2007年 09月 17日
今回E-3は、オリ自身が認めている様にAPSのハイエンド機がライバルだ。AF一眼レフ時代の蓄積もない新フォーマットで、面積の大きいAPSのハイエンドに4年でようやく(勝ち負け相半ばするものの)比較対象する域まで達したと言うところか? 再三、ここで言っている様に今後少なくともキヤノン、ニコン、(恐らくソニー)もフラグシップ機のフォーマットはフルサイズ対応となり中型機以上はフルサイズでシェア争いがされる時代が早晩来るだろう。そしてその時APSはどうなるのか? 中型機以上の市場は、ソニーのアルファのプレゼン時の資料だと去年が25パーセント程度。今後ここは裾野の広がりと共に増加する。現状はこの大部分をAPSの中型機以上が占めているが、仮にこの半分がフルサイズに置き換われば12~15%を占める可能性がある。 となると、容易に想定されるのは各社このフルサイズのカテゴリーに相応の開発リソースを割かないといけなくなってくるだろう。キヤノンとてそれは同じ事だ。そしてこのフラグシップ機の開発の成果をどれだけAPSに使い回しが出来るかというのが今までと違って難しい点だ。 例えば、画像エンジンや電源周り等フォーマットに関係なく使い回しの効くものは良いが、フルサイズ特有の周辺減光問題解決のためのセンサーの改良や、レンズ側のフルサイズの為の改良技術、開発などはAPSでは不要か投入する意味があまりないものも出てくるかもしれない。とは言え、自社のフラッグシップ機のフォーマットでありシェア争いにも影響が出る様な市場規模となってくれば、これをおろそかにすることは出来ない。 勿論、APS機がおろそかになると言う訳では無かろうが、フラグシップ機に投入された技術の中にはAPSではあまり関係のないものも出てくる可能性もあるほか、カテゴリーで「中型機以下」と括られると、それ相応のカテゴリーを予想した商品作りになるのではないかと言うことだ。キヤノンのEOS1Dは厳密に言えばフルサイズではないが、レンズがフルサイズ用になるという意味ではフルサイズ市場に入れるべきだろう。何れにせよAPS-Cとは別物である。ニコンはD300をDXのフラッグシップ機と位置づけているが、あのまま続くかどうかは興味の沸くところではある。DpreviewではニコンもD3の上と下にフルサイズを追加投入する噂もある。フルサイズの下がD300の数万円上まで下りてきて、方やフラグシップ機の技術が今後もストレートに還元されるとなれば、そもそもAPS-Cのフラグシップという位置づけ自体が上にフルサイズがある中で継続的に成り立つのか。 ------------------- 普及型でDSLRの世界に入り中型からアドバンスドへと機材をステップアップする場合、中型以上の受け皿としてAPS-Cがリリースされるか?カテゴリーに沿えば中型の中止まりにメーカー側が作り込む可能性もあり得ると思う。キヤノンの40Dの設定にはその萌芽が見える気がする。振り返ればこの2007年~2008年のAPS-C機のハイエンドがDSLR界の中でAPS-Cの(シェアでなく、クオリティでの)存在感を示すピークになる様な気がする。 例えば、ここに各社のAPS-Cのフォーマットサイズ表がある。ご存じの様にフルサイズやフォーサーズと違い、APS-Cは微妙に各社のサイズが異なるのである。実際は以下の通りである。 「カテゴリー1」 ニコンD300 23.6×15.8mm(D200 同左)372.88 キヤノン40D 22.2×14.8mm(20D 22.5×15.0mm)328.56 ソニーα700 23.5x15.6mm(α100 23.6x15.8mm)366.6 「カテゴリー2」 ペンックスK10D 23.5×15.7mm(旧型対象無し)368.95 シグマSD14 20.7×13.8mm(SD10 同左)285.66 富士FinePixS5pro 23.5×15.7mm(S3pro 23.0mm×15.5mm)368.95 (為参考フォーサーズ 17.3×13.0mm 224.9) 各社の現行の中型機、かっこ内は旧型機のそれぞれフォーマットサイズ。そしてカッコの後ろは現行サイズで出したセンサーの面積である。(単位平方ミリ)なお、カテゴリー1はフルサイズ参入(含む予定)メーカー、カテゴリー2は今のところ予定が見込まれないメーカーである。 ここで注目して欲しいのは現行のサイズの大小でなく、旧型比フォーマットサイズが大きくなっているか小さくなっているかである。いみじくも、フルサイズ参入予定企業はDXフォーマットでサイズを規定しているニコンが同寸法であるものの、他二社はフォーマットが小さくなっている。逆に参入が予定されていない企業は2社が同寸法で、富士に至ってはサイズが大きくなっている。 フルサイズ参入を予定されていないメーカーが、サイズを維持し、増やしているのは画質のためにこれ以上小さくする理由はないとすればわかる気がする。しかし、フルサイズメーカーは、「画質は、フルサイズ→フォーマットのサイズが大きいほど良いのである」と言うことで中型機以上をフルサイズに移行するはずである。であるのに、ただでさえそのフルサイズより小さいAPS-Cをわずかずつとは言え、サイズを小さくする合理的な理由は何なのか?「わずかな差ではないか?」確かにそうだろう。でもそれを言ってしまえばフォーサーズとAPS-Cでもキヤノンさんの20Dとなら短辺側は2mmしか元々差がないのであり、その2mmの中の0.2mm(1割)縮めているとも言えるのである。ミリ単位で少しずつ小さくしていけば何れフォーサーズを2:3で長辺を伸ばしただけとさして変わりなくなってしまう。(笑)今更、フォーサーズとさして変わらないサイズでやっぱり問題ありませんでしたとは言いにくいだろう。(苦笑) ---------------- 去年はフォーサーズのシェアは2パーセントぐらい、(笑)。フルサイズ(含む1D系)が数パーセントとしても90%以上圧倒的にAPS-Cフォーマットであった。2年後このシェアはどうなっているだろう。仮にオリ、パナ合算で15%程度、各社フルサイズ合算で15%程度行けばAPSは70%に一気に低下する。 加えて、フルサイズ対比APSが得意とするところ、望遠系等での有利、小型軽量、被写界深度の深さ、手頃な価格から揃うレンズ、これらはそのままフォーサーズの強みでもある。そして、今後もフォーサーズはこのレンジにフラグシップ機以下を揃え、これらフォーマットの小ささ故の有利な部分を煮つめていくわけである。 実は、この記事はメールで(と言ってもアンチの方ではない)「折角フラグシップ機として出るのに、他社の中型機がライバルではなあ」と言うのに対する私の回答だ。もし、E-3で不満な部分があるとしても、それはオリンパスには悪いが、オリンパスのレベルがまだ発展途上なだけで、フォーサーズマウントにフラグシップ機以下リソースを集中するという考え方は間違っていないと思う。 冒頭にも書いた様にようやく、4年でここまで来た。しかし今後を考えた時、全体のカテゴリーの中で中型機以下の位置づけを担うフォーマットの発展と、フラグシップ機以下小さいフォーマットの強みをとぎすましていくフォーサーズの発展には自ずと差が出てくる様な気がする。 フルサイズ、フォーサーズ。フィルム一眼レフを起点にしながら、方やフォーマットの継承を、方やその質量、機動性の継承を考えフラグシップ機を掲げ進んでいく。どちらもそれぞれ長所とそれをフルに発揮するためには乗り越えない課題を抱えている。ひょっとすると現行の技術でベストを作るなら、中庸のAPS-Cが一番バランスの良い機種を作れるのかもしれない。しかし、システムは今日で終わるものでもなく、将来に続くものだ。未来が開けるのは、今の絶対値よりも志の高さだと思う。 (と言うわけで、メール頂いたK.Mさん、これはおまけで書いてあったD300かD3かの個人的答えも兼ねているつもりです、、、(笑))
by hiro_sakae
| 2007-09-17 20:11
| 雑記諸々
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