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2007年 11月 24日
E-3と言う一つの節目を迎えて、改めてフォーサーズにおけるマウントアダプター使用考
  フォーサーズマウントは生まれながらにしてそのフランジバックの短さ故、各種のマウントアダプターがサードパーティ製で存在し、銀塩MF時代の各種マウントが楽しめるのは周知の事実であろう。実際に過去にE-330、E-410,510等が雑誌等で照会される場合もこのマウントアダプターによるレンズ使用が照会されていることも少なからずあった。
  元来、DSLR専用システムとしての理想を求めるフォーサーズシステムと、そのような事を考慮されておらずAFすら効かないレンズをフォーサーズのボディで楽しむというのは水と油のようなもののはずである。しかし、私はここで過去何度もこのマウントアダプターの使用は「フォーサーズが本道でDSLR専用システムを極めているからこそ出来る余芸の一つ」として「いざとなれば、ZDレンズがDSLRのクオリティを担保していると土台の上の話」として自身も積極的にこれを使い、事実OMレンズに至っては未だ現役で名を連ねている状態である。
  今回E-systemの発展の一つの節目ともいえるE-3に触れ、このフォーサーズにおけるアダプター使用による楽しみを私が語り、敢えて「DSLRシステムとして統一のとれた発展」をしているフォーサーズの楽しみの数々、特徴を語る際にこのアダプター使用をはずせないと思っているのかを改めて書いてみたい。カテゴリは敢えて「フォーサーズの思想」に入れた。



一応、読みやすいように箇条書きにするが若干与太ってしまうところがあるかもしれない。その辺はご勘弁願いたい。

1.フォーサーズの思想の特徴の一つ 「オープンマウント思想」
 フォーサーズというと、先ず一から作り上げるデジタル専用設計のシステムであるというのがその大きな特徴となっている。そして、フォーサーズの規格が目指すものは三つの柱で構成されている。フォーサーズのHPにフォーサーズの規格についてというページがありそこにはBenefits Of Four Thirds Systemとして
・100% Digital Concept (イメージセンサーの能力をフルに引き出すデジタル専用設計)
・High Mobility (一眼レフに機動性を与える小型化設計)
・Open Standard (メーカーの枠を超えた発展性/互換性の確保)
があげられている。
おおざっぱに言えば、それぞれデジタルコンセプトに関してはレンズのテレセントリック性やデジタル専用の機能、小型化設計に関しては、フォーサーズというセンサーのサイズ、そしてオープンスタンダードに関しては、オープン規格であるということが呼応するだろう。それぞれフォーサーズの根幹をなすものであり、この規格を良しとするものにとっては魅力の一つになるわけである。

 上にあげたフォーサーズの特徴の全部を、あるいは一部をと人によって魅力に感じるところは様々であろうが、この中の一つであるオープンスタンダードというところにも魅力を感じた人もいるだろう。実は私はその中の一人である。過去にここでも某社がフォーサーズに参入するのではないかと噂が出れば、某というレンズブランドも使えるかと与太話を繰り広げたものである。実際に当初はZuikoDigitalしかなかったレンズブランドも今ではSigmaとLeicaが使えるようになった。実際、フォーサーズが共同でレンズカタログを出した際のHP等で発表されたリリース文の中にも

「レンズやボディのマウント情報をオープン規格にすることで、賛同メーカー間のカメラボディと交換レンズを自由に組み合わせて楽しむことが可能です。
 今回の「フォーサーズレンズ総合カタログ」は、そのオープン規格ならではの組み合わせの楽しみ、選択の幅の拡がりを1冊のカタログを一読するだけでお客様にご理解いただけるよう、賛同3社がメーカー間の枠を超えて共同で制作したものです。」

とある。すなわち、フォーサーズが目指したものの中に、本来の小型軽量化と共に各社間のマウントの互換性を確保しようと言うもの、そしてそれを自由に組み合わせて楽しさが包含されているのである。従って、少なくともフォーサーズの思想の中には、同じ規格でもし様々な会社のレンズ、ボディを自由に組み合わせられるということは是であるというDNAが入っていると思う。

2.フォーサーズの特徴があったからこその「マウントアダプター利用に最適化されたこと」

このオープンマウントの洒落のつもりか(苦笑)E-1が登場するのとほぼ同じくして、近代インターナショナルさんを皮切りに無名、あるいは海外物をいれれば様々なアダプターが市販された。ざっと思いつき、現在ショップやネットで入手可能なものでも以下の通りである。
・単独アダプターで利用可能
 OM,M42,ペンタックスK,ニコンF,ヤシカ-コンタックス、ライカR,ローライQBM,エキザクタ、ミノルタMD
・アダプターの組み合わせで利用可能
 ライカViso、キエフ88,ペンタコン6,ハッセルブラッド
簡単な改造では、コニカAR等があるが、まあそれは別にしてもこれらが単に着くというわけでなく、実絞り測光で画角は35ミリ換算で倍の焦点距離相当になるが、絞り優先AEと無限遠までフォーカシングが使える形で使用出来るわけだ。

そして、フォーサーズがこれら様々なカメラのマウントをマウントアダプターを付けるだけで利用出来る様になった背景にはフォーサーズの特徴が大きく絡んでくるのであり、他社の銀塩時代を引きずるマウントよりもマウントアダプターに適した環境になっているという皮肉がある。順にあげるとすれば、

a.ダストリダクションの存在(デジタル専用の機能)
銀塩MF時代のレンズは当然デジタルのダスト対策の為の気密性等は一切考慮していない。またアダプターをかまして装着するわけである。当然現行のレンズよりもダスト進入等のリスクは高い。従ってアダプター使用のレンズこそ、ダスト対策を万全にしないといけない。この点においてはフォーサーズのダストリダクションはアダプター使用を常用するには極めて有効な対策がなされている。

b.ライブビューの存在(デジタル専用の機能)
これは、主にLV-Bにおいてである。ここにきて他社も追随してきたがデジタル専用システムならではの機能としてフォーサーズが先鞭をつけたものだ。これが特に実絞りでのMFを前提とするマウントアダプター利用においては非常に利便性を向上させる。拡大によりMFの精度を飛躍的に高める一方で、光学ファインダーほど絞っても明るさが減じられないことも相俟って今まで光学ファインダーでは難しかったシチュエーションにおいてもマウントアダプター利用を可能にした。

c.フランジバックの短さ(小型機動性の為のフォーサーズ素子採用)
フルサイズ比縦横約半分のサイズの撮像素子を採用した為に結果的に従来の35ミリ一眼レフ対比短いフランジバックのサイズとなった。マウントアダプター利用ではアダプターの厚み分フランジバックが長くなるために、元のマウントのフランジバックよりも、アダプター経由で付けるボディの方のフランジバックが短くないと装着出来たとしても無限遠まで制限なしに使うことが出来ない。フォーサーズは期せずして上に上げた様々なマウントよりも短いフランジバックを持つボディとなったために、各種のマウントを利用出来ることになったのである。(もし、OMマウントのままであったら、殆どのマウントは装着不能になっていた。)

d.センサーの小ささから来る、実用確保の可能性が出たこと。
他社が35ミリ一眼時代のレンズをDSLR化するにあたってAPSを選んだ際に、センサーへのテレセントリック性確保や解像力確保の観点からも周辺部分を切り捨てたと言うのを理由に挙げている。流用という観点から見れば、フォーサーズはAPS対比でも更に約1/2の面積にした格好である。従って、像面で半径11mm程度の部分を使っている格好になる。その分要求解像力が増すためにこれが不足して馬脚を現すレンズがある一方で、これら過去のマウントのレンズにおいても高性能で概ね35ミリ以上の焦点距離のものに関してはフォーサーズ使用においても実用になるものがある。

と言ったところか。特にdにおいては異論がある方もいらっしゃるだろうし、事実私が色々試した中でも、実用においては特にぼけ等で破綻をする場合が少なからずあるが、例えばM42では富岡のマクロ、あるいはライカのエルマリートRや若干味の世界かも知れないが(苦笑)Flektogonなんかも問題ないだろう。特にOMにおいては今回E-3の初陣のお相手をした90マクロや、410で勤めた50/3.5マクロなど充分活用出来る範疇に入っていると思うからだ。いずれにせよ、フォーサーズは他社DSLRマウントと比較してもマウントアダプター利用のベースシステムとして非常に優れた資質を有していると言うことである。また、今回のE-3の様に唯一MF使用での泣き所であった光学ファインダーもあのレベルになると尚更だ。

3.フォーサーズは過去を断ち切るシステムでは無い。むしろ逆である。

フォーサーズは何のために、デジタル時代になり一から100%デジタル専用システムとして一眼レフシステムを構築したのかということである。
単に、デジカメだから専用システムで作ったというわけではない。デジタルの特質にあわせて専用システムをいちから考えたのも、わざわざ小さいセンサーサイズまで考えたのも、そこまでデジタルに最適化しつつシステムとして念頭に置いたのは、AF化等の時代の技術発展の中で肥大化した35ミリ一眼システムの本質、小型軽量化であること等その思想の部分に今一度立ち戻り、それをデジタルで理想化するために一から組み上げられたものである。
フォーサーズのHPのストーリーでも、その一眼レフの中には小型軽量の形としてOMがあったことも述べられている。

つまり、過去の遺産を捨てるのでなく、むしろ過去のハードを継承するだけで35ミリ一眼レフ本来のソフト、思想の部分が曖昧になっていた部分を今一度デジタル化にあたり一からその根本に忠実に再構築しようと言うのがフォーサーズであり、そのハートはむしろ本来の35ミリ一眼レフ思想の継承であると言えるのだ。

4.従って、私はマウントアダプターの併用はフォーサーズ思想と矛盾しないと言う立場

従って、フォーサーズのボディにおける楽しみ或いは特色の一つの中にこれらのマウントアダプターの利用が含まれることは何ら矛盾しない。

過去の技術の発展の中で消えてしまったマウント、或いは個人でフィルム時代に思い出のあるレンズ、また若い人で過去のフィルム一眼時代のレンズへの興味からそれを使ってみたい。そしてそれらの利用を普段使っているフォーサーズで出来る、ZDと共にそれらも使えるというのはとても良いことである。見てくれでなく、思想において35ミリ一眼レフのデジタルでの後継者を目指すフォーサーズにおいて、その後継者たるZDと共に、ここにつながる過去のマウントのレンズを同じシステムの中で楽しめるというのをフォーサーズの特長として上げられるというのはむしろ自慢出来ることですら無いかとさえ思うからだ。

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尤も、だからオリンパス製で全てのアダプターを用意してくれとかそういう話をするつもりはない。マウントの多様性は先日の話ではないが、メーカーを中心に、サードパーティ、更にユーザーと拡がりを持ってそのマウントの特長、個性が形作られるとおもうからである。

マウントアダプターでのみ遊ぶというのは暴論であり、そういう帰結にならないのは読んで頂ければわかる話であると思う。これの利用がフォーサーズの本道でないのは確かであるが、邪道でも、フォーサーズに対する冒涜でもなんでもなく、フォーサーズワールドを拡げる楽しみの一つ、その世界を逸脱するようなものでも無いというのを言いたかっただけだ。

by hiro_sakae | 2007-11-24 23:05 | four thirdsの思想


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