物レンズの近くに対象物が無いと見れない。で、遠く離れた微少物体を見る時には、この対物レンズの焦点が合うところにあたかもモノがあるかのように像を作る→ここの光学系をリレー光学系と言って、長焦点顕微鏡等で使われるようである。ちなみに、オリンパス、リレー光学で検索するとカメラはさっぱりだが、顕微鏡ではたくさんヒットする。

で、話を戻して合体してみよう(笑)

すなわち、通常のスクリーン上の像を、プリズム等でファインダーへ導く部分が上記のリレー光学系になっていて、接眼レンズの直前にまた結像する仕組みなっている。そしてこの像を接眼レンズを通して(しかるべき倍率がかかって)みるのである。
乱暴に言えば、同じ距離に離れているフルサイズと、フォーサーズの像を見れば当然小さい。これに倍率をかけても限界がある。だったら、何も小さい像を同じ距離を離れたところから見るから小さいんであって、手前に持って来ちゃえば言いじゃんという発想だろう。(何となく、極端に言えば、穴からのぞいて、フルサイズと同じ大きさに見えるところまで手前に持ってくればいいじゃんと言う発想か)
像自体をもってくるわけにはいかないので、「なら、顕微鏡の時と同じリレー光学系」を使って手前にもってきちゃいましょうと言う形だ。

書くと、簡単なように見えるがまず、このリレー光学系をコンパクトにプリズムを使ってDSLRの従来のペンタ部に押し込むのが難しいようだ。後はそのための反射面の精度出しだが、これはある数式に基づいた内部に反射面を持った一体プリズム(張り合わせだろうか)を作ることで精度を確保するほか、(難しいことはよくわからないが)オリの言う通り作ると(苦笑)収差図が公開されていて、ファインダーとして従来のものと遜色ない収差が無く明るいファインダーのようである。

「像が小さければ手前にもってこいや」と言われてみればコロンブスの卵だが、これを解決するには相当の技術と、ダストリダクション同様カメラ以外に顕微鏡、内視鏡と要は物は違うが、結局「レンズを通して像を作って見る」というオプトデジタルに特化しているオリならではの解決方法かもしれない。

今回の次期E-1に間に合ったのかどうかは不明。でも何となく、よく見ると異常に大きいペンタ部には何か、秘密があるのかもしれない。少なくともまだ先かもしれないが、フォーサーズだからと光学ファインダーの見えの改善をあきらめるのは早いかもしれない。

by hiro_sakae | 2006-10-02 23:51 | オリ特許関係


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