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2007年 12月 02日
【特許関係】来れば間違いなくフォーサーズの売りになるパナのセンサー特許
  先日、どうやらパナは我々が全く想像していたのと別の形で一種の3CCDを模索しているようであり、その中の一つを紹介した。そんな中で、より洗練されたというか実現可能性の高い特許が公開された。フォビオンとも違い、富士が研究しているオーガニック素子などよりうんと現実的な手法、すなわち今のパナであれば製造可能なものである。そして、先行特許を見るとこのアプローチは古くからあったようである。個人的には来れば間違いなくフォーサーズの新たな武器になること請け合いだ。この仕組みと、Live-MOSの受光部が合体すれば、正にパナの撮像素子技術と、オリが誇るZDがまた別の次元の絵を作ってくれそうな予感がする。多少長くなるが興味のある方は是非。オリが追っかけている超高速連写、(何れ紹介するがようやく出てきた)LVのAF高速化、回折限界を超えるスーパーZD?レンズ、そして見え隠れする動画との融合と共に、「フォーサーズのサプライズなネタ出しは第二章で始まったばかり。これから先も益々おもしろいぞ」とわくわくしてほしい。(笑)

肝は、3CCDになったあげくに高感度化が果たせて、これを出来るのは先ほど公開され製品化された、無機物質でカラーフィルター効果を実現したあのパナ特許のかたまりがあってのものだからだ。個人的には是非是非第三章次期フラグシップでガツンと出して欲しい。



【公開番号】 特許公開2007-282054
【公開日】 平成19年10月25日(2007.10.25)
【発明の名称】 固体撮像装置、カメラおよび信号処理方法

である。そして今回はこの特許の理解を助けるためにこれの元となった先行特許を先に見てみる。前回紹介したパナ特許のネタ(考え方)も実はこの先行特許によるものだ。驚いたのはこのアイデアは今から7年前、そしてパナでもソニーでもNECから出されているものだ。

【公開番号】特開2000-151933(P2000-151933A)
【公開日】平成12年5月30日(2000.5.30)
【発明の名称】撮像素子及びその製造方法

と言うものである。ではこの特許を元に先ず説明をしていこう。
先ず、下の図はパナ特許に先行特許説明で引用されている図面だ。
c0036985_2312331.jpg

(上記2007-282054号特許の公開図面26より)
仕組みとしては見て頂いての通り、一つの集光部の下に3つの受光部を配置。それぞれR,G,Bを透過し、その他を反射する仕組みを設けて3つの受光部に三原色を送り込み、一つの受光部で3原色全てを受光出来る仕組みとしているものである。この分離する部分は3CCD等で使われるダイナクロックプリズムと呼ばれるものと同じ多層膜コーティングを施すらしい。

そして、この方法に行き当たったいきさつとして当時の撮像素子の各方式についてその短所(言い換えればこの方式の利点が述べられている。)箇条書きすると以下の通りだ。

1.3原色フィルター方式
 今、一番一般的なものである。一つの集光部に一つの受光センサーが配置されそれぞれにRGBフィルター付けられている。これの欠点としては、それぞれフィルターを通る上で例えばRの受光部ではR以外の光は熱に変わる。(吸収される)従って、光量の1/3しか使えない他、それぞれの集光部に一つの色しかないために、カラーにする過程で偽色(原文は色ニセ)が発生する。

2.補色フィルター方式
 最近はなくなったが、当時は撮像素子の受光感度が低かったために一つの受光部でR,G,Bのそれぞれ補色を受光した形。具体的にはR以外の光のG,Bを受ける。(G,Bを受ける=Rの補色であるイエロー)そして、これをG,Bに画像処理時に分解すると言う手間をとる。何故こういう手間をとるかというと、原色フィルター方式に比べて一つの受光部で捨てる色は1色となるために、効率がよいからである。(原理的には原色フィルターが元光量の1/3を使うのに対して2/3を使うからである。)しかし、当然このYeから演算処理でG、Bを作り出すので色再現性に関しては原色フィルター方式に若干劣る。これはこれで極めれば良いのだろうが、上に書いたように撮像素子の性能アップと共に、この手間暇を極めるニーズも薄れ今では殆ど見られなくなった。

3.3CCD方式
 これはいわゆるプリズムを使って分光して、それぞれ一つの集光部をR,G,Bに分光する。当時から放送用ビデオカメラ等で使われていた。ある意味原理に忠実な方式であり、全ての光を無駄なく使うが、いかんせん、奥行きが深くなりデジカメ等の厚さが無い筐体には不向き。また高価となるという欠点があった。

というところ、そしてこの特許であれば、一つの集光部で三原色が受光出来、無駄な光がなくなり且つ、通常のデジカメにも使えるという事だ。
今から改めて致命的なのは、製造方法と書いてあるが、
・放送用ビデオの3CCD分光用プリズムと同等の公知の方法で上の波波にコーティングして達成すると書いてあるが、こんな小さな波波に実用となる精度でコーティングが可能なのか?
・結局画素(集光部)ピッチの1/3更に小さいピッチの受光部を並べないと行けないが当時それがそもそも可能だったのか?
恐らく、この辺が可能であればこの撮像素子は今世の中に出ていることだろう(笑)

そして、これを更に改良、進化させたのがパナ特許である。

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パナは、上の方式に対して以下の二点を問題点として上げた。
・結局、これでは理論上は全ての光を使うことになるが一番最後の光は反射、透過、反射を3回も繰り返す。この光量ロスはバカにならない。この回数は2回にすべきである。
・またそもそもの画素数より1/3も更にピッチの小さい受光部を並べるのは近年高画素が進んでいる中では難しく、またいたずらにこの受光部の数を増やすと1受光部当たりの効率は落ちる。
この辺を改良しようと提案する。そしてこれが正にコロンブスの卵的発想、上で言う3原色フィルター方式と、補色フィルター方式のハイブリッドである。パナ方式の断面図は以下の通りだ。
c0036985_2342731.jpg

(上記特許の公開図面より)

元々のNEC方式より、単純に一つの受光部に割り当てられているセンサーが3から2に変更になっただけだ。どうするかというと、仮に先ほどの例とあわせるとすると、
・まず、受光部直下のプリズム部でRを透過、G,Bを反射。次のプリズムは単にこれを全反射し、その下の第二の受光センサーに送り込む、、Yeとして、、。そしてここはかつての補色フィルター方式の演算処理でGとBに分ける。これで、一つの集光部に二つの受光センサーで三原色の情報を得るのが一丁上がりというわけだ。

反射透過ロスも単純に3回が2回に減ったため、2/3以上は軽減され(おまけに最後は全反射のみ)ほぼ理論通りの全光量の補足が可能になり、且つ受光部の画素ピッチも2/3で済むために実受光面積はうんと拡大するはずだ。加えてこれであればそれぞれの画素で3原色をもつために、補色フィルターが分色して更にこれを合成して各画素の3原色と二段階を踏んだために原色フィルター比解像感が劣る問題も生じない。またRGBのバランスという意味では全て同じでなく、各画素で
R原色他補色、G原色他補色、B原色他補色という組み合わせを並べるというのも可能である。
また、この集光部を何も縦横スクエアに並べなくとも折角1画素辺り二つの受光センサーを使っているのだから、応用例としては、下の図のように
c0036985_23565238.jpg

(上記特許の公開図面より)

受光部をセンサー辺り1ピッチずつずらして、格子状に密配列することにより空間解像力も(倍とまではいかないが、、)アップさせることも可能だと言うことである。

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実際に今の松下を持ってすれば、現行のLive-MOSの受光部を倍の20MPにすることは(もっと細密なものでも)可能だろう。そして、今回の肝は、これのそのプリズム部分を構成する波波を元特許通りの3CCDで使われている多層膜コーティングでも可能であるが、原文によれば、
「電子スチルカメラや3板式ビデオカメラなどにおいてダイクロックプリズムの表面に形成されているものと同一の構成のダイクロイックフィルタと呼ばれる多層膜を利用することができるが、本実施の形態では、ダイクロイックフィルタの改良版であり、フォトニック構造の絶縁体層を含む多層膜により形成される。」

と書き、以下はこのフォトニック構造の絶縁体層を使うことによりこれを実現出来ることが詳述されている。(実際のこの絶縁体層によるカラーフィルター効果やその製造方法、処理方法は別特許に詳しいがここでは略)

要は、関連特許も見ればこれがパナが先般全天候型の耐候性に優れる無機質でのカラーフィルターを発表したあの撮像素子の技術そのものである。あの特許によれば周辺減光等の調整にはフォーサーズ比更に小さい全天候型屋外カメラのピッチでも画素単位で調整が効き、これはパナの誇る半導体製造技術と相俟って出来たと書かれていたものだ。

従来の特許を改良した上で、7年前では不可能だと思われたこの仕組みを回折を応用したフォトニック構造の実用化によってようやく実現可能性が増し、めざといパナがこの応用で特許を押さえたとも言える。(笑)

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どうだろう。フォビオンや、富士のオーガニック素子のような独創性、奇抜さにはかけるが実現可能性と言う意味ではこちらのほうが期待出来そうな気がする。

そして、もう一度この断面図をよく見て欲しい。実際にはこれは模式図ではあるが、やはりこの精巧な仕組みを成り立たせるには集光部に立ったり、寝たりでなく良質の受光素子に針を通すようなZDこそが最適とは言えないだろうか。理屈にこだわってと揶揄された時もあったが(笑)、E-3登場でもより冴え渡るZDの威力とこの撮像素子で、フォーサーズの小ささ?からは想像も出来ない異次元の写りが、このフォーマットだからこそZDだからこそ出来たと言えるようになってくれれば痛快だ。是非、実現して欲しい。

by hiro_sakae | 2007-12-02 00:15 | オリ特許関係


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