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2007年 11月 17日
【特許関係】Live-MOSに続くパナの隠し技!驚愕の特許
  フォーサーズの第二章を無事にスタート出来たのもパナソニックが当初携帯用に開発したマイコビコン技術を使ったLive-MOSによるところが大きい。
  さて、フォーサーズの撮像素子性能にこれ以上求めるとしたら何を求めるかは人によりさまざまだろう。画素数に関しては現行の10~12MPで従来の35ミリ一眼並みの解像度は達しているのではないだろうか。むしろフィルム時代との比較あるいはより画素数でなく「画質」としての向上を求めた場合、それは色情報と、高感度特性の向上ではないだろうか。1000万画素と言っても、結局R,Bに250万画素、Gに500万画素のもので原色1000万画素を作るベイヤー配列である。また、高感度特性はフォーマットが小さい故に不利な部分の一つである。
  むしろ、敢えて重く、そして価格が高くなろうがフルサイズを標榜する一因にこのベイヤー特有の色情報をせめて画素数で補う、或いは高感度特性の強みがある。もし12MP程度を確保した上で、今のベイヤーを超える色情報の確保と、段違いの高感度特性をフォーサーズで得られるとしたら、かなりのアドバンテージになるのではないだろうか?
  尤も、色情報の確保に関してはフォビオンのセンサー、或いは開発中の富士のオーガニック撮像素子等開発が進んでいる。しかし、これらはまだまだ理論上では勝っているものの長年練り上げられたベイヤーを覆すには至っていない。そして我らが盟友パナが驚愕の特許群がぽつぽつと公開している。1画素で3色を捉え、且つ大幅な高感度特性を獲得した上で、画像処理は長年培われたベイヤー配列(従って既存の画像エンジンが使える)というコロンブスの卵のような特許である。高感度特性と画質の差を詰める有効打になるのか?




【公開番号】 特許公開2007-259232
【公開日】 平成19年10月4日(2007.10.4)
【発明の名称】 固体撮像素子及びその製造方法

先月公開された特許。似たようなものが他にもあるが仕組みは同じだ。ちなみに、出願は去年の春だ。

まず、本件の肝とも言える導入から説明しよう。

1.現状の撮像素子の問題点
 現在の撮像素子において、R,G,Bを得るためのカラーフィルターは吸収型というものだ。つまりGの素子の前に置かれたカラーフィルターはR,Bの光を吸収する。結果的にフィルターをGの光のみが通過するという形だ。
 これの何が問題かというと、本文を引用すると「吸収型のカラーフィルタは、例えば緑色のフィルタであれば赤色及び青色の波長の光を吸収し、緑色の光のみを透過する。従って、吸収型のカラーフィルタを通過する際に入射光の3分の2が吸収されてしまうため、固体撮像素子の感度が低下してしまう。」これに尽きる。フォビオンなどは複雑な撮像素子でこれをクリアーしているがこの光のロスという所は解決されていないようである。また、3CCDの場合も結局プリズムで分離した光路の前に置く各画素のフィルターは吸収型であるのでこの光量喪失の問題は一緒である。

2.実は実用化されているもう一つのカラーフィルター
 松下は、ここでもう一つ広く実用化されているカラーフィルターに着目する。それはディスプレイ装置に使われている透過型フィルターである。透過型フィルターは例えばGであれば、Gの光を反射してR,Bの光は透過するという性質を持っている。ディスプレイであるからGがディスプレイ上で反射して目に届き、後のR,Bは透過してしまうのである。上の吸収型と似たようなものであるが、決定的な違いがある。それは、光路がGとR.Bに分かれているがフィルターに光が「吸収」されている訳ではない。

3.整理すると、、、、
 ある一色を分離するという意味では吸収型も、ディスプレイ用の透過型も一緒である。しかし、その光量で見ると、吸収型はGならG以外は全て吸収されてしまう。しかし、透過型は透過されているだけである。
 従ってこれをうまく使って、もし透過型で分離したGをGのセンサーに導くだけでなく、透過したRとBを更に透過型で反射するRと透過するBに分けて透過した光も「捨てるのでなく」RとBのセンサーに導ければ吸収型が1/3の光量になるのと比較して元通りの光量(吸収型比)3倍の光量が得られるはずだ、、と言うのがそもそものアイデアなのである。

そして、これの模式図が以下のものだ。

c0036985_2141113.jpg

(上記特許の公開図面より引用)

まず、断っておくがこのプリズムのようなものをくっつけるわけではない。この特許では実際の製造方法も特許になっているが、ここにかかれている反射やプリズムと同等の効果をなす一種の層の様なものを重ねていくのである。(この辺の製造方法の記載は難しいので略。非常に高度な技術のようであるが、各所に公知の製造技術という文言も入っている。)

では、仕組みを見ていこう。

4.上の図の説明。

下に正方形の絵が描いてあるがここから下は従来のベイヤー配列の撮像素子の受光部である。逆に言うとこの受光部から下は今ある撮像素子と何ら代わりがない。撮像素子の通常あるマイクロレンズから受光部までの層を変えることでやってしまおうというものである。

まず、違うのは従来は1画素=1マイクロレンズ=1受光素子が基本である。これは、1画素=1マイクロレンズ=4受光素子である。4受光素子の配列は従来のベイヤー配列を使っていて使い回せるところがミソだ。マイクロレンズのセンターは、下の2×2で並んだ正方形の中心の上に来る形である。

一つの層で、各受光素子上に透過フィルター効果をする部分と、反射ミラーの様な効果をする部分が市松模様の様になる。図ではそれぞれわかりやすいようにプリズムのような形で描かれている。例えば一番手前を見ていこう。まずマイクロレンズの光は二つの光路に分離される。ここでは、一番手前とその奥の対角線上の二つの受光素子上になる。

手前の光路で行けば、まず第一層の透過フィルター部分で光がそのまま直交するものと直角に折れ曲がるものに分かれる。この場合は透過して直交するのがG,Bで反射するのがRだ、反射したRは隣のミラーで下に折れ曲がり、Rの画素に入る。透過したG,Bは第二層で更に透過直交するGと反射するBに分かれる。

5.効果

まず、この実施例が一番シンプルな形態である。
これは、最初の光の量を仮に6とすると二つに分離した段階で3ずつ、片方の3で実際使うのは2(Bが矢印の彼方に消えている)片方でこの場合はRとGで1ずつである。もう片方がGとBで1,1で合計4使う形だ。これを従来のそれぞれの受光素子に吸収型をおくと6の1/3で2となる。従ってこのシンプル系でも、光量は倍増する。

第二の実施例では、(ここでは省略するが)この突き抜けているものを導光する効果の素子を間にはさみ、全ての光を受光素子に導くこの場合は特許上では理論通り従来の吸収型フィルター比3倍に近い光量を得られる。しかも見ての通り1画素(1マイクロレンズ)辺りそれぞれR,G,Bの情報が得られている。

6.まとめていうと、

現状撮像素子の微細化という意味ではフォーサーズのサイズを必要とせずともコンデジの様な小さな撮像素子でも1000万画素まで微細化する技術はある。フォーサーズと言えども2/3インチ型の撮像素子の面積で4倍もある。2/3インチ10MPなどは楽勝だろうから、4000万画素も作れないことはないだろう。ところがただ画素ピッチを細密化しても回折現象やダイナミックレンジ確保ではあまり意味がない。レンズの解像力にも限界がある。(笑)

方や、携帯電話程度の極小ピッチの画素がつくれながらこれをそのままDSLRに使えない。しかし、この特許ならそれがうまくいく。10MPの画素を得るために、1画素に4受光素子早い話が40MPのセンサーの威力を使おうということだ。勿論、10MP→40MPにする段階で一画素あたりの受光感度の低下も考えないと行けない。

しかし、そもそもの全面積で受光される光量が3倍に増える上に、出力画素はあくまで10MPである。ベイヤーで言う4画素分で1画素を生成するわけであるから今より格段に画質と高感度特性の向上は見込めるはずである。個人的に驚愕したのはこの素人では想像もつかない様な細密な技術を一種のエッチングと蒸着で同じ効果が出来ると言うところだ。

後は、ここまでジャンプする以外にも従来のMOS型の改良(恐らくパナのMOS型とはLive-MOSだろうが)として、
・R.G.Bのマイクロレンズの配列を富士のハニカムならぬ、八角形と正方形の組み合わせにする特許や、
・マイクロレンズとマイクロレンズの間の裏側にひっくりかえったようなマイクロレンズを付けて、受光素子の遮光部に来た光をも受光素子に導いてあまねく集光すると言う特許
等、従来のMOS型撮像素子での改良特許も出ている。

見ていると、やはり松下がセンサーを更に高度化させようと言う場合技術開発のベクトルはいかに小さな撮像素子で相反すると言われている高感度特性と、画質の向上を図るかに収斂されている。撮像素子メーカーとしてDSLRとは桁違いにビッグビジネスで且つ制約条件も厳しい携帯電話用撮像素子や、コンデジ用撮像素子で商売していくことも考えれば当然と言えば当然だろう。そして、この技術の使い回しによるビジネスという意味ではむしろDSLRの中で同じ制約条件を持つフォーサーズを選択したというのは技術開発の無駄が無く良いような気がする。

いずれにせよ、楽しみな技術である。オリとパナのタッグが本領を発揮するのはむしろこれからからもしれない。

by hiro_sakae | 2007-11-17 22:30 | オリ特許関係


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